ハンターへのココの答え
「じゃあ、お前の行き先はもう決まっているのか?」ハンターが言った
「私は童話と両足を探しているの。行き先なんてわからないわ」ココが言った
旅人が乾土に寝転んで
糞尿がトレーラーのエンジンを無駄にする
大きなうさぎがひっくり返って日が落ちるのを待つ
麻薬の売人が待ちくたびれ酒を投げ捨てているだろう
ココがハンターを威嚇している
焦る必要もない荒野が孤独を知る
「じゃあ、お前のこの旅には何も無かったんだね」ハンターが言った
「何も無い? そんなことないわ。私は旅の中でいろんなものと出会ったわ」ココが言った
「お前はその出会ったものから何を感じたんだい?」ハンターが言った
「彼らは人間と出会うことより人間のことを教えてくれたわ。人間は人間以外のものでその多くを作っているのに人間であるがためにそのことに気づけないのよ」ココが言った
「それはきっと、お前が一度バラバラになったからわかったということだね」ハンターが言った
「そうね。私が一度バラバラになって何も無くなったからわかったんだわ」ココが言った
宇宙から見て空が青い手にとれないような何かだ
星が光って花びらと融合して得体の知れないものになる
それが存在していてもいい価値あるものかどうかうさぎにもわからない
トレーラーも立ち止まり十四人の刺客が空を見仰いだ
マネキンが存在なんて認められないと言いながら頭から墜落してきた
ココがハンターの下に這い寄っていく
ハンターをココをただただ見ていた
「私は悪魔達と行くわ。両足と童話を求めて」ココが言った
「じゃあ、今度は町に戻ってみたら。そこに両足と童話はあるかもな」ハンターが言った
ココがハンターを見上げた
トレーラーが空炊きしている
「なぜあの町に戻らなければならないの? 私はあの町から追放されたのよ」ココが言った
うさぎと花とマネキンとトレーラーと旅人と空と乾土が宇宙
麻薬に鼻をノックされたのでココが振り払う
ハンターのリボルバーの撃鉄がチャキチャキと笑う
ここから見たあの町が黒く硬い垢みたいな何かだ
「そうか。でも、お前はお前を生んだあの町の息吹から逃げ切れるのかな?」ハンターが言った
弾丸の爆発でマネキンが砂状になって萎んだ
荒野の人を受け入れることが青いのにとって忌むべきことかどうか不明だ
蜃気楼が自分が自分であることを語る
うさぎが花びらを食べて黒く硬い垢みたいのになった
「あの人を殺すような太陽の下に私の両足と童話はあるのかしら。私は透明なものしか見えないの。あの町で私は生きていけるのかしら」ココが言った
あの町の教会の鐘が荒野に響く
ハンターが耳を澄ます
リトルギャング達が子供を攫って拳銃を渡しているだろう
不良品のバイクを乗り捨てて日が昇るまで寝る
少年の糞尿が三輪車のエンジンを駄目にする
老女乞食が路肩に蹲って当て知れず麻薬を盗んだ
牛乳の引き売りが失踪した母を探している
「もう、お前の行き先は決まったようだな」ハンターが言った




