処刑人の襲撃
処刑人が集まった
逃げ出さぬがため車のタイヤを潰せ
街灯が消されたのは顔をわからなくするためだ
バッタが踏み潰された
今日が涼しく過ごしやすい日だ
卸したての小銃を携えて
この町で銃声を聞かぬ日などあってはならない
紛争地などよりここはもっと貪欲だ
家畜を屠る要領が首を切る感覚だ
弱者の生きる途がたかがしれている
アロハシャツが銃油の染みで汚れる
野良犬がゴミ収集車の中で潰れていたのがいつのことな
ナイフがポケットの中に入れられる
浮浪者が死体の目玉を袋に入れる
寝息に混じって聞こえるのが殴られた裏切り者のゲロを吐く音だ
夜空に向けられた小銃が星より光っている
イモムシがひっくり返って息を潜めた
町の家々の灯りが麻薬の唾液だ
誰かがふかし売買をしている
生きる世界がここでしかない
夜風が語る今日麻薬になった子供の話だ
白い罪人が標的にされた
駐車場が車で埋まっていた
銃と弾がいくらとわからぬほどにある
焼けただれたのが男の顔だ
車のライトが不具者ばかりを照らすのだ
割れたシャワーヘッドが腹に刺さっている
廃車場がふざけていた子供達に世の摂理を教えるのだ
金髪か血まみれのシャワーヘッドに絡まっている
雨が降っていない
穴のあいたフライパンがもの悲しい
処刑人達が白い罪人のアジトへと向かう
後戻りなどできない
白い罪人達を皆殺しにすればいいだけだ
生者の行進が死者の行進と大差はないと誰もが知っているはず
生きろ生きろ生きろ
寝室で心臓発作をおこした麻薬中毒男が見た
処刑人達が白い罪人のアジトの前に着く
辺りは静かだ
小銃の臭いがいまだに慣れない
靴の裏には花弁が付いている
家々のトタン屋根が歪まない
夜の寂しさが処刑人に白い罪人を見通させる
小銃が放たれた
弾丸が壁を抜け室内に散らかす
人体が果てない孤独から抜け出そうとするから
ギャングが右目をつぶした
銃声の混合が夜の静けさと尊ばれた
三発の弾丸がギャングの頭を床にぶつけ
死傷者の叫びが銃声に負けぬ
ナイフを抜いても眉間が抉られた
処刑人にはギャングが案山子でしかない
床に伏せ味わう血だ
処刑人が薬莢で火傷する
ギャングが殺した人数はいかほどだろうか
弾倉が切れたから取り外された
処刑人が棒で死体を退ける
夜風と聞こえる性交中の麻薬中毒の叫び
室内に舞い上がる粉塵がむせさせる
ギャングがひっくり返って息絶えた
処刑人の構える銃口が監視する目だ
視線が善人であろうと死体しかささない
室外が動くのだ
銃声が腸を震わす
快楽の供物
割れて錆びた看板
二の腕に弾丸が詰め込まれていた
指と拳銃がいくつとわからぬほどある
ギャングの顔が狂気に歪む
電灯が吃るギャングばかりを照らすのだ
ランプスタンドも月光に向けて立っていた
四人掛けチェアーが処刑人に埋葬の仕方を教えたのだ
銃口が荒れた室内に向いている
まだ銃撃が終わっていない
粉々の絵画が凄惨さを語る
処刑人達が入る
騒ぐ浮浪者達が見る
襲撃の後の荒れ屋で食物を漁るからだ
死の向こうにどうしたって生がちらつくのが仕方が無いことだと町の皆が知っている
生きる生きる生きる
木の下で熱病の少年が餓死する
カラスが人の生殖活動をじっと待つ
室内は荒れている
ギャングの死体がトランプを散らして倒れている
天井ランプの裏は跳ね返りの弾痕がある
処刑人達が死体を踏む
銃を構えて処刑人が階段を見つける




