岩山と白い仮面の少女
雑草が冷えて血を流した
岩肌が布団で固い足裏を離さない
酷使された弓はいつか壊れるものである
見上げた頂が空を隆骨で脅すのよ
微かに流れるせせらぎが体液だ
岩の裂け目から酢えた臭いがした
ココが悪魔タタンの肩に乗り岩山を登った
「ここには何もないみたい」ココが言った
粘ついた空が岩を平らにした
悪魔達が歩くたびに疲れた
息をもらす男が重荷を引いている
ひび割れた肉は導かれてできたものか
リンゴが岩の上一つ置かれている
流れた血が闘士の憎の礫となるのだ
「そこにいるのは誰だっ!」悪魔ギャニットが言った
巨大な羅針盤の上で拷問する
瞬間の叫びを岩岩に刻み付けた
裏側の苔が笑っていた
岩の裏から白い仮面の少女が現れた
「あなた達は何者ですか? どうしてここに来たのですか?」白い仮面の少女は言った
誰かが草のナイフで足を切った
岩の静脈が飽きであった
すき間の芽が人の体温を求めているのだ
「私達は探し物をしているの。私の両足と童話を探しているの。あなたは知らない?私の名前はココ」ココが言った
死ぬ間際の血の色が黒い
空の青さは吐瀉物を濾過したからだ
歩くことで笑った岩が垢で崩れるのだ
「私はあなた方の探し物は知りません。ですが、この山の猿なら何か知っているかもしれません」白い仮面の少女が言った
透明な杭を練り上げる時岩の粉末が必要だ
濁った油をかけると雑草が喜んだ
人面岩を見つけて肉親皆呪われた
岩穴に空がすっぽりと入ることを誰も知らない
白い仮面の少女の礫がココと悪魔達に当たった
「あの女、おかしくないか?」悪魔ギャニットが言った
「黒だろうと案内してもらうしかないわ」ココが言った
岩の裏が激しく脈打っていた
地を穿ったコンパスで宝のありかを探る
心臓が水平に飛んでいくの
乾燥した表皮が純金の型を求めているのだ
柔らかい剣が粘土であった
白い仮面の少女が肉の足枷で捕らえられていた
気圧の変化で牢が現れた
捕らえられるべきは誰か
「ちょっと休みたい……」悪魔タタンが言った
「もう少し先の大きな岩の上で休みましょう」白い仮面の少女が言った
地下の水が腐っているのだ
一千年前の石が尖って登山者を困らした
ココが太陽の位置から方角を見る
神が見えないのがただ眩しかったからだ
磨かれない岩岩のガラス質が愚鈍なのであった
白い仮面の少女がリンゴを取り出す
「休憩の時に食べましょう」白い仮面の少女が言った
隆起した岩肌は高温にならないのだ
呼吸のたび古皮が礫として落ちている
悪魔達が疲れ切っていた
「あそこの平らな岩です」白い仮面の少女が言った
ココと悪魔達が大きい平らな岩の上で休んだ
そこには何もない岩の窪みに人一人入れた
「はい、これがリンゴです」白い仮面の少女が言った
割ってみると甘い匂いがした
空から垂れてくるのが鉛色だ
闘士達の鎧が溶け出すのよ
ココの口に入って変な味がする
座った感触が人肌で温かい
雑草が滑って転んだ




