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異世界の監視者たち  作者: 空のかけら
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第6話 大量召喚?

俺を召喚した人と一緒に牢屋に入れられてしまった。

捕まる前に言われた言葉…掃除係。もしかして、俺を召喚したのは、一番若くて能力の低い人だったのだろうか。牢屋の隅で体育座りで顔伏せている。肩が震えているところを見ると泣いているのかもしれない。どう、声をかければいいのか、躊躇しつつ、そっと肩に触れると、びくっとした感じでこちらへ顔を向けた。泣き顔がひどい。


「あ~、まぁひどいことを言われたようだけど、なんとかなるんじゃない?」

「…」


何も言わずに、さっきと同じように顔を伏せてしまった。顔を伏せながら、独り言のように


「なんとかなるわけないじゃないです。きっとこのまま、反乱の恐れありとして、明日の朝にでも処刑されてしまうんだ。もう、なにもかもが終わり。」

「事情を聴くとか、裁判とかはないのか…。」

「事情なんか聞く訳ない。結界に拒まれただけで、有罪確定。」


思ったより事態は切迫しているように思った、そのとき。地面が揺れた。結構揺れたぞ、今のは。


「きゃー。揺れてる揺れてる。なになに。」


パニックになっていた。


体感的に、震度4くらいはあったのではないか。地震だろうけど、おかしな揺れ方だったような気がする。揺れると同時に身体が浮き上がるような、重力が失われたという、ちょうど無重力状態。そのせいか、隣の人が最初の揺れで悲鳴を上げ、あとの疑問で浮いているのが分かったように。


突然、牢屋の扉が開き、10人近くの男女が牢屋に運んできた。服装を見れば、自分たちと同じような服装から、おそらく召喚されてきた人だと思うが。

泣き喚いたり、激怒している人もいる。牢屋に入るまで、運ばれてきた人達は、薄い膜のようなものに包まれ、その外に出たり抵抗できないようだ。


そのうちに、運んできた人たちをこちらとは違う牢屋に入れ、


「この牢屋にいる者は、明日処刑される。罪状は、反乱罪だ。せいぜい、死ぬ光景を想像しておくんだな。」


と言って、大笑いをしながら牢屋を出て行った。


隣では、相変わらず、泣き喚いたり怒っている声とか、鉄格子を揺らす音がうるさい。

まぁ、こっちは静かに過ごしているだけで、内心は似たようなものだけど。


『そろそろ、良いわね』


そんな声が頭の中に響いた。

隣はまだ大騒ぎ中だったから、やけに明瞭に響いた。


『脅かすわけじゃないけど、できるだけ他の人にばれないようにしてね。これから、あなたに能力付与を行います。この能力付与はなんでもできるという万能型ではないわ。付与できるのは3点。

1つ目は、送還。召喚で呼んだ者を元の世界に送り返す呪術。これを何の条件もなしで実行可能。

2つ目は、削除。不必要と思ったものを消す能力。ただし注意して、不必要と思った瞬間に消えるから。

3つ目は、回収と放出。エネルギーを回収・収集・吸収し、かつ放出することができる。


この世界は、大量召喚をした関係で、世界全体のエネルギーバランスが崩壊の危機に陥っているの。今、この場所は召喚時の空間の揺り返しを受けての影響が地震のような震動だけで済んでいるのだけど、この周囲の世界はあちこちで綻びが生じ始めている。あなたのこれからやらなければならないのは、召喚された人達を元の世界に送り返すこと。あなた自身は、私が責任を持って、守護するから安心して。』


「………内容が飛びすぎて分からない部分が多かった。3つの能力については、分かりました。あとは、召喚で来た人を送還すればいいんですね。」

『その通りよ。ただし、この世界に元からいる人はダメだからね。あなたの隣にいる子も。』

「でも、牢屋にいて出られないのですが。」

『削除という能力を使えば、あっという間に出られるわよ。』


鉄格子を見て、いらないと思った。その瞬間。鉄格子はなくなっていた。


『あそうそう、能力は、全てアクティブ状態。条件が満たされれば、勝手に発動するから。もちろん、意識して行うことで、発動開始は少し遅らせることができるけどね。削除だけは、自分に危害が与えられるものすべてに対して自動発動。だから、牢屋を出たら、城の中を歩き回るといいわね。危険性は全くないから。』

「は、はぁ…」

『時間もないから、とにかく急いでね。現時点での召喚人数は約50人。できる限りの人数を送還してもらえれば、ボーナスをあげよう。と、さっきも言ったけど、隣の子は放置しても大丈夫よ。』


時間がない。となれば、急いでここを出ないといけない。

隣に座っていた子に、


「どうしても行かないといけなくなった。鉄格子は消したので、これで自由に出歩けるはず。」


となりの子は、何も言わず、なくなった鉄格子があったところを見つめ続けていた。


「じゃ、じゃあ、またね」


また会えるかどうか分からなかったけど、そんな言葉を言って、牢屋を出るべく、扉を見、次の瞬間、扉は消えていた。

そういえば、うるさく騒いでいた人たちはどうなったのだろうと、牢屋を見たが、誰もいない。視野の右下の方に、送還済み10人、累積10人。現在の累積召喚数52人。

急ごう。


******


「能力、もらいましたけど。」

「能力付与しましたねぇ~。」

「これで、なんとかなるんですか?」

「これだけだとなんともならないわね。」

「じゃあ、どうするんでしょうか。」

「それは、あなたの行動次第よ。」

「私はここにいるんですが。」

「日頃の行動が、あそこにいるあなたの行動の原点。なるようになるでしょ。」

「はぁ…。それはそうと、隣にいた人たちがいなくなっていましたけど、送還されたのかな?」

「能力はアクティブ。すなわち常時発動。任意で発動する場合は、それ自体を認識する必要がある。ただし、削除の能力は常時発動だけではなく、危険察知型。自分自身に危険が発生した場合に自動発動。離れた場所からの狙い撃ちはもちろん、該当範囲によっては指示を出した人も削除される。今回の該当範囲はせいぜい半径5mだけど。」

「それ、かなり危険な能力では?」

「かもしれない。削除後に、視野の右下にある現状把握モニターに注意書きが出るくらいしか、確認のしようがないけどね。」

「現状把握モニターですか。」

「そう、モニター。そこに掲載されるデータは、能力の使用に関するもので、

送還の場合は、直近の送還した人数、その累計、現在召喚された人数。

削除は、直近の削除内容、削除累計、危険察知累計

回収が、直近のエネルギー回収量、回収累計量

放出が、直近のエネルギー放出量、放出累計量

となっているわ。削除によって消されたものは、エネルギーとして回収される。ただ、放出は同時に行えないので、別々に計算。となっている。」


そこで、一度ため息みたいなのをついて、モニターを見ていたが、扉の方から入室の許可を得る声が聞こえてきた。


「スリー、要請により出頭しました。入室を許可、願います。」

「入室を許可します。」


ドアが開き、そこにいたのは、モニターの先で俺を召喚した女の子と瓜二つの顔した人だった。


いつも読んでいただきありがとうございます。

できましたら、感想、評価などをお願いします。

感想につきましては、読ませていただき、今後の作品作成の参考にさせていただきます。

ただし、返信は無理かもしれませんので、その辺はご承知おきください


***H30.10.30追記

 別の小説 お約束は裏切らない…はず の方で、ここの情報を用いた小説を書いてしまったので、こちらは完結の処理をしました。

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