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青菜姫

今回は娘と父の親子の絆を描いてみたつもりだったのですが、途中で何故か不思議な方向に転換しかけたりもしています。

肩の力を抜いてお楽しみいただければ幸いです。


 とあるど田舎の山奥に、こっそりひっそりと佇む、大きな民家がありました。人々はそれを“天狗屋敷”と呼んで恐れ、その家には勿論、山の麓にだって、近付く事はありませんでした。何故ならば、そこに住む住人が、たいそう偏屈な変わり者だったからです。越してきた当初は、新しい仲間なのだからと世話を焼いていた村人も、彼が無愛想で不気味な事が分かってくると、関わり合いになりたくなくて、自然と男を避けるようになっていきました。

 ところがある時、何も知らない若い夫婦が、土地代が安かったからと麓に移り住んできたものだからさぁ大変。近隣住民は注意を促そうと思ったのですが、その頃にはすでに口に出すのもはばかられる程、彼は恐れられていて、皆どうしたら良いものかと頭を悩ませました。

 そうこうしているうちに、妻の方が子どもを身ごもり、とうとう誰も言い出せなくなってしまったのです。その二人があまりにも幸せそうなので、水を差すのは止めようと思った、住民達の配慮もありました。それに、いくら何も知らないとはいえ、獣道しかないような山の中に、好き好んで入っていく事は無いだろう。人々はそう考え、後ろ暗い思いを抱えたまま、彼らとも徐々に距離を置いていきました。

 結局、真実は古くからの住民の心の中だけに、とどめておく事になってしまったのです。


 それからしばらく経って、妻のお腹も膨らんできた、ある日の事。突然、彼女が、

「あの赤色三号で染めたような、奇妙奇天烈な野菜がどうしても食べたい!」

と言い出しました。何の事かと、夫は最初、妻の気がおかしくなったのかとも思いました。しかし、よくよく話を聞いてみると、なんと窓の外からそんな色鮮やかな野菜が見えるのだ、というのではありませんか。そこで、彼も窓から外を覗いてみますが、そんなものは見えません。けれども、あまりにも妻が懇願するので、はたと気が付いて双眼鏡を取り出してもう一度見てみました。すると、そこには不思議な色をした原色の野菜達が、誰が作ったのか、山の斜面に耕された畑に埋まっているのが見えたのです。彼女の視力は二.五ととても良かった事を、夫はすっかり忘れていたのでした。

「仕方ないな……。君の為だ。ちょっと行って取ってくるから、ここで大人しく待っててね」

 愛する妻の為、生まれてくる愛しいわが子の為、彼は山へ野菜を取りに行きました。


 夫が想像していたよりも、整備されていない山というのは険しいものでした。標高はせいぜい五百メートルといったところなのに、舗装されていない山道を歩いていると、その何倍もあるように思えてきます。

 それでもしばらく歩き続け、やっとの思いで、彼は畑まで辿り着きました。

「うわあ……」

 間近で見ると、その鮮やかな色は一層どぎつく、夫の目に映ります。一体、これの何が妻の興味を引いたというのか。彼には不可思議で仕方ありませんでしたが、それでも彼女の為だからと、野菜を収穫しようとしました。その時です。

「そこで何をしている!」

「うわああああああああああああああああ」

 いきなり後ろから怒鳴られたので、夫は吃驚して腰を抜かしてしまいました。

「お、驚かせてすまない。そんなつもりはなかったのだ」

 その驚く様は、声を掛けた側を恐縮させる程です。

「い、いえ、こちらこそ」

 突然の事で情けない姿をさらしてしまった彼でしたが、その正体が初老の男性だと分かると少し安心し、立ち上がる事が出来ました。

 しかし、その男の次の一言には大変驚かされました。

「私はこの畑を作った者だ。そこの家に住んでいる」

「え、そ、そこにですか」

「何か問題でも?」

「いえ」

 こんな山の奥に住んでいるだなんて。男性の指さす方を見ると、そこには確かに、屋敷と呼んで差し支えない程の大きな家があります。世の中には変わった人もいるものだと、夫は思いました。

 彼が黙ったのを異議無しと捉えたのか、男は話を続けます。

「作業をしていたら偶然、畑に近付く人間が現れたものだからね。こうして様子を見に来たのだ」

 人間が、というフレーズが若干気にかかりはしましたが、所有者としては当然の事だろうと夫は納得しました。彼も、こんな山の中に畑があるのはおかしいと最初から思っていた訳ですから、素直に反省します。

