エピローグ おはよう
完結です。
目が覚めると、傍にエミリアがいた。
ぼやけている視界が安定してくると、自分がベッドの上にいることに気づく。
「……今、何時?」
「朝の七時よ」
エミリアの答えに俺は、急激に力が抜ける感覚に襲われた。
戦いが深夜だったことを考えると、ろくに寝ていない。
珍しくすっきり目が覚めたと思ったのに、俺って奴は、なんて駄目な奴なんだ。
「二度寝するわ」
「駄目よ」
間髪入れずにエミリアが俺から布団を奪い取った。
朝の肌寒い風が部屋に差し込む。エミリアめ、窓を開けたな。
「起こさないんじゃないのか!?」
「期限は一日だけよ! あなたが寝たのは、昨日の深夜。今は次の日の朝。わかる? ノブト君。あなた、丸々一日以上寝てたのよ?」
「あー、だからすっきりしてるのか」
ポンと手を打つと、エミリアが額に手を当てながら溜息を吐く。
「はぁ……丸々一日寝ないとすっきりしないって、ほんとうに燃費の悪い体ね……。とにかく、わかったら着替えて食堂に来なさい。学院長たちはまだ帰ってきてないけど、生徒はみんな揃ってるから」
「いやいや、ここはもうちょっと寝かせてよ……」
「主だった職員は出払ってて、今はノブト君が職員代表なの。絶対に起きて、食堂まで行ってもらうわよ」
有無を言わせぬエミリアの背後に、俺はなんだか鬼神のオーラを見た。
そのオーラに負けて、俺はコクコクとうなずいてしまう。
ま、すっきり目が覚めたし、起きるのも悪くないか。
「じゃあ、着替えるから出てって」
「二度寝しちゃダメよ?」
「わかってるよ。そんなおっかないことしないから」
言いながら、部屋の扉付近までエミリアの背を押していく。
そのままエミリアを出るに任せていると、エミリアが出る寸前に足を止める。
まだなにかあるのか、と警戒して、思わず腰が落ちる。
けれど。
「言い忘れてたわ。おはよう。ノブト君」
「……それだけ?」
「朝の挨拶は大事なコミュニケーションよ。一日をはじめるのは、おはようなんだから。はい、さんはい!」
指揮者のように片手を振るって、エミリアが俺に朝の挨拶を求めてくる。
そういえば、エミリアに対して〝おはよう〟って言ったことはなかったっけ。
「……おはよう」
「うん! おはよう!」
俺のおはように対して、エミリアは満面の笑みで返す。
たまには朝の挨拶も悪くはないかもしれないと、不覚にも思ってしまったのは内緒だ。
ここまでお付き合いくださった皆様。まことにありがとうございます。
えー、本日、3月27日は僕の誕生日でして。できればこの日までには終わらせようと思っていたのですが、いろいろあって、誕生日に完結することになりました。ギリギリですが、めでたしめでたし笑
さて、無事に完結を迎えたわけですが、前に書いたドレッドノートと同じように、これも文庫本の一巻を意識した構成となっています。
広げようと思えば、広げられますが、今回はここで完結です。一応、うまく纏めたつもりですが、気になるところは読者様のご想像にお任せします。
今年の目標は色んな小説を書いてみる、なので、またすぐ新作を書くかもしれません。そのときは、また応援してくださると幸いです。
あと、軍師も応援していただけると幸いです笑
本当にありがとうございました。
またお会いしましょう。




