表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/69

三人のリトルギャングのアジトに



ココが三人のリトルギャングのねじろに着いた

「今日からここがお前の家だ」目の上にたんこぶのできたリトルギャングが言った

ココが食べカスのついた毛布の上に置かれた

トタン屋根に這っていた虫が音鳴らす

下唇の割れたリトルギャングが地べたに座った

家の柱の木がギシシと鳴る

指の太いリトルギャングが小便をしに外に出た

ココが大便をしたくなったので体をずらした

「おい、どこに行くんだ?」下唇の割れたリトルギャングが言った

「用をたしにいくだけよ」ココが言った

「それはきっと尊いものだ!見に行こう!」目の上にたんこぶのできたリトルギャングが言った

「なぜそれが尊いの?」ココが言った

「俺逹は林の一部に畑を耕してて、肥料にし尿を使っているんだ。お前の出すのはきっといい肥料になる」目の上にたんこぶのできたリトルギャングが言った



ギャングが殺した人間を野良犬に食わせる

聞こえてくるぞ死の祭りだ

俺逹が偏屈者だ

家の窓が開けっぱなしだとそこから入ってきて遺骨入りのマラカス作る

踊れ踊れ踊れ踊れ踊れ

悪魔とハンターの賭け事が俺逹の何よりの享楽だったじゃないか

誰だルール違反したのは

この町には数年に一度旅の行者の姿をしたハンターがやって来て悪魔と追いかけっこする

憎しみの色をした血液が群衆のし尿と弾丸と果実の種子とネズミ捕りと麻薬と豚牛の内臓と全部混ざって無色透明の何かに消化するんだ

それが俺逹の祭りだ

でもこの町に祭りが無くなろうとしている

清潔だ清廉だ品行だなんてどうでもいい

そんなものに頭を下げて俺逹が何を教授できるんだ

どん詰まりの袋小路になるだけだ

俺逹みんな生ける死体

諸行無常諸行無常

永遠なんてありえないだよぉ

それが真実かって? そんなもんあったらもうとっくにこの世なんて無くなってらぁ!



ココが目の上にたんこぶのできたリトルギャングの持ってきたタライの中に大便した

三人のリトルギャングがそれにお辞儀した



ココが三人のリトルギャングに文字教えよう

「文字はあなた達の心の依り代になるわ」ココが言った

巨大な芋虫が鳥に咥えられて旅した

酒場の前で鉄鍋叩いて歌うのが女主人だ

往来の端で浮浪者がにやけた

文字がこの町に何をもたらすのか

三人のリトルギャングが笑いながらココの授業を聞いた

ココが微笑み返して地面に文字を書いた

バイクに乗った男が交差点左折して消えた

人に正確な所在はない

それは絶対に恥ずべきことではないと開拓ために切り倒された木が言う

行き場を失った子供が銃の引き金に指をかけた

この地が何によって支えられているかを誰も気にかけない

それはなんとも不遜なことだ

女が裁いたニワトリの骨を土の中埋める

それがきっと宴の合図だ

ネズミ達が行列隊だ

家の窓が開けっぱなしだとそこから入ってきて飲みかけの酒瓶を置いていく

踊れ踊れ踊れ踊れ踊れ



ココが悪魔とハンターを三人のリトルギャングに教えようと思った

「この町には悪魔達とハンターという人がいるのよ。そして、彼らがいるからこの町があり続けるのよ、きっと」ココが言った

「そんなの誰だって知ってるよ。みんなうすうす感じてるけどそれを感じられるのは一人一人違ってて。でも、きっとそこにあるよね」指の太いリトルギャングが言った

「それが俺達の世界だ」目の上にたんこぶのできたリトルギャングが言った

「でもこの町から悪魔がいなくなろうとしているわ」ココが言った

「開発だ発展だ平安だと人は言うがどうでもいい。何があろうと俺達の生は変わりっこない。風景変われど人変わらずさ。俺達なるようにしかならないさ。気まま身のまま風のまま」目の上にたんこぶのできたリトルギャングが言った

「おい、いつまでこんな話をするんだ?そんなこたぁ売られるお前には関係ねぇんだよ!」下唇の割れたリトルギャングが言った

「そうね、悪魔や童話があろうと無かろうと人は生きねばならないわ。実るものは人の行動ね」ココが言った




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