「それで、最初の質問に戻ろう。ここで何をしていたんだい?」

「え、えっと、これは、ですね……」

 そこで夫は、此方の事情を分かってもらえるように、ここに至るまでの過程を丁寧に説明しました。

 聞き終えると、男は一応、納得したような表情を示してくれます。

「ふむ、成程ねぇ……」

「お願いします。妻と、お腹の子の為だと思って!」

「うーむ……」

 初老の男は悩んだ末、

「分かった。少しだけならば、分けてやろう。こちらも実験で使っているので、全部という訳にはいかないがね」

と言って、夫に野菜を手渡してくれました。

「ありがとうございます」

 彼は深々と頭を下げて、足取り軽く帰っていきました。


 家に戻ると早速、もらってきた野菜を妻に見せました。

「じゃじゃーん。ほら、食べたがっていた野菜だよ」

「ありがとう!」

 妻は大層喜び、すぐさま調理に取りかかります。楽しそうに料理をする妻を、最初は微笑ましく見守っていた夫でしたが、料理が進むにつれ、段々と色が濃くなっていく野菜達を見て、すっかりそんな気分ではなくなってしまいました。毒々しい色の所為でしょうか。皿の上に並んだ、いつもなら喜んでぺろりと食べてしまう彼女の手料理も、今回ばかりは手をつける気になれませんでした。

「うーん、やっぱり想像通り。とってもおいしいわ!」

 そんな夫の心情を知ってか知らずか、妻は念願の野菜をもりもりと食べ進めます。その姿に薄気味悪いものを感じながらも、もうこの奇妙な野菜に関わらなくて良いと思い、彼は内心安堵していました。

 ところが。

「もっと、もっと食べたい……」

 この野菜、異常な中毒性があるようで、妻は再び、そんなわがままを言いだしたのです。

「仕方ないな……」

 正直、彼はあんな山奥には二度と行きたくはありませんでした。けれども妻が大暴れして駄々をこねるので、もう一度向かう事にしたのです。

「まぁ、理解のありそうな人だったし、大丈夫だろう」

 しかし、この時彼は知らなかったのです。何故彼が、こんなに人里離れた山奥に屋敷を構えているかを。

 あの、見るからに毒々しい色をした野菜の、見た目通りの危険性を。


 そうとは知らない夫は、今度は男の家まで出向く事にしました。根が真面目ですから、話の分かる相手には話し合いで解決したかったのでしょう。

 数回のノックの後、中から男が顔をのぞかせました。

「また君かね」

「すみません。妻がどうしても、また食べたいと言いまして」

 それを聞いた彼は、とても困ったような顔をしました。けれども夫には、彼に頭を下げる事しか出来ません。

「分けて、いただけないでしょうか」

 夫があまりにも真剣に頼むので、男の方も無下には出来なかったようです。彼は少し考え込むような素振りを見せた後、意を決したように言いました。

「正直に言おう。体に良くはないと思うぞ」

「ですよね……」

 それは最初に見た時から、夫が感じていた事でもありました。

「私にも、その良さが分かりません」

「ならば」

「でも、妻にどうしてもと言われてしまっては、私にはこうするしか……」

 これは彼の本心でした。お腹にいる赤ちゃんの為にも、妻のいう事は出来るだけ聞いてやりたい。その熱意に突き動かされたのか、男も少しだけ言葉を和らげます。

「その奥方は今?」

「家にいます」

「是非、一度連れてきてくれはしないだろうか?」

「と、言いますと」

「少し検査をしたいのだよ」

 これには夫も驚き、思わず大声を上げます。

「検査ですって!」

 一方男は、自分の評判を知られているとすっかり思い込んでいたので、安心させるように言います。

「そんな、変な薬を飲ませるようなことはしないよ。例えるなら、健康診断と同じような事をするだけだ」

「それでも駄目です。今、彼女のお腹の中には、赤ちゃんがいるんですよ!」

 ところがこれには、男の方が驚いたようでした。

「なんだって!」

 そして、ぼそりと呟きました。

「成人でもどうなるか分からないのに……」

「そ、そんなにまずいんですか?」

 急に怯えてしまった夫を見て、男は言葉を選んで説明します。

「基本的には、この野菜は合成着色料を使用して色付けをしてあるだけなんだ。別に遺伝子を組み替えたりはしていない。だから、無害なはずだ」

「じゃあ」

「だが問題は、この私が合成した物であるという事だ」

「ええ!?」

 もう何度目になるでしょうか。夫はこの男と関わってから、驚く事しか出来ませんでした。

 そして、ここにきてようやく、男はある重要な事に気が付いたのです。

「君、もしかして、村の者から何も聞いていないのか?」

「え?」

「私は科学者だ」

「えええええええ」

 この反応を見て、男はそれならば仕方ないと、今までの夫の行動を容認する気になりました。そもそも、彼の評判を知っていたならば、ここに近付く事さえしないだろうと、ずっと不思議に思っていたからです。

