1話 追放・旅立ち
こんにちは!なっとぅーです!小説自体初めて投稿するので至らない点などあるかもしれませんが、ご意見頂けると幸いです!
「お前追放な」
そんなことをボクが所属しているAランクパーティー〈古龍の集い〉全員が集まっている酒場でリーダーのアッシュに言われ、ボクは唖然とする。
「何でだよ......!」
何とか冷静さを取り戻したボクことイアンは異を唱える。
「なんでってそりゃ、お前が無能でつかえないスキル持ちだからだろ」
どうやら本気でボクを追放する気らしい。
「た、たしかにボクはスキルもろくに使えないかもしれない。けど!! これまで必死にこのパーティーの役に立とうとしていたじゃないか!」
ここでパーティーメンバーの1人で〈賢者〉のレティが口を開く。
「あんた、まだ分からないの? さっきアッシュが言ったじゃい。あんた追放なの。これはもう決定していて覆ることは無いの。」
「まぁ、無能の君じゃわからいかな?」
口を挟んできたのは〈聖女〉のマリー。ボクは狼狽えながら言った。
「で、でも......」
そこでアッシュの拳が飛んできた。
「ぐはっ......!」
ボクは反応できずに、背中を酒場の壁に勢い良くぶつける。
痛みに苦悶の表情を浮かべるボクにアッシュが近づき髪をつかみ上げ言い放つ
「ごたごた五月蝿いんだよ、お前。無能なんだからさっさと言うことを聞けよ。追放って言ってんだよ! つ・い・ほ・う!」
そう言うとアッシュはボクの髪から手を離し蹴りを入れる
「ぐっ......!」
ボクは痛みに顔を歪ませる。そんなことはお構い無しのアッシュは告げる
「俺らはこれからもっと有名になる。そんな中にお前みたいな無能がいたらパーティーの名が折れるだろ?つまりはそういうことだ」
納得がいかない。
パーティーの名、そんなことのために結成初期から共に戦ってきた仲間をパーティーから追放する?
ボクが呆然としているとマリーが言った。
「君さぁー今までうちらに無能として迷惑掛けてたんだからさぁー迷惑料位払ってよね? 取り敢えず貯金しているお金ぜんぶ♪」
は?迷惑料何を言ってるんだこの女は?ボクは反論した
「迷惑料も何もボクらは仲間だったじゃないか! 何故仲間だった人にお金を払わなきゃいけないんだ!!」
「そもそも、あなたのことなんて一度も仲間なんて思ったことないわよ? あなたのその使えそうなスキルが目当てでパーティーに誘ったわけだし」
レティのその衝撃的な発言を聞きボクは再び唖然とした。
さらに追い討ちをかけるようにレティが言う。
「あなたのスキル、なんだっけ? 〈竜を統べる者〉? 大層な名前の癖して全然使えないじゃない。なんでこんな雑魚の面倒私達が見ないといけないの。ってずっと思ってたしそもそもスキル発動してんの見たことないし」
そうだ、ボクのスキル〈竜を統べる者〉は発動条件が分からず一度も使えないでいる。そもそもとして竜自体滅多におらず、ボク自身一度も会ったことがない。
そこでアッシュが言う。
「でどうすんの? 金、払うよな?」
戦闘になればこっちが負けるのは一目瞭然であり何をされるのか分かったもんじゃないので、大人しく自分の鞄からずっしりとした革袋を出す。
「こんなに持ってやがったか! 無能の癖に最後は役に立ったな」
アッシュが笑いながら言う
ボクは泣きそうになりながらも言葉を絞り出した。
「じゃあ、ボクは行くから。今までありがとう」
悔しかった。
コケにされて、今まで貯めてきた貯金まで取られてボクは逃げるように酒場を去った。
◇ ◆ ◇ ◆
「くそっ……!! これからどうしろって言うんだよ……!」
アッシュ達〈古龍の集い〉は腐ってもAランクパーティーだ。
そんなパーティーから追放されたボクは、これから先新しくパーティーに所属するのは難しいだろう……。
恐らくアッシュ達があることないこと周りに触れ回っている事だろう。
「昔はこんなんじゃなかったのにな」
そう、結成初期はマリーもレティもアッシュでさえもイアンと仲が良かった。
けれど、パーティーがCランクになった時辺りからパーティーの中で実力差が出てきた。
アッシュは剣聖のジョブにレティは賢者、マリーは聖女のジョブに恵まれたのだ。
ジョブというのはある程度レベルが上がるとランクアップするものとされている。
「それに比べてボクは……」
そう呟かずにはいられない。
イアンのジョブ〈召喚士〉はレベルが上がっても一切進化しないのだ。
「そういえばこの前のクエスト終わってからステータス見てなかったな……ステータスオープン!!」
そう言った瞬間目の前に透明の板のようなものが現れ、そこにはこう書かれている。
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名前・イアン
種族・人間
年齢・17
レベル・34( — )
ジョブ・召喚士
スキル一覧
・竜を統べし者 ・剣術(LV5 — )
・契約魔法 ・変撃
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これがボクのステータスだ。
攻撃力などの細かいステータスは協会にいかないと分からない。
「今度協会にいかなくちゃな」
そんなことを言いつつこれからのことを思案する。
「冒険者を続けながら、竜を探す旅にでも出ようかな」
この国では冒険者を続け辛いことを悟ったイアンはこの国を出て旅に出ることを決意した。
「けどな、お金がないんだよな……」
それもそのはずパーティーを追放される時に貯金全額奪われたからである。
「今持っている路銀はっと、金貨4枚だけか」
非常にまずい状況である。
4枚の金貨じゃこの国を出て隣の国位までなら行けるが、隣の国はアッシュ達の活動圏内で恐らくまともに活動出来ないであろう。
何せアッシュ達は英雄とまで評価されるAランクパーティーである。
そのAランクパーティーから追放されたボクはかなり印象が悪いであろう。
何より気まずい……。
「とりあえず、アッシュ達の活動圏外である南にある大陸を目指すか。」
目指すべき場所も決まりボクは旅の支度のために一度宿屋に戻るのであった。
旅の支度も完璧に終わり、ボクはこの街の城壁の近くまでやって来ていた。
そこで衛兵の人に声をかけられた。
「おい兄ちゃん! どこに向かうんだい?」
「とりあえず南の大陸を目指したいと思います」
ボクがそう答えると、衛兵の人は驚いたような顔をして言った。
「兄ちゃん。悪いこたぁ言わねぇ。今の時期に南の大陸に行くのはやめときな。南の大陸に行くには魔の森に行かなきゃならねぇ。けど最近魔の森で、やばい魔物が出たとかで一部の人を除いて閉鎖しててとても入れたもんじゃないって噂だぜ」
なるほど、そんな事になっているのか。
ボクは衛兵の人にお礼を告げ街の外に出た。
衛兵のひとは、
「わりぃな兄ちゃん! 長々と引き止めちまってよ!」
と言っていた。
「とても感じのいい人だっな」
とにもかくしてボクの竜を探す旅ははじまったのであった。
こんにちは!なっとぅーです!
読んで頂きありがとうございます。