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ホラー短編作品集

擬人雲

作者: 候岐禎簾

学校からの帰り道、私はよく空に浮かんでいる雲を見ている。

雲を見ているととても楽しい。なぜならいろんな形をしている雲に出会えるからだ。

車の形…。犬の形…。カバンの形…。

いろんな形をした雲が空に浮かんでいる。

たぶん同じ形をした雲なんてないだろう。

そんなことを考えながら今日も空を見上げていた。


「あれ…。あの雲…?」

私はついそうつぶやいてしまった。

なぜなら人の形をした雲を見つけてしまったからだ。それにしてもなんだか不気味ぶきみだ。

形が妙にリアルなのだ。

長い髪にスカート…。そしてハイヒール…。

ここまで見えてしまうのは私の想像力が豊かすぎるからだろうか。

でも、他の雲とは明らかに違う。

そう思うとなんだか怖くなってきた。

「今日はどこにもよらずに早く家に帰ろう…」

そう決めた私は早足で家に帰った。



次の日の帰り道、私は相変わらず空を見上げていた。今日も昨日と同じで良い天気だ。

たくさんの雲が空に浮かんでいる。

「えっ…。あれって…。まさか…!?」

私はまた見つけてしまった。


そう、人の形をした雲だ。


形も長い髪にスカート…。そしてハイヒール…。

まったく昨日と同じだ。

その異質な雲が他の雲と混じりながら空にプカプカと浮かんでいる。


これはただの偶然なのだろうか?


でもこんな偶然ってあるのだろうか?


まるで禅問答のようなこれらの言葉が私の頭をクルクルと回る。

「ちょっと…。なんかヤダ…」

私は走って家に帰った。



「ねぇねぇ、今日、理科の佐藤がさぁ…」


「ハハッ…。なにそれ。面白ろすぎだよ」

次の日、私は友達の結花ゆかと一緒に帰っていた。

今日はこれから二人でショッピングに行く予定だ。

結花とは中学から仲良くなったのだが、今では私の親友だ。

ちなみに今日の天気は雨だ。

空はどんよりと曇っている。

こんな天気なら人の形をした雲なんてあるわけない。そう思うとなんだか安心した。

そして私達は目的地の駅ビルへと向かった。



「今日、良い買い物できたね!」


「だね!本当に来て良かった。欲しかったバックも買うことができたし」


その出来事がおきたのは、二人で買い物を済ませた後、他愛たあいのない会話をしながら雨が降り続く街中まちなかを歩いている時だった。


ドン!!!


何かが空から落ちてきた。


私達は最初、あまりにも突然の出来事だったせいか何が落ちてきたのかわからなかった。

「お、おい!誰か!女性がビルの屋上から落ちてきた!救急車早く!あと警察も!」

すぐ隣を歩いていたサラリーマンの声を聴いてはじめて女性がビルから落ちてきたのだと理解した。

そして、私は落ちてきた女性を見た途端、恐怖で体が凍りついた。

長い髪にスカート…。そしてハイヒール…。

そう、それは私が最近、よく見る雲の形にそっくりなのだ。


「こ、これも偶然なの???」


その私のといに答えるように、血だまりの中でうずくまっている女性は首だけを上にあげて、私を見ながらニヤリと微笑ほほえんだ。



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― 新着の感想 ―
[一言] こんにちはです。読ませていただきました。 主人公が偶然にも見つけてしまった擬人雲がまさに人の死を示していたんですね。『空』をよく絵を描く『キャンバス』にたとえることがありますが、まさか人の…
2015/07/01 15:53 退会済み
管理
[一言] 月並みな感想だけれど地震雲みたく人の死を予告してたのかな
2015/06/30 08:32 退会済み
管理
[良い点] 発想が凄かったです。ラストが不気味で秀逸でした。 面白かったです。
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