 一方の夫は、何故教えてくれなかったのかと村人を恨みましたが、全ては後の祭りでした。目の前が真っ暗になるのを感じつつ、男にすがりつきます。

「じゃ、じゃあ、妻はどうなるんですか……? お腹の子は?」

「分からん……。私には特に影響はなかった。だが、その中毒性の正体が分からない……」

 男には影響が無かった、と聞いて彼は安堵しましたが、それでもまだ不安はぬぐえません。頭を抱えてしまった男に、夫はおそるおそる聞いてみました。

「も、元々、どんな用途で作ったんですか?」

「それが、ダイエット用としてなのだよ。見ると食欲が減退するように、こんな色にしたんだが……」

『うーむ……』

 どうして妻にだけ、逆の作用が生まれたのか。もう男は訳が分かりませんでした。

「では、こうしよう」

 やがて、考えがまとまったのか、それとも何か吹っ切れたのか、彼はとんでもない事を言い出したのです。

「私に研究させてくれ」

「ええっ!?」

「ただし、奥方に負担になるような事は絶対にしない。彼女を観察し、原因を突き止める。何をするにしても、君の許可をまず取ろう」

「……妻と相談します。考えさせてください」

 そう言って一先ず、夫は山を転がるように、愛する者の待つ家へと逃げ出しました。


 家に戻る頃には、ほんの少しですが、妻に話が出来るくらいには気持ちが落ち着いていました。そこで、彼は帰るなり、妻に今起こった事を全て、包み隠さず打ち明けました。

「そんな……」

 状況を無理矢理飲み込んだ彼女は、言葉を失くしてしまいます。無理もありません。何故なら妻は、それを喜んで食べていたし、今だって食べたいと心から願っているのですから。

「そんなに、食べたいのかい?」

「ええ、とってもおいしいのよ」

 こう言っては何だが、あの研究者は実はへぼなのではないか。現に、こうして研究は失敗に終わっています。でもそうなると、ますます妻の身が心配です。彼の思考回路は袋小路に入っていきます。

 夫はもう混乱するばかり。こうなってくるとやはり、女性の方が、肝が据わっているようです。

「私、あの人に研究される」

 妻は意を決し、男の所に行く準備を始めました。

「でも」

「良いの。それに、そんなに悪い人にも思えないし」

 気丈な妻を見て、夫もしっかりしなきゃと、気合いを入れ直します。

「分かった。何かあっても、俺が君を守るよ」


 翌日。彼女を伴って、夫は再び科学者の家へと向かいました。彼はまさか本当に来るとは思っていなかったらしく、妻を見て目を丸くしましたが、二人の話を聞いて徐々に顔が引き締まっていきます。

「では、交渉成立だ。野菜もやろう」

「良かったぁ」

 安心する二人。けれども、毒を食らわば皿まで、といったところでしょうか。科学者はもう一つ、条件を付け加えました。

「あと、出来ればこちらに住みなさい」

「え」

「大丈夫。部屋ならある。好きに使ってくれて構わない」

「はぁ」

 何をいきなり、突拍子もない事を言い出すのか。その真意はと、夫は考えを巡らせていましたが、それはこの科学者の優しさからくるものでした。

「この状態の彼女の体に、山登りは負担にしかならないだろう。残念ながら、私が下りていくと他の者が怖がるのでね」

「あぁ」

「君達が気にするなら、私はあっちの離れに住む。勿論、外側から鍵を掛けてもらったって構わない」

「そこまで言うなら……」

 こうして、若い夫婦は麓から更に山奥へと、移り住む事になりました。


 それからというもの、科学者は毎日研究にいそしみました。何が彼女を虜にしたのか。成分の分析は勿論、妻の行動や容体を逐一観察し、配合を変えてみたり、調理法を変えてみたりと、色々試してみました。

 しかし、原因が付きとめられないまま、彼女は赤ん坊を産みました。一時はどうなる事かと思いましたが、母子ともに無事に出産を終えたので、彼らは安堵しました。

それも、束の間の事。

「こ、これは……」

「まさか、こんな事になるとは……」

 最初は、新しい命の誕生を喜んでいた三人も、次第に表情が乏しくなり、最後にはただ呆然と、生まれたばかりの赤ん坊を見ていました。それもそのはず。その子は生まれついて、とても綺麗な長い髪を、携えていたのですから。

 通常、生まれたての赤ちゃんには、髪というのは生えていても数センチ程度。うっすらと産毛のようにしかないはず。けれどもこの子には、母に似た美しい栗色の髪が、しっかりと生えそろっていたのです。これにはもう、空いた口が塞がりませんでした。しかし同時に、何故母親の方には影響が出なかったのか、その原因もはっきりと分かりました。悪い影響は全部、子どもの方にいってしまったのです。

