ココお祭りしたい夢
ココがハンターの家に戻ってきた
「おう、おかえり」ハンターが言った
「ただいま」ココが言った
ナメクジが一生懸命レンガ壁を登っていた
頭をカチ割った斧が熱湯で洗われる
ハンターがココにコーヒーを差し出した
「一体何を見てきたんだ?教えてくれよ」ハンターが言った
「ええ? 何も言うことなんてないわ。強いて言えば男は金玉が二つついていることを確認したことかしら」ココが言った
「そりゃそうだ」ハンターが言った
ずいぶん前にこの町に来て作られたアーティストのモニュメントが植木鉢置きになる
飛行航路を三cmずらすと子供達のおやつがちょびっと豪華になる
「ココ、君もずいぶん達観してきたねぇ。余裕が見えるよ。空中ブランコみたいに軽やかだ」ハンターが言った
「でも私は地に足はつけないわ。ずっと宙にいるの。幽霊みたいに」ココが言った
石像の流した涙が牛の目の結晶体と合わさって爆発する
ミミズの地を這うように法律書がカエルを食べるのだ
作物のない場所なら処理場がうってつけだ
この世のすべての人、モノ、金を捨てる処理場だ
売春婦がセックスの時声うるさかったから口塞がれた
子供達が広場で一列に並んで空見ながらオナニーしている
ドラゴンを殺しに行くと叫びながら拳銃を持って出ていったギャングがまだ帰ってきていない
ハンターが菓子を口に入れた
「ところでココ、お前はこれからどうするんだ? まさか結婚相手でも探しに行く気か?」ハンターが言った
「そうね、私はお祭りをしたいと思うの。みんなが体を寄せあって楽しく飲み食い喋りながら踊るの」ココが言った
結婚したい男が女を死ぬまで追いかける
麻袋いっぱいに詰められた灰が鳥の仕業によって毎日の食事にちょっぴりずつ入れられる
虫が人間の耳から入って暴れる
死者を思う川面が唯一本当の憎しみを知っていた
家が足され増築され壺のような形になる
廃車を寝床にしていたネズミが亡霊に怒り狂って襲いかかったら返り討ちにされた
知らぬ女から甘い飲み物をもらった少女が10mぐらい歩いて倒れた
ココが文字教室を開いた
子供達がやってきた
「お菓子おくれよ」子供達が言った
インコの群れが急に上昇して見えなくなった
ココがハンターの家の壁に文字を書く
ハンターがココの授業を見ていた
この世を変えられる文字が本当にあったのか
ビニール袋が地に半分埋まってゆれる
道で煙草をすっていた男がカラスの数を数えていた
水が血の代わりをした
浮浪者が創り出した独自の経済体制がサステナブルで美しい
ココの壁に書いた字を子供達ボーっと見ている
「みんなで歌を歌いましょう。手拍子や足踏みでいいんです。少しの生きる糧になる」ココが言った
ハンターが菓子を持ってきた
子供達がそれを奪う
ココが歌い出した
腕がへんな方向に曲がったギャングが拳銃撃ったら自分に当たる
お湯飲んで錯乱した麻薬中毒者のように選挙箱が壊された
ここに何もないなら我々が動くしかない
行為だけが我々の真の実となるのだ
男の死体が干からびて口に布切れを入れられた
トタン屋根の溝にうごめいていた粘菌が地上を目指し風に吹かれる
ハンターの家で踊っていた子供達がカーニバルだと思って他の子供を呼んできた
ココが菓子を口に入れた
「みんなで外に出てみない? 歌って踊りながら町を見てみましょうよ」ココが言った
ココが体擦りながら外に出た
子供達が何か期待してそれに続いた
結局みんなお祭りを欲しているのだ
木にぶら下げてあった宴の衣装が血の模様を浮かび上がらせ
三百年続く動きをする乾いた洗濯物を石で叩いて強くする
透明な群衆が沈黙の意味を知っていた
棺が色を塗られ空と同じ意味のものになる
広場を寝床にしていた子供達が安い麻薬吸い過ぎて頭ハイになったから暴れていた
ココが子供達の先頭で体擦らせながらただ歌ってみた




