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ココがリトルギャングに売られる



ココと三人のリトルギャングが人身売買市場に入っていく

店ビニールシートで覆われていて中見えない

往きかう人みな目の色がちょびっと違う

日中だというのに暗い

どこかで水の落ちる音がする

ココが悲しくなった

ここは死よりも残酷な場所だとココが思った

狭い往来でココがいろんな人とすれ違う

でも顔がわからない

自由という野生が奪われた世界

ここにもれなくいる誰一人とも異界

なぜこの地があるのかココわからなかった

人は金というもので計れるものか

壁がしみだらけだ



奴隷は主従である

そこでやり取りされるのが労働と尊敬か

なぜ人を金に変えようとする?

牛三頭ではだめか?

異国の珍しい種子ではだめか?

名工に作られた剣ではだめか?

亡国の王宮で使われたタンスではだめか?

家に代々伝わる自慢の木ではだめか?

幼き我が子ではだめか?

人間とはなんだ?

往来が悪くてココの乗る荷車が揺れた

太陽がここを見てなんと思う

悪魔がこの地を知らなかったとでもいうのか

まて生ける死体と案山子とではわけがちがうぞ

人は未来へ後ろ歩きで過去見ながら行くのでなかったのか

煙草を一本吸わせて欲しい

ここにはどれだけの女がいる?



女ー女ー女ー女ー女ー女ー女ー女ー女ー女


女ー女ー女ー女ー女ー女ー女ー女ー女ー女


女ー女ー女ー女ー女ー女ー女ー女ー女ー女


女ー女ー女ー女ー女ー女ー女ー女ー女ー女


女ー女ー女ー女ー女ー女ー女ー女ー女ー女


女ー女ー女ー女ー女ー女ー女ー女ー女ー女



ちゃんと死者も含めたか?

ココと三人のリトルギャングが風鈴が四つぐらいぶら下がっていたブルーシートの中に入っていった

「よお、来たか。女はどいつだ?」ひげを生やした痩せっぽちの店主がいった

奥のカーテンの隙間から女達が覗いてきた

三、四人いた

ココがひげを生やした痩せっぽちの店主のすぐ後ろの棚にある青と白のパッケージのコンドームの箱を見た

「この女だったら七十五ぐらいで買ってくれ! こいつの下はいい具合だぜ!」下唇の割れたリトルギャングが言った

「お前やっちまったのか! じゃ値段は半額だぞ!」ひげを生やした痩せっぽちの店主が言った

「待ってくれよ! こいつは俺とヤる前から破瓜してたぜ!」下唇の割れたリトルギャングが言った



ココが店の奥から覗いている売春婦と子供の指の城を想う

今は閉鎖されていて中に入れない

鳥や虫や動物がそれぞれ固まって心配そうに見る

無くても生きられるけど悲しい

かすかに工事現場の音がする

ココが胸熱くなった

ここは生きることと同じ位置にあるものだとココが思った

ここはちょくちょくいろんな人が訪れる

でもいつか忘れる

ココが布団被っていた少女に声をかける

ココが煙草を吸って達観していた少女に声をかける

ココが今にも殴りかかってきそうな目をした少女に声をかける

ココは死という線で区切れるものか

ココが天井を見た

廃車のライトを使うのは当然だ

この世を動かすのが死より血か

なぜ卵を一人歩きさせない?

牛三頭を従えて

異国の珍しい種子を持って

従者に名工に作られた剣を持たせて

亡国の王宮で使われたタンスは燃やして灰にして

家に代々伝わる自慢の木は持って行こう

幼き我が子を抱いて

卵とは王である



急にブルーシートが開かれそとの光が入ってきた

太陽がココを見てなんと思う

長兄がこの地を知らなかったとでもいうのか

下唇の割れたリトルギャングと目の上にたんこぶのできたリトルギャングが振り向いた

指の太いリトルギャングが身を翻して飛び出した

弾丸が放たれる

ここにいる誰がまず死ぬか



因果

応報死すれば弾

あり亡き母の乳

首を吸う稚児米ぬかで手洗う老婆恐山に

は風吹くばかり悪魔笑う門には何も

ない田子の浦に撃ちいでて

みれば白妙のゴミの高嶺にアホ

は降りつつちゃんと遺言は届けたか?



三人のリトルギャングが引っぱり出されその次にココが出た

「よお、よくもやってくれたじゃねえか」長兄が言った

店々のブルーシートの隙間から往来の様子が見られた

長兄と三人のリトルギャングがいた

ココが長兄が下唇の割れたリトルギャングの頭に押し付けている拳銃を見た

「お前らよく俺の妹に手出したな! 殺されても文句言わせねぇぞ!」長兄が言った

拳銃の取ろうとした目の上にたんこぶのできたリトルギャングの太腿を長兄が撃った

「お前今すぐにでも殺してやるぞ」長兄が言った




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