 その後、夫婦は二人きりにしてくれと科学者を追い出し、長々と話し合いをしました。そして、彼らは覚悟を決めて、科学者に言いました。

「この子を、何とかしてもらえないでしょうか」

「それは勿論。普通の子と変わらないようにしよう」

 彼は最初からそのつもりで、すでにいくつかの手段を試してみようと、やる気満々です。

「いえ、そうではなくて」

 ですが、夫婦が結論として出したのは、それよりもはるかに現実的で、残酷な答えでした。

「……この子を、引き取っていただけないでしょうか」

「本気で、言っているのか?」

「確かに、私達に責任はあります。この子に罪はありません」

「僕にとっては、妻の容体を軽くしてくれた、恩人でもあります」

「でも、多分。僕達はこの子の存在に耐えられない。この子が普通の子と違うからじゃありません。この子をこんな風にしてしまった事、それ自体に、僕達は耐えられない」

「私達がこれからしようとしている事は、ただ罪から逃れたいだけです。けれど、その方がきっと、この子の為になる。私達と居るよりも、貴方に育てられた方がずっと、この子は幸せになれる」

「ごめんなさい。お願いします」

 最後には二人揃って、涙を流しながら土下座しました。

 科学者はその様子を見て、彼らの心中を推し量り、絞り出すようにして告げました。

「私の所為でもある。責任を持って、この子を育てよう」

 若い夫婦は頭を下げて、科学者の家を出ていきました。


「……すまないな。でも案ずるな。私がきちんと、面倒を見るからな」

 何も知らない赤ん坊は、ただ無邪気に笑っています。その無垢な笑顔に耐えきれず、彼は思考を無理矢理変えます。

「ああ、そうだ。名前を決めていなかったな」

 何にしようか。この子に似合う、とびきりの名前を。そう考えた時、彼はある童話を思い出しました。髪の長い、純粋なお姫様のお話を。

「決めた。お前の名前は青菜(あおな)(ひめ)だ」

 ただ、自分の娘に姫とつけるのはどうかと思い、彼はその子を、青菜(せいな)と呼ぶ事にしました。



 それから、月日は流れ、十六年後……。

「おーい、青菜や」

「はーい」

 まだ新しい塔の中。あれから、青菜姫はすくすくと成長し、見目麗しい素敵な少女になっていました。

「今下ろしますねー」

 科学者に呼ばれた少女はそう言うと、窓辺に向かって歩いていき、背中を外に向けました。そして、何をするのかと思いきや、するすると窓の外に向かって髪を伸ばしていくではありませんか。なんと彼女、自由自在に髪の長さを調節出来るようになっていたのです。これも、科学者の研究成果の賜でした。普通の人のようにする事は残念ながら叶いませんでしたが、それでも、ずっと長いままという事態は避けられました。むしろ娘の方は、切ってもすぐに元通りになると面白がっています。

 科学者と青菜姫は、そのように良好な関係を作り上げていました。もっとも、他の科学者に見つかって研究材料にされてはたまらないと、彼女は塔の上に閉じ込められていましたが。何も知らない彼女は、科学者が適当にでっち上げた理由に納得し、これに大人しく従っています。だからこそ、こんな危うい親子関係が続いているとも言えるでしょう。


 しかし、美しく賢く成長した彼女は、当然疑問を持ちます。

“何故、自分は外に出してはもらえないのか”、と。

 そしてとうとう、科学者が娘に言い返されてしまう日が来てしまったのです。

「お父様」

「なんだい?」

 いつものようにご飯を届けてくれにきた科学者に、青菜姫は無邪気にこうお願いしました。

「私も下に降りてみたいわ。お父様がいらっしゃるのだから、私が行っても良いでしょう?」

 いつかこの質問をされるのではないか。内心ずっとびくびくしていた科学者の心臓は、この時どくんと脈打ちました。

「それに、窓から見えるあの木の実。あれも取ってみたいですし、それに、あの綺麗なお花! それからそれから」

 外の世界への憧れから瞳を輝かせる娘に対し、科学者は目を泳がせる事しか出来ません。

「あ、いや、お前はここから出てはならないのだよ」

「どうして?」

「この場所以外は危ないのだよ」

「何が危険なの?」

「そ、それはだな……」

 科学者は内心、しまったと思いました。今まで何とか、適当な嘘をついて曖昧に誤魔化してきたのですが、こうやって直接“危ない”と言った事は無かったからです。明言をしてしまった以上、理由を付けなければ気が済まないのが彼の癖でした。

