第4話 実地研修?
それによれば、この空間は、ある世界に存在している学校がある場所の一角だという。
学校の名前は…特に自由に決めてもらって構わないと言われてしばし考えた結果、単純に学校と呼ぶことにした。名前を付けるのが、苦手だからな。
社長でもある親父に研修という名でここに来ることになったのは、その親父もここで研修を受けて、一定期間、監視者や管理者として仕事をしたためだと言う。しかも、現在は休暇中となっていて、何日かにこちらに来るという。そんな様子がないので、その点を聞いたところ、時間の流れが違う上に、適合者だから気が付かないように業務をこなせるのだという。
その俺も、適合者であることはかなり前から分かっており、どのタイミングでこちらへ来てもらうかを検討した結果と言われたが、会社の出張名目でこっちに来るやり方はどうかと思う。周囲への説明は、やりやすいけど。
講義の内容は、最初なので基礎的な部分だけと言われた。
研修前の講義だから、身構えていたのだが、言われた内容を聞いて、唖然とした。
「まずは、こことは違う世界を見に行ってください。先入観を持たずに行ってもらえればいいです。その世界は、一見なんでもないように見えて、実はとんでもない世界。でも、みなさん歓迎してくれますよ。そうですね、1年くらいしたら、こちらへ戻ることにしましょうか。」
いきなりの実地研修指示だった。
「では、こちらへどうぞ。」
言われた先には、いくつかのドアが並んでいた。その内の1つが薄暗く、部屋の中心に光る円柱状のもの。周囲には、モニターに何か映っている感じがするものが四辺にある。部屋の大きさはおおよそ一辺10mと言ったところか。
部屋の中心にある光る円柱状に入ると、異世界へ転送されるという説明で、ここに入るときにあった自動ドアだと思って入ってもらえば、こちらが指定した場所に行けるとのこと。
その円柱に入るように指示され、その光る円柱に入ったと同時に、周囲の歓声と打ち上げ花火みたいな物が飛んでいる場所に出現した。
どうやら、異世界に到着したようだ。
さっきの草原へ出たのと変わらないと思ったが、それは気にしてはいけないのだろう。
何はともあれ、1年間はここで過ごすことになるのだから、移住してきたというかんじでいいのかもしれない。心機一転という感じかな。
*****
光る円柱に入ったと思ったら、円柱の反対側出てしまった。
転送失敗か?と思って、スリーさんを見て、何かあると思うのは当然かもしれない。
肩が小刻みに震えていたからだ。
少し、不満げにスリーさんを見ていると、ようやく収まったのか、こちらを見て
「転送は完了しました。」
どう見ても、笑いが収まってから言葉を発した感じ。
だから、不機嫌な感じで返答するのも、仕方がないと思う。
「俺は相変わらず、ここにいますけど?」
「転送されるのは、あなたの複製体。しかも、何らかの問題で本体に影響がないように、系統は一時的に切ってある。系統については、今後説明するけど、複製体の魂への攻撃等が本体に影響しないようにするもの。これがないと魂魄攻撃で、本体ごと消滅もありますから。」
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