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こころのこえ  作者: すてん
こころともに
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やさしさとかげ2

2日前のこと。学校が終わっていつもの散歩に出かけたときにあの子に出会った。

ものすごい駆け足であの神社の方に走っていった。

私は気になって、たったとあの子の後ろを駆けていく。

あの神社は今にも壊れそうでだれも近寄りはしなかった。私自身もねこになっても数えるほどしか行ったことはないし、ましてやわざわざ女の子が駆け足で行くような場所ですらない。


私はあの子の足の速さに負けてしまい、本殿を目の前にして見失ってしまった。仕方なく本殿の周りをうろちょろしていると中で普通は聞かないようなガタゴトと音が聞こえた。

ひょいと本殿の階段を登り、腐りかけた床を少しだけ爪を立てて歩く。本殿の正面側の襖の隙間に身体をねじ込ませて見るとするりと入り込む。

そこには、あの子が身に付けていた服やカバンが『身に付けていた人がいなくなったかのように』折り重なっていた。

その情景には見憶えがある。いや、『いつも見ている』と言った方が近い。


あの子、もしかして……


足音をさせないように爪をしまって服の前に近づけば、何かないかとぐるぐると見回した。

まだ、手がかりもなにもないときに自分が入ったとこはとは違う側面の襖から何かが入ってくると、自分はあわてて崩折れた御神体の隙間に身体を隠した。


入ってきたそれは、自分より少しだけ大きなたぬき。


そのたぬきの口には葉っぱを一枚咥えていた。そのままもごもごと脱け殻になった制服の中に入っていけば、制服は徐々に膨らんでいって次第に人の形を形成していった。


私もこんな感じなのかな


少し驚きながらもまじまじと変わりゆく姿を見れば、いつの間にかまたあの女の子の姿に成り代わっていた。

その子は息を切らしながら人としての自分を確認していた。耳、目、鼻、口、胸や尻尾をちゃんと無くなっているかを丹念に調べると、「よし。今日もやれた。」と呟いた。

私はちょっと自分の尻尾がちゃんとなってるか気になって、目の前に尻尾を持ってきて猫じゃらしみたいに弄っていた。

ガタンと襖を開ける音がしたと思ってすくっと立ち上がるも、弄ってた尻尾を弄っていたせいでどこに行ったか見失ってしまったのだ。

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