 しかし彼は、悩みに悩んだ末、自ら行ってきた教育から、ある名案を思いつきました。

「そう、狼だ! 狼がいて、若い娘を喰らってしまうのだよ。絵本で読んだだろう?」

「確かに。それは怖いですわ」

 青菜姫も心底怖がって、疑っている様子はありません。上手くいったと彼は安堵しました。けれどもこの娘、科学者が考えていたよりも遥かに、純粋に育っていたのです。

「でも、王子様が助けてくださるのでしょう?」

「あー、いや、だからそれは童話の話で」

 まさかこの年で、そんなメルヘンチックな事を言い出すなんて。いや、でもそう育てたのは自分だ。そんな葛藤に頭を悩ませていたからでしょうか。ついに、娘に揚げ足を取られてしまいました。

「もしかして、おとぎ話は作り話なのですか?」

 彼女には外に一切出さない代わりに、本を沢山読ませていたので、教養はありました。

「えっと、あの……」

「私に現実を見せてください!」

 聡い娘をこれ以上、騙し続けるのには限界がある。科学者は困り果てました。


 結局、娘の懇願に負けた科学者は、外には出せないが外の事を知ることのできる道具として、娘にある家電製品をプレゼントしました。

「まぁ、これがテレビと言うのですか?」

 初めて見る電化製品に、彼女は興味津津でした。

「こんな薄い板の中に、どうやって人が入っているというの?」

「えーっと、それはだな……」

 そう尋ねられれば、科学者の性でしょうか、彼は必要以上に詳しい説明をしてしまいます。昔はそれが原因で、村の人達に恐れられてしまいましたが、今度の話し相手は自らが育てた自慢の娘です。

「面白いですわね。こんな技術が、世の中には溢れているなんて!」

 彼女は科学者の話を楽しそうに聞き、ますます目を輝かせます。

「そうかい?」

「お父様、私、もっと知りたいです!」

 その食らいつきようはすさまじく、すがりつかれた科学者も思わずのけぞってしまう程でした。血の繋がりこそありませんが、彼らはしっかりと親子のようです。敵わないなと思いつつも、科学者は嬉しそうに、

「では、私の研究を手伝ってみるかい?」

と提案しました。娘は勿論喜んで、文字通り彼に飛び付きました。


 それから、青菜姫は科学者の手伝いをするようになりました。相変わらず、家の中からは出られませんでしたが、それでも塔の上からでは無い、平屋の家からのいつもと違う景色は新鮮なものだったようです。それに、父と共に研究するのは大変興味深いものがあったらしく、彼女の知的好奇心は満たされていきました。

 しかし、そんな少女の様子を目撃していた、怪しい影があったのです。

「ほう……。成程な」


 彼女が父と共に研究をするようになってからしばらく経った、ある日の事。今日の実験も楽しかったな、とるんるん気分で塔に戻ると、下から声がしました。

「青菜姫やー」

「はーい」

 先程まで一緒にいたはずなのに、おかしいわ。そうは思いながらも、緊急の用件かもしれないとも考え、彼女は久しぶりに髪を伸ばしました。

 すると、上がってきたのは科学者では無く、見た事も無い別の男でした。

「ど、どなたですの!?」

 突然現れた自分と父以外の人間に、彼女は警戒心をあらわにします。一方、男の方は手慣れているのか、いけしゃあしゃあと嘘をつきます。

「怪しい者ではないんだ」

「人の家に勝手に入ってきた時点で、思いっきり不審者です!」

 ですがそんな正論にも、侵入者である若い男は動じません。

「君が入れてくれたんじゃないか」

「あ、あれはお父様だと思ったから……」

「そんな事よりも、だ」

 青菜姫が動揺したのを良い事に、彼は芝居がかった風に続けます。

「こんな所に閉じ込められて……。可哀相に」

 けれども、こんな見ず知らずの男にとやかく言われる筋合いはありません。

「別に、私は何一つ不自由していませんわ。それに、外は危険が沢山あるんですのよ。お父様が私をお出しにならないのも、当然ですわ」

 そう言って、彼女は普段父から教わっている外に関する情報を、そっくりそのまま男に伝えました。

 一応話を聞く気はあったらしく、長い話にもかかわらず黙って耳を傾け続けてくれました。だからといって彼が良い人かといえば全くそうではなく、むしろ呆れたように、乱暴に男は言い放ちます。

「そんなの出鱈目に決まってるじゃないか」

「では、狼は存在していない、空想上の生物だとおっしゃるのですか?」

「いや、そうじゃなくて」

「熊も、猿も、蟹も、そんなものはいないと?」

「だからそうじゃなくて!」

 下手に頭が良い。これだから常識の無い世間知らずの娘は嫌なんだ。思わず、そんな暴言を吐きそうになりましたが、すんでの所で止めました。こんな小娘相手にむきになっていては男がすたる、そう自分に言い聞かせ、再び説得にかかります。

