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民衆の暴動



群衆が夜になると大きく騒がしくなった

血で塗られた旗がよく見てみると紙幣でできていた

この群衆を動かすのが百年前の農具をいれた蔵である

月を鳥が大群で隠した

地面に潰れて落ちたトマトが子供三人に啜られる

女達が腰を揺らして大地を勃起させ流れ出た水とセックスした

十本のナイフを机に刺していた男が一本抜いてそれで穴を掘り始めた

遠い彼の地からトラックで運ばれて来た巨岩があった

子供達が往来で横になり始めた

ココが血を見た

音楽が聞こえているこれは生者の音楽だった

川に置かれていた船がごみ捨て場になっていた

ナメクジがビールの中に入って溺れ死んでいた

男達が集まって麻薬を回し吸いしていた

浮浪者がどこかから拾ってきたマネキンと熱く語らっていた

戸前の灯りが人間だけを照らすわけではない

ギャングと警察官が銃を持ってうろうろしている

ココがなぜこの人達がここにいるのかわからなかった

ココの文字の本当の力を知っている者がこの中にいたか?

映画のポスターを破っていた男が明日人を殺そうとしている

寝る人々がどこに憎しみをたたえていようか

夜の中にはもう何者も潜んでいないのか

レイプ魔が女を物色しに来た

果物売りの屋台が店じまいをして帰っていく

ココが寝ていた女達の間に入って休んだ

なんでもない時間はいったいなんだろうそれが心地良くも感じる

ココが童話を思い出すねえ何を見たの?何を見たの?

ココが答えられないだってくまの子が殺されることなんて絶対にあってはならない

ココが手を伸ばした

ココが地面に顔を埋めていた老人の髪に触れた

それが血の叫び肉の跡

異常なる生々しい非日常が静かな凄惨な日常によって終わる

ココが寝る人だかりの向こうに影を見てくまの子だと思った

よく見たら白い罪人の亡霊がほふく前進していた

「やあ、ココ! 何だかここはとても楽しそうだから俺も混ぜてもらおうと思って来てみたんだけど」白い罪人の亡霊が言った



群衆が朝になると起き上がり騒がしくなった

捨てられたコピー絵画がよく見てみると豚頭の口に入れる紙だった

ゴザに書かれていた呪文が資本経済を壊すものである

群衆が一斉に手を挙げた

人を轢き殺したタイヤが浮浪者三人の机になる

女達の腰が燻らすみたいで抱きついてきた男と一緒に暗い路地に消えた

十丁の銃を統御していた意思が分裂してネズミになって走った

外国から空輸された建材があった

死体達が往来の地下を駆け巡り始めた



処刑人の手下が機関銃持った

音楽が聞こえている

これは踊りの曲だった

ココが危険を感じ何かせねばと思った

切られた指が油壺に入って消えていった

「お願い! 散って! ここでは何もないわ!」ココが言った

浮浪者が密輸されている小鳥と話し合っていた

戸前の六割が愛しい緑の木々を思っていることを誰も知らない

男女達がリンゴを持ってうろうろしている

なぜここにこんなにも亡霊がいるのかココわからなかった

悪魔が見せようとしていた嘘をこの中の誰が知っているか?

夢の中で苦しめられていた妊婦が出産した

往来を駆け巡るココに一体何ができようか

人の肉の波もう押し流されるだけか

処刑人の手下が命令はまだかまだかと言う

果物売りの屋台が来て店開き果物を売る

ココが足踏みして血走っている人の足の間をぬって進んだ

この生か死か宙ぶらりんの時間は一体なんだろう

それがココの背中を冷たくする

ココが叫ぶあなた達は何の物語を見るの?

あなた達は何の物語を見るの?

ココが何もわからないだって両足はもう戻ってこない

ココが手を伸ばした

屈んだ子供の遊び相手のネズミに触れた

機関銃機関銃人を殺すだけの道具

限られた特別な演劇よりも限りない平坦な生活で人が死ぬ

鳥が処刑人の屋敷の前でたむろしている群衆を見てヒナのようだと思った

群衆が訳も分からず処刑人達への鬱憤を叫び始めた

「もう私には手に負えない! せめて子供だけでも逃げて!」ココが言った




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