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授業そして夢

 俺が入ったクラスでの授業はなかなか進む事は無く教師も呆れていた。

 事あるごとにベイェモンとベリオールが口論になり、喧嘩に発展してしまう。それを全員で止めるのがほぼ毎時間の習慣となっている。

 でも、1つ気になるのが何故俺がこのクラスに入れられたのか、とても気になる。

 ハーフでもなければ、力があるわけでもない、まあ、あの学園長の事だ。何かあるのだろう。

 それにそんな事も静かに考える事が出来ない位、うるさい。


「おいフェール! このクソ葉っぱ頭のクソ女に何か言ってやれ!」


「いや、何も言うことねぇよ!」


「てめぇはこの女の味方なのかよ!」


 ベリオールは頭が痛くなるほどのバカだ。そして、葉っぱ頭のベイェモンは胃がキリキリ鳴るほどの厄介事を持ち込むトラブルメーカーだ。オブライエンには酔って酒を無理矢理飲まされていつの間にか二日酔いだ。

 他のクラスメートもなかなか個性的だ。いきなり教室を森にしたり、クラスの全員を眠らせたり、ベリオールとベイェモンも喧嘩に参戦したり、やりたい放題だ。

 そんなクラスだが、唯一静かになる授業がある。学園長自ら教鞭を執る時だ。最初はやはりうるさいのだが、それが嘘のような静けさになる。


「ベリオール、これわかるかしら?」


「反対に聞くがわかると思うか?」


 こいつ、徹底的なバカだ。だが、結構真面目な顔で答えているあたり、真面目なのもしれない。

 学園長は少し笑い隣の俺に質問してきた。


「じゃぁ、フェール? 基礎になるけど魔法術式の最小構成数と魔法術式の発動方法はわかる?」


「んー、まあ、一応。3つ以上の術式を組み込まないといけないんだろ? その術式がどうやって構成されるかは未だ不明らしいがな。魔法術式の発動って言っても術式の構成は詠唱具自体が行っているからな。詠唱具に術式の種類を意識として何たらかんたらだったか? それに、最低でも2つの命令術式を組み込まないとロクな魔法は使えないだろう? 教養がない魔法使いが火を起こす、風を起こす、水を出すぐらいの魔法が使えないのは命令術式を知らないから、かねぇ」


「その通り、確かに魔法術式の構成は詠唱具が行っているわ。けど、それはとても不安定なのよ。詠唱具は元々魔法が使えない一般人用のものだったのよ」


 驚きだ。詠唱具が一般人用だったとは、しかし今は魔法使いの所有がほとんど、だから学園長の話には驚いた。

 それにしても学園長は何歳なのだろうか。そんな話を叔母にも聞いたことはない。もっと昔の話なのだろうか。


「じゃぁよ、なんで今は魔法使いが持ってんだ?」


 葉っぱ頭、ベイェモンがよくわからないという顔で手を挙げて質問した。それもそうだ、今では魔法使いの道具と言う認識が多い。

 魔法使い自身も同じような認識だろう。


「そうね。それはまた今度説明するわ」


 チャイムが鳴って、学園長が教室から出ていったその瞬間いつものうるささに戻った。先程までの静けさは何だったのだろうか。

 オブライエンに後ろから背中をトントンと叩かれて振り向くと酒壺を見せてきた。


「飲むかい?」


「飲まないよ。けど、随分真面目なんだな。みんな、お前はずっと飲んでたみたいだが」


「そうさね、まあ、あれだよ。恩人だからねぇ」


 恩人、学園長が言っていた国から問題視された時の時だろう。

 そんな話をしている時に、教室の扉を開けた者がいた。見覚えのある顔だった。


「ちわーっす」


 ジャージ姿で現れたリリーがとてつもなくだるそうな目付きで俺の姿を捉えるや否や大きく目を見開き、ワナワナと震えて口をパクパクさせていた。

 そして、一旦落ち着き、大きく息を吸い込んだ。


「なんでフェールがここにいるの!? おかしくない!? 久しぶりに顔出してみたら君がいるなんておかしくない!?」


 マシンガンのようなトークにたじたじしながら他のクラスメートに助けを求めた。

 全員知らんぷりでニマニマとしていた。

 こういう事が好きなのはわかっていたが、こいつら、いつか殺す。


「あー、あれだ。よろしくな」


「よろしく!」


 余談だが、この学園に在籍する生徒は全員学園の中に寮があり衣食住が約束されている。当然、家から通うことも出来るが殆どの生徒は寮で過ごしている。ちょっとした一人暮らしが出来て、食べるものも、住まいも提供されるのだ。親自体もここに入れたがる者がいる程だ。


 授業が終わり、自分の部屋に戻ってくつろごうと上着を脱いでいると、机の上に1つの差出人不明の手紙が置かれていた。

 中を開けてみるとそこには良く分からない事が書かれていた。


「……宵の明星様へ、深遠なるコキュートスの奥底で我が君をお待ちしております。ねぇ


 まるで意味がわからない。こんなものを送られる覚えもないし、送ってくるような知り合いも俺にはいない。イタズラだろうか。

 この時は、何も考えず、ただのイタズラだと思い込んだ。

 その手紙をゴミ箱に捨ててラフな格好に着替えるとベッドに倒れ込みそのまま目を閉じると無意識の内に眠りについていた。


 夢の中だろうか。学園長に背を向け、この学園から去って行く光景が映り出した。

 すぐに暗転し、ベリオールと見覚えのない面々と共にお酒を飲んでいる光景が映り出した。

 そして、次に暗転すると何も映らなかった。


「……んぁ、なんだ。夢か……ふぁぁ、もっかい寝よ……」

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