「君も研究を手伝っていたんだ、少しは分かるだろう? 我々人間は、野生動物に対抗する術を手に入れた。もう恐れる事なんて無いのだ!」

「でも、何の為に?」

 ああ、やっとここまできたか。ようやく本題に入れると、男はにやりと笑います。

「君をここに閉じ込めておく為だよ」

 それまでは強気に、負けじと気を張っていた青菜姫でしたが、これにははっと息を飲みます。その様子を見て、彼は留めの一言を彼女の心に刺しました。

「君は、科学者にとっては最高の実験材料だからね」

「え……?」

「覚えがないとは、言わせないよ?」

「で、でも、あんな妙な機械に入れられたり、そんな事はされてないわ!」

 内心の動揺を隠す事こそ出来はしませんが、それでも彼女は必死になって、テレビを指差しながら訴えます。娘は外に出られない代わりに、色々な番組を片っ端から見て勉強しました。その中には勿論、怪しげな番組もありましたが、自分があんな事はされていないという事だけは、確かだと思っています。

 しかし、まだ人生経験の浅い少女が勝てる程、彼は甘い相手では無かったようです。

「でも君は、覚えがあるはずだよ」

 その言葉は、彼女が今まで目を背けてきた真実を、突きつけてくるようでした。

「よく、思い返してご覧」

「出て行って!」

「おお、怖い怖い。折角の美人が台無しだよ」

 青菜姫は今にも、物を投げつけそうな剣幕です。ここで騒ぎを起こすのは、彼にとっても得策ではありません。

「また来るね」

 そう言って、男は窓からひらりと風に乗って退散しました。

 怒りと混乱で取り乱してしまった青菜姫ですが、しばらくすると徐々に心も平静を取り戻し、改めて先程の来訪者について考える余裕が生まれました。

「何だったのかしら……」

――お父様にはこの事は、内緒にしておかなくっちゃ。

 今日の事は自分の胸の中だけに閉まっておこう。そう決心しましたが、彼女は言い知れぬ不安を抱える事になってしまいました。


 一方、とある地下研究所では、名の知れた科学者が揃いも揃って、青菜姫の姿を見て何やら話し合いをしていました。

「あんな珍しい子、ああ解剖したい研究したい」

「あの野郎、よくもこんな貴重な材料を独り占めにしやがって……」

「しばらく見ないと思ったら、こんな所に隠れてやがったのか……」

 口々に感想を言う中、一人の男が、メンバーの中で最も若い者に向かって言いました。

「しかしよく見つけたな」

 話題を振られた情報提供者の男は、得意気にうそぶきます。

「まぁ、色々コネがあってね。ちょろいもんですよ」

「流石、期待の新人だな」

「そんな事より、だ」

 彼らもそこで話を伸ばす気はなかったのでしょう。適当に労をねぎらってからさっさと本題に入ります。

「やはりここは」

「そうだな。一時休戦、手を組もうじゃないか」

「くれぐれも、独占はするなよ」

「分かっているさ」

 すると再び、話題は若い男の方へ向きます。

「本当に、君は良いのかい?」

「ええ、僕は興味が無いですから」

「そうかい。じゃあ、好きにやらせてもらうよ」

 余計な時間は使いたくないとばかりに、話が済むと男達はそそくさと帰っていきました。

 彼らが立ち去ってから、若い男は口をにやりと歪め、ぼそりと呟きました。

「ああ、そうさ。俺には、醜い小競り合いなんて、興味は無いのさ」


 謎の男の来訪から一週間後。そろそろ青菜姫が彼の存在を忘れかけた頃、とうとう科学者が恐れていた事態が、現実のものとなりました。なんと、どこで情報が漏れたのだか、他の科学者が山奥の家に押し掛けてきたのです。

