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ココと長兄とハンター



長兄がココの乗る荷車を押していた

都市においての死がゴミとして現れる



「ココ、着いたぞ。ここがハンターさんの家だ」長兄が言った

長兄がココをハンターの家に押し入れた

窓辺の花瓶に花が活けられている

チェック柄のビニールのテーブルクロスが手を感じない

ダイニングにイスが一つだけある

二階が長兄にあてがわれた部屋だ

ハンターが奥の部屋から現れた

「やあ、こんにちは、ココ。また会ったね」ハンターが言った

ガスコンロで湯が沸いている

ココがテーブルのイスに座らされて動けない

ハンターがココに向かいあって座る

長兄がコーヒーを淹れ始める

冷蔵庫に小麦粉が入っている

本棚に第二ポノポ教の本がある

蛍光灯がもうすぐ切れそうだから替わりを貰ってこよう

「ココ、紹介するよ。この人が俺の恩人のハンターさんだ」長兄が言った

外に干してある洗濯物の中に魂の抜け殻がある

ハンターの銃はきっとどこかにある

ココの目に未来が映るか

家の中に風邪が入ってきて窓がカタカタ鳴る

部屋のすみになぜか誰もいない

「ココ、元気にやっているかい?」ハンターが言った

ココの体の水槽がどろりんとしていて上手くかき回らない

でも棒を引っこ抜くこともできない

ココがコーヒーを飲んだ

陽の当たる壁が光っているよう

ココが尻に違和感を感じたのでずらす

「おい、確か机の上に貰ったお菓子があるからそれを持って来てくれないか」ハンターが言った

長兄がお菓子をとりに奥の部屋に行った

「お前はまだ悪魔と一緒にいるのかい?」ハンターが言った

ココがハンターを見た

防虫剤が効いているのでアリが家の中に入ることはない

物置き小屋に掃除機が置いてあるのだ

天井からぶら下がっている紐

亡霊が少しずつ引越しの準備をしている

「ええ、私は悪魔達と一緒にいるわ。私は彼らが必要よ」ココが言った

「でも、もうじき悪魔はいなくなるよ」ハンターが言った



「どうゆうこと?」ココが言った

ゴミにいつか意味のなくなる日がきっとくる

彷徨う亡霊がいったいどこに着くというのか

長兄がハンターの机の上の本をどけた

机のペン立ての横に人形の首だけが置いてある

ココの手がテーブルクロスを掴む

「この町にいられるのは一つだけだ。今、この町は悪魔のものだが、処刑人達が町の浄化に乗り出している。そうしたら、ココ、悪魔はいなくなるんだよ」ハンターが言った

ハンターが湯を沸かすため立ち上がった

ココが何を言えばいいかよく分からない

ココがハンターを見る

ハンターがゴミを捨てる

ガラス戸の棚の中に風邪薬が入っている

キッチン下の収納のネズミ取りでネズミが虫の息だ

ここでの死の痕跡を彼らが記録するのだ

息絶えそうな人間がいるなら代わりを連れて来ればいい

「ココ、お前は身にふりかかる嵐にどうするんだい」ハンターが言った



嵐を前にしたココが肉体の抜け殻か

この世に文の矢じりというものがあるのだろうか

ココの目に魂は映るか

家の中に風が入ってきてココがブルリと震える

家の周りになぜか悪魔もいない

ココの魂はどこにあるんだいそれが童話かい?

ココの体の水槽が実はからっぽでかき混ぜられない

だから棒引っこ抜いても何も付いてこない

ココが意志を飲んだ

ココの暗中の遥か一点が光っているよう

ココ駆けても体が脱力してすぐ伏してしまう



「そう、俺とお前の兄貴は処刑人の町の浄化を手伝っているんだ」ハンターが言った

長兄がお菓子を持って戻ってきた

「ハンターさん、お願いです、ココをこの家に置いてもらえませんか」長兄が言った

長兄がココを見た

ココが精神剥離しているのでハンターに言うことはない

ココの内側に声だけが反響するのだ

新しい淹れられた薬湯

亡霊が空の新しい家へと入っていく

「ココ! お前からも何か言ったらどうなんだ!」長兄が言った

「私の家はあそこよ。私はここにはこないわ」ココが言った




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