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平和ですシリーズ

平和な環境を望みます

作者: 雛菊 みぃ

私、カタリナ=ボルボーニは傷物の有料物件という何とも残念な立ち位置にいました。


そうです過去形でしたが、婚約破棄。つまり婚約者とこの年にして破談になったのです。勘違いをされると嫌なので、始めから申し上げますと、私カタリナと、元婚約者でありましたアルフリード様とは清い関係であったとはっきり言えます。


私が、頑なに拒んだのですわ。初夜の日に行うべきという言葉を無理矢理飲み込んでもらいましたの。ガツガツした男の人は苦手ですわね、これでも……


まあ、私の方が位がたかかったので逆らえなかったとも言えるかもしれませんね。


アルフリード様は、一見すると貴族のように見えますが、騎士であります。騎士の中でも準貴族と呼ばれるものでしたので、もしこの婚約が結ばれていれば彼は、騎士という立場から貴族似なれたのもしれませんね。


この婚約自体成り立ったのが不思議だと言われてますが、まあ要するに私が、一目惚れなるものをしてしまったからですわね……それで、婚約を結んだという訳なのです。向こうからすると格好のエサというわけだったのですわね。アルフリード様の、その幼いながらも冷静で物事を判断するという姿勢に心ひかれたのですわ。


アルフリード様とならんでも遜色ないように努力して、得た評価が、氷の女王だということに私の努力が出ていると、一種の私の自慢だったのですわ……


ですが、私が、心ひかれたのはこのようにみっともなく狼狽え怒りを現しているお方だったのかしら


「おい、どういう事だカタリナ」


少なくとも、出会い頭……それもこんな大衆の中で問い詰めてくるようなお方ではありませんでしたわね……


「どういう事と申しますと」


多分に、婚約破棄の事でしょうか。それにしても、早かったですわね、それならば風の噂は本当でしたのね。


何故私が、愛した男を手放すに至ったのかを簡単に申し上げますと、アルフリード様が変わってしまったから……これにつきると思いますわね。どういうことかと説かれますでしょうからもう少し突っ込んで話させてもらいますわね。


ここ、聖エスペーロ学園に高い智力と身体能力を買われて特待生として今年入ってきた最近力を着けている家の少女が入ってきたことから始まります。


力を着けている、つまり元々は平民だったのですわ、そう成り上がり貴族というものですわね。そんな、少女は何をしたか、己の家にさらに力を着けるためにパイプを作ろうとしたのですわ。この行為は、上を目指す者ならば多少はしているのかもしれませんね。私個人としては、人を見極めるそんな機会だと思っていましたわ。


しかし、問題はそのパイプ作りにあったのですわ……少女は、特に6人の貴族、又は力のあるものを次々に攻略……言い方が悪いのかもしれませんが、友人がそういって毒を吐いていたので多分その言葉があっているのですわ。ともかく攻略……落としていったのですわ。


落とされたその6人の中には、今目の前にいる彼……元婚約者様であったアルフリード様も含まれてます。


正直言いますと、努力は私の方がしていて家柄も上だと自覚してます。あのような、努力のどの字も見えない天才肌の人は、苦手です。


そんな、少女に落とされたアルフリード様は、バカになりました。


まず、始めに与えられた仕事を適当にやるようになりました。少女との時間を主に取られるとか焦っていらしたのが原因でしょうか。その時点でもう私が、好きになった『冷静な』アルフリード様はいなくなりました。


そして、アルフリード様はあろうことか私を彼を縛るものとして見だしたのです。元々の私は、少々お転婆な所がありました。けれど、彼に釣り合うよう冷静な態度でいるためにと手本にしたのは彼です。つまり、私は彼を見ていたのです。なので、邪険に思うその心は直ぐにわかりました。


その事に気づいたときには、彼に対する愛情はとうになくなっていました。ので、邪魔であるだろう私は、身を引くことにしましたの。


冷静に冷静にと、思い続けていたせいか、冷めると急激に冷めてしまいもうアルフリード様には一切の愛情も無くなってしまいました。それを、寂しいかと問われると別です。


私の家は、そこらの家よりも力があります。その分血筋を重んじます。跡取りが私以外にいないボルボーニ家は誰かを家に招かないといけません。


元々、両親は準貴族であるアルフリード様を好いてはいなかったのだと思います。これ幸いにと当てられたのが、ジーモ・ブリニョーネ様……今私達は手探りでお互いを認めあっている所です。


ですが、最近公に婚約者を立てたとは発表しましたわね。


「おい、聞いているのかカタリナ」


うるさいですわね……ちょっと忘れていましたわ


「聞いていませんでしたわ」


大方、婚約の件でしょう。


「なっ、俺はお前のこと「何でしょうか?」……」


普段なら逆らったりしない私です。氷の女王などと呼ばれてますが、大人しくいるのですわよ普段は……いつ、お転婆な所が出てきてしまうのか分からないですからね……


「好きだ」


ペチン


ああ、つい条件反射的に叩いてしまったわ。


よくもまあ白々しく今まで少女に愛を囁いていたのに私に鞍替えできますわね……


「とにかく、俺は婚約破棄何て「認めない?」なっ」


先回りすれば驚いた顔。


あら、ジーモ様があちらで素知らぬ顔で見てますわね。


少々腹正しいですわ。


「私、カタリナ・ボルボーニは、この方ジーモ・ブリニョーネ様と婚約いたしました」


すいません、ジーモ様巻き込まさせてもらいました。お目をすっかり丸くしてますね。傍観なんてさせませんわよ。


「ジーモ・ブリニョーネ……貴様のことは覚えたぞ」


「彼がそそのかしたとかはありませんですわよ、これは政略結婚でありますから」


でも、今度こそ幸せになりたいですわね。女は結婚が全てと言われる次代……後輩である有名な彼らのように愛を囁きあったり……願わくはそんな小さな幸せを。


「話は終わりです、もう関わらないでください」


もう傷つきたくはありませんので


「カタリナ」


私を呼ぶ聞き慣れた声に背を向けながら私は、重い一歩を進んだ。

乗り換えないと生きていけない。愛されているはずなのに愛を求めている。不器用な少女……それがカタリナ・ボルボーニ

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― 新着の感想 ―
[一言] 愛されているはずなのに愛を求めている 他の女に色目使って尻尾振る男に愛されても迷惑千万なだけでしょ。
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