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ココ処刑人の会議へ



両目を隠した青年が宝探しをしていた

自分で自分の政治を作る

目を舐められたウサギが国境を越えて車でやってきた

麻薬を吸い過ぎると頭が後頭部から爆発するような幻覚を見る

洗い物をしていた女がふと空を見た

木でできた墓に幽霊が頭から突っ込んでいるのだ

バイクが一斉に走り出した

ギャングが遊びでリンゴ目掛けて発砲した

ココがハンターと長兄について行って処刑人と話す



でもココにも何を言うべきかわからない

わからなくていいじゃないか人は皆生ける死体

階級も貧富も人種も国境も関係ない普遍の真理よ

コーヒー飲みながら浮浪者が股間を弄っている

ノコギリを持った大工が家々の屋根を切って回るのだ

ココが荷車に乗って長兄に押してもらっている

魂がいつも片道切符しか持っていない

なぜ人が人を愛そうとするのか

売春婦が暗い室内から表通りの車の行き来を凝視している

脳膜よ目を覚ませ

男達が小さな私設の工場で大麻を煮出している

銃に良い油をさせたら一人前だ

「そういえばココ、白い罪人のアジトだったあの家はどうするんだ?」ハンターが言った

「家は形あるものではないわ。死者の上に家はできるの。だからあそこは放っておいて大丈夫。来たるべき時に死者が誘ってくれるもの」ココが言った



「ここだ。ここで処刑人達と集会をしている」ハンターが言った

ハンターが門番に近寄って話しかけた

ココが血を流す痛みと血を流さぬ痛みの傷の違いを考えた

塀の隅の繁みにニワトリの親子がうずくまっていた

ココが二階の窓を見た

三人の子を昼寝させた母親が台所で魚をさばいた

河原で畑を耕す男が肥料のためにネズミを叩き潰す

リトルギャングがリボルバーから取り出した弾とアメ玉を口に入れる

亡霊が地に入って大麻の葉脈を行ったり来たりした

ハンターが戻って来てココと長兄が処刑人達の屋敷に入った



ココ足なくても童話探しの旅は続いた

自分で自分の家を作る

布で縛られたトランクに詰められた男が置き去りにされている

フクロウが奪い取っていく知識が人の殺し方である

路肩で寝ていた少年が空き家を覗き込んだ

紫色の水で女が髪を洗っているのだ

ココとハンターと長兄が屋敷の廊下を歩いた

巨大な灯りの下にギャングが集まるよう

廊下に並んだギャング達がハンターに挨拶する

そして懐の銃を握り直す

死ぬことは怖くない

俺達には尊厳がある

ココもハンターも長兄も処刑人もギャングも絵画になることを快く思う

長兄に押されながらココが腋の下を掻く

金と名誉を溜め込んだ太っちょ男がびくびく生きるのだ



ハンターがギャングにドアを開けてもらって部屋に入る

ココが無用に怖気ることはない

なぜ人が人を愛そうとするのか

椅子に座った処刑人達が机の向こうからココを凝視する

肢神経を根をはれ

掃除婦が屋敷の便器を雑巾で拭いている

魂を金に換えられたら一人前だ

「よし、そこではハンターさんも来たことだし、会議を始めよう」ヒゲを生やした小太りの処刑人が言った

「それじゃ、縄張りの取り決めを」魚の目みたいな処刑人が言った

「そのことで聞きたいことがある。大麻畑はどうするんだ?」警察署長が言った

「それはおいおい話せばいいだろう」アゴに傷のある処刑人が言った

「それよりも銃の輸入経路をどうか」タカ鼻の処刑人が言った

「いちいち言っているが今日は教会と人身売買についてのことだ。今じゃない」上座の処刑人が言った

「今回は第二ポノポ教の教義に沿って学校と教師の補足について話したいと思います」ハンターが言った



部屋の隅に長兄とココがいた

麻薬を吸った子供が高祖父の亡霊を見た

豚と牛と一緒に猟奇殺人者にトラックに積まれた子供が酒飲みながら服脱いだ

公園で遊ぶ子供達が盗みのため観光客を誘う

子供がゴミの山から見つけ出したネジと電子部品を口に入れる

亡霊が子供の中枢神経に入って感情を揺り動かした

「そのために学校を建てる費用の半分だけでもどうにか確保してほしい」ハンターが言った


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