「見つけたぞ……」

「き、貴様は!?」

 しかも彼らは、以前科学者が学会やコンテストで争った者達でした。

「今こそ、積年の恨み、晴らしてくれるわあああああああああああああああああああ!」

 最初こそ、その数の多さに面喰った科学者でしたが、彼はあくまでも冷静でした。

「い、いや一回負かしただけではないですか」

「お前の癖に私に一度でも勝とうなど! 生意気な!」

『そうだそうだ!』

「あ、君達は幾度となく完膚無きまでに叩きのめしまたね、そういえば」

『黙っとけー!』

 結果的に、その真面目さは火に油を注ぐ事になってしまいました。

「さぁその怒りをエネルギーに変えろ! 行くぞ、お前達!」

『おー!』

 思い思いの武器を持って、突進してくる科学者達。まだ距離があるとはいえ、銃火器が中心のラインナップ。このままでは彼に勝ち目は無いと、誰もが思いました。

 しかし、科学者は全く動じる事無く、口元に笑みさえ浮かべています。

「全く……。私が何もせずに、こんな山奥に潜んでいたと、本当に思っているのか?」

 それはまるで、ようやく自分の研究がお披露目出来る事を、心から喜んでいるように。

「ぽちっとな」

 彼が何かのボタンを押すと、地響きのような重低音が当たりにこだましました。そして、

『ロボきたー!』

高さ十メートルほどの巨大ロボットが、その姿を現しました。あえて塗装はせずに、メタリックなままの重厚なボディ。足や腕、そして胴体には何やら武器が仕込んであるようで、どこから何が出てくるのか、ある意味楽しみな程に作り込まれています。彼が娘には呆れられるからと内緒で制作した、渾身の一作でした。

「お前、遺伝子工学専門じゃなかったのか!?」

 科学者はひょいと操縦席に飛び乗ると、勝ち誇ったように笑います。

「その技術を機械に応用して、何が悪い」

「くそ、このハイスペック野郎が!」

「ふっ、理系なめんなよ!」

 ところが、この程度の事は、敵軍には想定の範囲内だったようです。

「野郎共! 今こそ終結の時だ!」

「人海戦術、だと」

 またしても、どこに隠れていたのか、援軍が押し寄せてきました。その数、ざっと百人はいるでしょうか。そのあまりの数の多さに、一瞬ひるんでしまいました。

「数打ちゃ当たる、ともいう」

「“昔ながらの戦法”作戦、GO―!」

 本当にここは山の中なのか。そう思ってしまうぐらいに、近代兵器による激しい攻防戦が幕を開けました。


 その様子を窓から見てしまった青菜姫は、塔の中で慌てふためきます。

「た、大変! お父様を助けなきゃ!」

 けれども自分が行った所で、果たして何が出来るだろうか。自分はここにいた方が父の迷惑にならずに済むのではないか。そう悩んでいると、

「その必要はないよ」

無駄に格好付けた声が聞こえました。

「貴方は!」

 声のした方を振り返ると、そこには窓辺に腰掛けている、先日の若い男の姿がありました。

「あれは僕が放った刺客さ」

「な、何の為に……」

 何故、再び自分の前に現れたのか。その事も勿論気になりはしましたが、それよりも何よりも、彼女には気になる事がありました。

「というか、どうやってここまで?」

「そりゃあ、この“タコあし吸盤ブーツ”があれば、ちょちょいのちょいさ」

「じゃあ何故最初からそれで来ないんですか」

「・・・」

 そう指摘すると、男は顔をさーっと青くして黙ってしまいました。やはり、頭の良い人間はどこかおかしいものだ、と青菜姫は一人納得します。

 思わぬ形で出鼻をくじかれた男は、げふんげふんと大袈裟に咳払いをして、仕切り直します。

「とにかく、だ。君はあの男に騙されているんだ」

 これには流石に、青菜姫もぎくりとします。忘れようとしていたのに、嫌な予感が頭から離れません。

 それを好機と取ったのか、彼は一気に攻め込みます。

「ほら、やはり君にも心当たりがあったろう? 毎日出される奇妙な色をした野菜。健康チェックだといって、色々診察されたりもしたんじゃないのかい? 月に一回は採血をし、たまに部屋から出してもらえたかと思えば、その行動を彼はずっと監視している。それが普通じゃないって事は、もう君にも分かっているんだろう?」

 彼女が勢いに押され、すっかり黙ってしまったのを見て、男は手を差し伸ばして、優しく甘く囁きます。

「一緒に行こう。君は僕と共に来るべきだ」

――これで、上手くすれば珍しい実験動物が手に入る……。

 そうやって内心ほくそ笑んでいたのが、伝わってしまったのでしょうか。青菜姫の口からは、彼の思惑とは違う言葉が飛び出しました。

「いえ、それでもお父様をお助けしなければ」

 彼女は最初から、この若い男など眼中に無かったのです。どうやって父親を助けようか、娘はずっと、それだけを考えていました。

 折角、上手くいきそうだったのに。これまではかろうじて大人の対応をしてきた彼ですが、ついに切れてしまったようです。禁断の真実を、それだけは言うまいと思っていた事実を、ばらしてしまいました。

