軸のないこの世界
軸のないこの世界で 罵声と怒声が響き
ねじれた歯車が ドロドロに溶けてゆく
口汚く声荒げ 銃口を向け合って
ずっと迷い子のままで 陽はしぼむ
お前の持つその歪んだ悪意を拭えれば
どこかのベッドで眠る子供の 一人や二人は救えるだろう
刺された刀傷と 体中浴びた血漿で
俺もお前でさえも 生き抜くことは出来ないと知る
追想 黙想 瞑想
追想 黙想 瞑想
そのあとに
ネットの戦場 体なきその世界で
他人が何感じようと 何思おうと
感覚中枢が満たされる字面を探す 掲示板はその媒体さ
食べるのはカップヌードル 冷えたお茶はまずくて
それでも脳内モルヒネは満タン
呼吸困難になるほど スマホを眺めて 自涜と冒涜の狭間を行き来する
「俺が一番だ」それが言いたいだけさ 傷のなめ合い野郎が 「評論」という名のマスタべをかましてる
そら粗を探せ ほら足を引っ張れ ない物ねだりで殴り合い
そう気づけば 俺もお前も地べたをのたうち回ってた
血 泥 土塊 消えた魂 消えた愛情 消えたやさしさを求めて
軸のないこの世界から 罵声と怒声は消えて
静かな空を仰ぎ 血塗られた手を見て 泣く