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刻の檻刀ーKAGEGIRI-<AIノベル版>  作者: 慧依琉:えいる


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第一話:影喰らう声





黒い霧が、世界を覆っていた。


 歪んだ咆哮とともに、赤い月が空を裂く。






二人の影が月によって交差する………。




「満流、時空裂孔が開く!!」




鬼の姫・輝夜は、影喰い刀を握りしめ、歪んだ影を睨む。


影の中には、人間の悲鳴と怒号が混じり合っていた。






「ククク……今度こそ、喰らいつくしてやる」








そう言って悪鬼の本体は深い影の底に消え、そして、時空を超えて過去へ逃れた。




 未来を守るため


 影に侵された人々を救うため




 輝夜と満流は、その後を追い、21世紀へと降り立った─────









 東京都・私立東霞高校。


 3年生の望月涼もちづき・りょうは、昼休みの教室で俯いていた。




「……また、聞こえる。あの声……」




 耳元で囁く声。


 それは誰のものでもなく、彼女だけにしか聞こえない。




『お前なんていらない』『みんな、裏で笑ってる』




 机の上のペンが震えた。止まらない手…。


 涼は静かに、無表情でノートに意味不明の文字を刻み続けていた。










 一方そのころ─────








「ここが、奴の気配を感じた場所か………。」




 屋上から街を見下ろす満流が、低い声で言う。








「この時代の人間は脆い。心の影に忍び込むには、ちょうどいい」




 輝夜は静かに目を閉じ、風を感じた。




 その風の中に…影の臭いが混じっていた。










輝夜はそっと目を開けて




「……あの子よ。影に喰われかけてる。」




 そして教室の窓から、涼の姿を見つめる。


 その足元の影が、不自然に揺れていた。人の形を保ちながら、別の“何か”が滲んでいた。




「早く刺せばいい。あのままじゃ、時間の問題だ。」




 満流が影喰い刀を握る輝夜を見て言うが、彼女は首を横に振った。




「ダメ。まだ“完全に喰われて”いない。今刺したら……彼女の魂ごと、壊してしまう。」




「……チッ。」




 満流は苛立ちながらも、黙って剣を収めた。












 夕暮れ。屋上に、ひとり佇む涼。


 彼女の口元は、微かに笑っていた。




「誰も、私を見てくれない。なら……消えてしまえば、いいのよね?」




 その瞬間。影が膨張した。


 地面に広がる黒が、まるで生き物のように立ち上がる。




『その通りだ、お前には誰も気づかない。さあ、堕ちろ!!!!』




涼の瞳から光が消えていく……………。






「─────来たっ!!!!!!」




 輝夜が駆け出す。右手の刀が黒く輝く。




「影喰い刀、抜刀っ!!」






輝夜は素早く影を刺す─────!!!




 一閃!


 影を断つ銀光が、地面に走った。






 ギャアアアアアア!!








悪鬼の悲鳴と共に地面に激震が走った──────!


その後、涼の影から引き剥がされるようにして霧散する。




 その反動で涼はその場に崩れ落ちた。










影を刺した刀を地面から抜いて輝夜は安心した声で




「……悪鬼は消えた。彼女も無事。」




そう呟いて刀を納める。






満流が軽く息をついた。




「今回も、ギリギリだったな。」




「うん。でも、彼女の“本当の声”は、まだここにある」




 輝夜が涼の頬に触れる。そこには、かすかな涙が残っていた。






 影は消えても、心の傷は残る…………。


 それでも、彼女はきっと、また歩き出せる。




そう、輝夜には涼の瞳にほんの少しだけ光が元ってきたのを感じていたのだった。


静かに瞼をとじてひと呼吸したあと、スクッと輝夜は立ち上がり満流に告げる。






「満流、次は……?」




〝ふっ〟と一瞬口元を緩めたのち満流は答えた。




「もう次の気配を感じてる。西の都市だ。今度は、子供のようだ。」




「行こう!まだ、救える命があるなら。」




 ふたりは静かに空を見上げた。


 夕空に浮かぶ赤い月が、次なる影の胎動を告げていた………。





ご覧下さりありがとうございました。こちらの作品は今までに公開してきました「刻の檻刀」シリーズを書くきっかけになりました、AIノベル版になります。

今回お披露目に至ったのは長年続けてきたブログを閉鎖する方針が決まったため、保存の意味で投稿していこうと思いました。普段の私のお話との違いを読み比べて頂くのも面白いと思います。

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