エクストラチャプター:「脳の破壊されたサーティエ様」
超蛇足。
一応真面目にやってきたものをネタとギャグで台無しにするひどいエンドです。
「――ふふ、ふふふ……♡」
「おん?――ヌッ?」
「え?――わぁッ!?」
王城のバルコニーで。サボリの時間としていた銀年堂とシャンツェの耳が、何か気味の悪い声色を捉えたのはその直後。
そして二人がそれぞれ視線を降ろせば。
銀年堂の足元、いや違う。その脚に直に抱き着くように。
なんとそこには、気付かぬ内に若き女王が。今となっては亡国の女王となった、サーティエの姿体があったのだ。
サーティエは、銀年堂の片脚、足元にしゃなりと足を流して座り込み。
銀年堂の脚に、その細腕をしかしがっしりと絡めて抱き着き。
おまけにあろうことか、その端麗な顔の頬を。愛おしそうに銀年堂の脚に擦り付けているではないか。
「うふふ……っ♡この私を、まるで駄馬のように踏みこき下ろしたイケナイおみ足……♡くふふ……あぁ……♡屈辱過ぎるのに、なのにこの胸のドキドキはなに……?♡」
念入りに、銀年堂のフィールドジャケットズボンに包まれる強靭な脚に。その頬をすりすりと擦りつけながら。
そんな大変に怪しく不気味な、そして艶のある声を漏らし。そして顔にはまた怪しいうっとりとした微笑を作っているサーティエ。
明かせば。即位までは王女として宝石のように大切に護られ扱われ。
年端もいかない少女ながら女王の座に即位してからは。下々の民の上に立つに相応しくあるべく、傲岸不遜に振る舞い。
血の女王の名を欲しいままにしてきたサーティエ。
しかし、昨晩程の。銀年堂に踏みこき下ろされた衝撃的体験は、今まであり得なかったそれであり。
それは王位に、人の上に立つものの重圧を裏では抱え。ストレスをためていた彼女のその価値観を、いや性癖、フェチズムをショックで盛大に歪め。
被虐に悦ぶそれを開花させてしまったのである。
要は一種の形で。脳の破壊されたサーティエ様であった。
「なにぞしとるんじゃ、貴様はッ?」
自身の足元で、そんな奇行を見せるサーティエに。
銀年堂は真底訝しみ、険しく作った顔で見下ろしつつ。宇宙人でも見る目でそんな言葉を降ろす。
「うわァ……」
そして、隠す必要も無いと素直にドン引きするシャンツェ。
「見ちゃいけませんッ!」
「えー、なんですかお兄さんっ?」
「なにー?」
その背後、バルコニーの出入り口では。
姉の無事を聞いて探し現れた、王子に幼い第二王女が。
しかし、また丁度居合せたフュンジェク等火力隊の面子と。生き残り、王族の世話に着いていた王宮警護官たちに。その姉の奇行を見せては教育に悪影響と、慌て二人を押し止めてその目を覆い隠し。
王子と王女は無邪気に不思議そうな声を上げている。
「あぁ♡私を支配してしまったイケナイお方……♡――んっ?ヒュぉっ!?」
そんな周りをよそに。キマった目とうっとりとした怪しい表情で、引き続き銀年堂の脚に頬ずりをしていたサーティエだが。
直後にはその首根っこを銀年堂に掴まれ、そして背後に思いっきりぶん投げられ捨てられた。
「ぎゃぅンっ!」
そして、バルコニーの床に頭から落ち。またも珍妙な声を上げるサーティエ。
「――すこぶる気色悪かッ!」
そして、そんなサーティエを振り向き見る事もせず。銀年堂は堂々立ち構えたまま、ストレートに不快感を示す言葉を発し上げる。
「台無し……ッ」
そして、せっかく一応の決まりをつけながら、一つの事が決着したかと思っていた所へ。しかしとんだドン引きの事態が最後に舞い込み。
シャンツェはゲンナリとした顔で、そんな一言を零した。
しかし、そのサーティエがこれ以降。
亡国の姫と落ちて尚の、行動力と影響力をもって、銀年堂をどこまでも追いかけまわすヤベェストーカーと化すのだが。
それはどうでもいい話なので、此度のお話はこれにて完とする!
――ひどいエンド――
以上で終了となります。
シヴィル・ウォーを見た結果その終盤の戦闘シーンに影響され。
それにオリジナルキャラとオリジナル設定を当て嵌めて書きたくなったために書いたものでした。
お付き合いありがとうございました。




