三人のリトルギャングが手伝いに来た
ココがひたすら町中に文字と絵を書き続けた
町中のみんなココがとち狂ったと言う
バイクに乗りながらギャングが一発ずつ弾を置いた
決められた場所しか歩けない内グ足の男が空と一体化しようとした
道のコンクリートと土の境い目に穴があった
誰かが丘から望む家々の壁全部使って一緒に天国に行こう!とスプレーで書いた
乾燥させた麦と塩と砂糖を混ぜた男が家にリボルバーを置いた
ネズミが宇宙人の絵画を見て必死にげっ歯を磨く
ココが夕方になったから一旦家に帰ることにした
どの家でも灯りがつき夕食を始める
ぽつりぽつりと姿を現した星が冷えた血の臭いだ
ココが家に着くと家の中に長兄がいた
「よお、ココ、夕食まだだろ? 一緒にたべようじゃないか」長兄が言った
ココが長兄と一緒に夕食をとった
油の切れたランプは全部河原の赤い木の下に置かれている
夕食のメニューが乾燥パンと豆ととり肉の冷めたスープだった
隣の家の女の喘ぎ声が聞こえる
「どうだ、ココ、祭りの計画は上手くいっているか?」長兄が言った
「まだまだこれからよ。何をするかも決まっていないし、手伝ってくれる仲間も足りないわ。できたら後一カ月までに祭りをしたいの。私がどこまで持つかわからないから。兄さんは手伝ってくれる?」ココが言った
バッタ達が交差にジャンプしながら不思議な幾何学模様を描く儀式をする
まだ寝付けない子供が母に昔話を聞かせてとせがむ
門番として立ちつくしの処刑人の手下が機関銃置いてあくびをした
ハエが閉められた屠殺場の中に入り豚の頭にとまった
「ああ、もちろんさ、いいとも。それで俺は何をしたらいい?」長兄が言った
「そうね、私もまだわからないのだけれど……。そうだわ、食べ物屋さんがいっぱい集まってくれるとにぎやかになるわ。兄さんは食べ物屋さんに声をかけて祭りに来てくれるように頼んでくれないかしらん」ココが言った
先天異常でも翅が退化した蝶が勇者とあがめられた
翌日から長兄が食べ物屋に声をかけて回った
町中のみんながココの祭りを怒りはしないが辟易する
郵便配達員が郵便物と共に娘のシTャツの切れ端を置いた
文字の読めない苦しい世界に生きる女が布団の中でむせび泣いた
砂時計の細いくびれのとこに穴を開けた
少女達が広場いっぱいを使って背中に家を乗せた鳥の絵を描いた
ココが道端で寝ている浮浪者のそばにチラシを置いた
三人のリトルギャングがポスターを見てリボルバーを磨く
ココが家で夕食を食べていると三人のリトルギャングが現れた
「やあ、ココ。君も夕食を食べているのかい?」目の上にたんこぶのできたリトルギャングが言った
「あなた達生きていたのね! 死んじゃったかと思ったわ!」ココが言った
ココが三人のリトルギャングを招き入れた
「よお、ココ、お前祭りを開こうとしてるんだって? 俺達も一緒に混ぜてくれないか?命を助けてもらったお礼と罪滅ぼしを含めてさ」目の上にたんこぶのできたリトルギャングが言った
血塗られた手ぬぐいが人質の口塞ぐのにちょうどいいのだ
「俺もお前に言いたいことがある。その、この前はすまなかった。ごめんなさい、この通りだ。俺の罪はそうそう償えるものではないができる限りのことをしていこうと思う。どうかこの祭りの準備に俺達を参加させてくれないか?」下唇の割れたリトルギャングが言った
三人のリトルギャングがバラバラだが頭下げてお願いする
ココが下唇の割れたリトルギャングの手をギュッと握る
「ぜひ手伝ってちょうだい。ありがとう。私はもうあなた達のことを責めたりしないわ。とっても自由になったんだもの」ココが言った
「じゃあ僕達はまず何をしたらいい?」指の太いリトルギャングが言った
「そうね……。じゃあ、私と一緒に町中をポスターでいっぱいにするのを手伝ってくれないかしらん。一人じゃちっとも手が足らないの」ココが言った
ああどんなに人のマネしたって生きづらいよこの世界でも生きることはやめないだっていつか駆け抜けるはずの両足がきっと生えてくるもの




