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ひねくれぼっちにラブコメなんて有り得ない!?  作者: 小鳥遊咲季真
続・ひねくれぼっち02「球技大会・投手決め編」
53/81

52 ブルペン

 球技大会まであと二週間弱。



 練習を考えると、そろそろだれがピッチャーか決めておきたいところであった。体育の時間に練習出来るとはいえ、それは週三日である。来週三日あるとして、今週はもう明日の練習しか残っていない。



「男子のピッチャーまだ決まってないの? もう今週は木曜だし、来週、再来週の月曜日だよ? ふたみん投げるしかなくない?」



 恋瀬川と渡良瀬。いつもの部屋でいつもの三人。放課後に書類整理をしながら話をしていた。



「やっぱ、俺がやらないといけないのか……」


「昨年のように優勝しちゃえばいいのに」


「恋瀬川、おまえはそうやって簡単に言うが、手の内のバレてる読み合いほど苦しいことはないんだぜ。野球というのは投手と野手の読み合いなんだよ」


「あら、私はてっきり九郎九坂くんが投げるのだとおもっていたのだけど。違うのね」


「ああ、予定では野球部のエースピッチャー、影山が投げる予定だ」


「予定、ということは決まっていないのね」


「……そうなんだよな」



 俺はまだあいつとまともに話せていなかった。影山は本当に無口だった。返答が一言「ああ」と言うか「そうか」と言うか「そうだな」と返すかの三択であった。会話が成立しないと、説得も何もない。よくあれでピッチャーを投げていられる。そう思える会話力であった。よって俺は、まったく説得できずにいるのであった。



「どうすればいいんだ……」


「さあね」


「むずかしいね」



 完璧超人の恋瀬川でもわからない、スクールカーストトップでコミュニケーションお化けの渡良瀬でもわからない。そんなこと俺にわかるか。ちくしょう、なんでこんなことに。



 それでもどうしようもないことはどうしようもなく、仕方なく俺は作業をしながら考えた。どうしたら話になるか。どうすれば話ができるか。会話ができるのか。会話。会話といえば、言葉のキャッチボールとも言うなと、ふと思った。今の俺はキャッチボールではない。いつものようにひとりで喋り、ひとりで言葉を呟いている、公園の壁にめがけて投げ込むのと同じだ。まったく同じ。一方的なのだ。会話をしようと思っても、会話になっていなかった。会話にすらならなかった。当たり前だ。キャッチボールは一方的に投げるだけではキャッチボールにならない。相手からボールを受け取って初めてキャッチボールになる。会話、キャッチボール、一方的、……ううん? そうか、そうだ、普通に考えるから駄目なんだ。



 いつものように捻くれた考え方をすればいいんだ。



 普通に考えるから、真っ当に考えるから、普通の考え方しかしないから分からないんだ。斜め下から見上げるような、見下すような、眺めるような、捻くれていて、曲がっていて、性根が腐った考え方。そうだ、そうすればよかったのだ。なんだ、いつものことじゃないか。いつも通りじゃないか。何も、それこそが俺の普通じゃないか。 



「ぐふふ」



「……え、なに、気持ち悪い」


「なにかわかったようね」


「ああ、資料整理終わったぞ。ここ、置いておくからな。俺は行くからな」


「いってらっしゃーい」


「行ってらっしゃい」



 二人に見送られながら、俺は電話を一本掛けた。



「ああ、国崎か。部活中にすまない、頼みがあるんだ」






 

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