しごとやすみのせんたくばさみ
好きなんですってば、せんたくばさみ。
せんたくものがとりこみおわって
はだかんぼのハンガーに
まるでセミかチョウチョみたいだね
せんたくばさみがとまってる
掃除機に追い出されたから
勝てもしないパチンコを打ちに行くお父さんや
おしつけられた雑用をすませて 手があいたのに
他のグループが進める看板づくりを手伝ったり
文化祭の準備の輪には入れない
教室のすみっこが定位置の男子も
じぶんの仕事はちゃんとやってるんだから
なんにもうしろめたいことなんてなく
ゆったりしてればいいのに
居心地のわるさに いたたまれなくなって
居場所のなさに 腰を浮かせてしまうけど
そこんとこ せんたくばさみなら きっとうまくやる
せんたくものを干してない はだかんぼのハンガーや
なんかのへりにつかまって
つぎの仕事までのやすみをやりすごす
居心地の悪さも 居場所のなさも感じないで
もちろん そもそも感じる必要なんてないけど
思い思いのところにとまっといて
いざ せんたくものを干すときになったら
さぁ はたらくぞって勇むんだ
まったく切れないはさみのくせして
そういう切りかえはうまいよねって
やっかんでやったら
まったく切れないそのはさむ部分を
かちかちとやって すごんできそうだから
よけいなことを口にするのはやめとこう
色つきの透明なやつが好きでした。