表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひねくれぼっちにラブコメなんて有り得ない!?  作者: 小鳥遊咲季真
続・ひねくれぼっち05「中学軟式野球大会・地方大会編」
66/81

65 夏休み・三年生編

 中学軟式野球、夏季地方大会の優勝で幕開けした夏休みは、俺はだらけていた。怠惰であった。



 俺は受験はしない。だから勉強漬けの日々ではないのだ。仕事探しは夏休み明けから本格的に始まるらしいので、それまで俺は自由だった。


 

 夏休みが明けたら、その翌月は修学旅行だ。青森、秋田、岩手の東北三県を巡るそうだ。楽しみといえば、楽しみである。いや、その前に野球の全国大会が九月末にある。修学旅行は十月。補欠とはいえ、参加する以上は万全の体制で望めるようにしなければ。



 俺は走り込みをすることにした。



 何事もスポーツは体力が大事である。体力がなければ始まらないとさえ言える。体力はパフォーマンスの維持に必要となる。どれだけ速い球を投げようが、体力がなければ、バテバテでは速い球も投げられない。ちょっと投げただけで息があがっては選手として使い物にならない。決勝大会は準々決勝、準決勝、決勝戦と全部で多くて三試合、三日間ある。最長それだけ投げることを意識して、これからは毎日走り込んで体力増強に努めることにしよう、そうしよう。そう思った。



「ちょっと走ってくるから。夕飯までには帰るから」 


「はいはーい」



 俺はグローブと練習用のいつものボールをリュックに入れて、背負って家を出た。



 耳にはイヤホン。お気に入りのロックバンドの曲を流す。そして走る。ペースとしては少しきついくらい、肺に負担がかかるくらい。それで家の近所を走った。休みながら一時間走った。素人にしては十分だろう。あまり飛ばしすぎても良くない。俺は公園で休んだ。持ってきた水のペットボトルを開けて飲む。



 公園では子どもたちがサッカーをしていた。ボールを必死に取り合っていた。お互いに声を掛けて、パスして、そして設置されているゴールにボールを放り込んだ。



 俺はそれを見送ってから立ち上がった。



 公園の隅、端っこを選んで、壁に向かってある程度距離を取って立つ。グローブをはめて、ボールを握り、壁を見定めて投げる。真ん中。ストレート。ボールが跳ね返って返ってくる。帰ってくる。投げる。少し速く。ストレート真ん中。返ってくる。もっと速く投げる。ブゥン。ストレート。真ん中。すぐに返ってくる。



 俺はゴロを処理するようにそれを拾った。



 それからはずっと繰り返し投げた。おなじところに、同じフォームで、同じ球を投げた。そして返って来た。しばらく投げて拾ってを繰り返して、俺は投げる球を変えた。いや、ボールが変わったわけでは無い。球種が変わったのだ。それはカーブボールだった。練習のときにはいつも投げているのだ。ストレートとカーブ。両方投げる。カーブは二つの指から抜けるように、回転をぐっと掛けて曲がる。それも壁の真ん中に投げた。カーブはコントロールを意識して、ひたすらに投げた。球速は落ちる。だいぶ遅い六~七十キロくらいだろうか。ストレートの半分くらいになる。打者のタイミングを外すのには向いているだろうが、連投は出来ない。カーブばかり投げると、速い球よりもタイミングを合わせやすくなって打たれやすくなる。だから、一、二球目くらいに投げてバッターを迷わせるのが良い配給だろうか。決め球として放るのも悪くない。ストレートだと思ったバッターから空振りを取るのだ。そのためにはカーブを実践レベルに持っていかなければいけない。曲がり具合、制度、コントロール、あとは球速をあげるか、本当に曲がる角度を大きくしてコントロールをつけて投げるか。



 俺はカーブを投げたり、ストレートを速く投げたりした。どちらでも投げることができるように。今更新しい変化球習得とかは難しいと思うから、だから今あるモノを徹底的に。投げて、投げ込んで、そして体力もつける。



 その日の夕方まで続けた。



 それが俺のとある夏休みの日のことである。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