「……それが、赤の他人でもか?」

「え?」

「お前はな、本当の両親から引き離されたんだよ。あいつの手によって」

 これでもう、後戻りは出来ない。男はそう思っていました。

「それでも、まだ助けるのかい?」

 たかだか十六の娘に、自分は何をここまでむきになっているのか。少し良心が咎めましたが、それでも彼は貴重な人材をみすみす手放すようなまねが出来なかったようです。

 事実を押し付けられてからしばらく、彼女は動けませんでした。勝った、という気持ちが男を支配します。これで、ようやく娘が自分のものになる。

 ですが、彼は青菜姫をなめ過ぎていました。彼女はぼそりと、かろうじて聞きとれるくらいの声で、こう呟きます。

「知って、いましたよ?」

「え……」

「そんなの、聞かなくても分かるじゃないですか。目の色も肌の色も違う。それで親って言われた方が、不自然じゃないですか」

 彼女は科学者の元で研究を手伝うようになるずっと前から、自分達は本当の親子では無いのではないかと薄々勘付いていました。何となく全てを理解した上で、それでも彼女は、父の娘であり続けたのです。

 つまり。男の企みは、最初から無駄だったのです。

「くそっ……。かくなる上は!」

 最後の砦が敗れた男は、実力行使に打って出ようとします。

「きゃっ」

「いいから来い!」

「助けて!」

 彼女が無理矢理連れ去られそうになった、その時でした。


「娘に手を出すな!」


「お父様!」

 反対側の窓から、ロボットに乗った科学者が現れたのです。彼はロボを自動運転モードにすると、ふわりと軽く塔に乗り移りました。

 思わぬ人物の登場に、若い男は彼女から手を離します。

「青菜……。怪我はないかい?」

「ええ、大丈夫よ。それよりお父様は? あんなに大勢の人相手に……」

「それなら心配要らないよ。奴等、仲間割れを始めたからね。見てごらん」

 父に促されて下を見てみると、そこには何やらわめきながら争う良い年したおじさん達の姿がありました。

「ちっ、これだから急ごしらえの奴等は……」

「観念するんだな。これで、お前の薄汚い目的も泡と消えよう」

「何を偉そうに。お前だって、その娘を使って研究してたくせに」

「確かに、な」

「お父様……」

 もう隠し通せる事では無いと、全てを話す気になったのでしょう。観念したように、彼は独白します。

「そりゃあ、最初は研究目的だった。人体実験をしてみたかった、それだけだった」

「ほら見ろ、所詮お前は」

 それでも、若造に口を挟まれる程、彼は愚かではありませんでした。

「だが、今まで十六年間、一緒に暮らしていたんだ。愛情も湧く」

 その言葉が嘘偽りで無い事は、その愛を一身に受け続けた娘が、一番良く分かっていました。

「しかしだ。僕が君を縛り付けていたのは事実。もう君は自由だ」

 こぼれ落ちそうになる涙をこらえながら、娘に向かって微笑んで、彼は言いました。

「最後はお前が決めなさい。青菜」

「でも……」

「じゃ、じゃあ俺と来い。お前を嫁にもらって」

「あら、まだいらっしゃったんですか?」

「親子の感動のシーンじゃないか。口を挟まないでくれたまえ」

 図々しく居残ってチャンスを窺っていた男でしたが、最終的にはばっさりと切られ、めそめそと帰っていきました。

 これで邪魔者はいなくなったと、科学者は話を再開します。

「さて、でも君に道を選んでほしいのは事実だ。ここから出るも良し、本当の親御さんに会いに行くも良し」

「本当の、両親……」

 別に未練がある訳ではありませんでしたが、その言葉だけは彼女の心に引っ掛かりました。

「会いたいかい?」

 ほんの少し。ほんの少しだけ、彼女は考えてみました。本当の父と母と、仲睦まじく暮らしている様子を。家族団らん、両親に囲まれてほんわかしている自分の姿を。それは温かくて、優しくて、ずっと娘が憧れていた“家族”の風景でした。

 けれども彼女は、もっと大切なものがここにある事を知っていました。自分を愛し、ずっとこれまで育ててきてくれた人。それ以上に大事なものを、娘は他に知りません。

「いいえ」

 そして青菜姫は、最愛の父の顔をしっかりと見て、にっこりと笑います。

「私にはお父様がいれば、それで満足です」

 それを聞いた科学者は、涙を流しながらも、懸命に笑顔を作ります。初めて自分の前で泣く父の姿を見て、娘ももらい泣きしてしまいました。

 涙で顔をぐしゃぐしゃに濡らしながら、それでも彼らは、幸せそうに笑い合っていました。



 こうして、長い髪はそのままに、青菜姫と科学者は研究を続け、その妨害を企む他の科学者と戦いながら、二人仲良く幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。


という訳でラプンツェルのモチーフでした。

個人的にロボのシーンはもう少し書きたかったです(ぇ

こういう親子の形もあるよね、と思い、色々な想いをこめてみました。

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