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ココと三人のリトルギャング



地から生えた変なものがゲラゲラ笑っている

もっともっと死んだほうがいいと看板に描かれた宇宙人が言う

リトルギャングが小さい縄張りを奪いあっている

バイクの荷台に載せられた牛乳タンクが鳥と虫と動物を慰めるように揺れる

老婆と孫のし尿の撒かれた家の前が地柔らかくなって芽吹いた

油壺を抱えた少女が物乞いをする

柵に鉈を一本ずつぶら下げてお祭りのつもりだ

露店に積み並べられた果物が背広の男に盗まれる

ネズミの群れが人知れず排水路を駆け巡るのだ

工事の途中で終わったレンガ道に子供達が落書きをする

ココがまた童話と両足を探し始めた

丘から望む町の風景が死んだ芋虫の寄せ集めみたいだった

悪魔がなぜこの町にいたのか

スープを煮込む女の大鍋の中に人間が入っていたかもしれない

ギャングがみかじめ料をもらうために家々を訪ねて回る

機織りをする男がハサミを探して席を立った

壊れたテレビに人骨と青い炎が映り込む

ココがもう悪魔や白い罪人やしゃくとり虫とカラスや猿や白い仮面の少女を忘れてしまったのか

いやそんなことはない

爆薬がしまってある倉庫が低い唸り声を上げるのだ

後ろを見てはいけない

後ろを見てはいけない

○○○と×××が麻薬に血の粉を混ぜる



ココが歩道の隅で一旦止まった

熊送りの儀式はもう済ませたか?

ココを見て立ち止まった初老の男がココにお金差し出した

ココがそれを受け取って右のポケットにしまった

いいかげんにしろこのうすのろ!

テメェの脳みそはゆで卵と大差ねえじゃねえか!

殺した人の分だけ弁償しやがれ!

もうどうだっていいんだよだってみんな生ける死体だもん



ココが三人のリトルギャングに囲まれた

「おいお前、生贄の覚悟はできてるか?」目の上にたんこぶのできたリトルギャングが言った

「今日から俺達の家族にしてやるよ」下唇の割れたリトルギャングが言った

「チミも麻薬吸って気持ちよくなろ〜」指の太いリトルギャングが言った

ココが三人のリトルギャングに連れられて小道に入っていった



ココがこんどは三人のリトルギャングに荷車押してもらっていた

泥まみれのポルノ雑誌の女はペニスを見てエクスタシーだったか

豚があごを切られた後蘇生して逃げて故郷を思う

捨てられて山なるゴミが魔獣なり復讐す

悪魔は変色した精液を塗る

ココが何も案じなかった

だって夢食うは童話だもん

生かした人の分だけ罪背負えばいい

浮浪者の知識がバスタブを這うアリと同じ意味だ

リトルギャングを殺しちまえ

ココが右ポケットのお金をいじった

現地雇い労働者が表通りで騒いでいた

割礼してないやつはどいつだぁ〜!

壁の前でネズミの大群が牙で穴穿って倒した

死者と生者が公衆便所に代わりばんこに入る

ただ前を見ればいいんだただ前を見ればいいんだ

死者の学校の正門が凍って鳥が行き場を失うのだ

この町がもう鳥や虫や動物や死者や亡霊や悪魔を忘れてしまうのだろうか

そんなことできるはずがない

NPО職員のカメラに給食をもらう子供達が映り込む

人皮を剥いだ殺人鬼が人混みに入っていった

バイクに乗った運び屋が工事現場に弁当を届ける

政治にはもしかしたら死者はいなかったかもしれない

旅人はなぜこの町に寄ったか

動画サイトに載ったこの町の姿が奇妙に無機質だった

ココの童話と両足はどこにあった

子供達が広場に描いた大きな大きな虫

ココが髪をなでる風を感じるのだ

小道の銃屋の拳銃が妖精のように飛ぶ

油壺を町中に並べて全て燃やすつもりだ

鉈を持った子供が微笑みかける

家を守るため銃を持った用心棒が生き埋めにされた

廃屋の入り口にぶら下がった鈴が浮浪者と麻薬中毒者を寄せ付けるように揺れる

ココが死者の声を聞かんとしている

もっともっと読んだ方がいいと尻拭き紙にされた天使像が言う

電線にのったたくさんのカラスががあがあ鳴いた




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