ぼくのともだち
ぼくにはともだちがいます。
なまえはベアーといって小さな小さなクマのぬいぐるみです。
少し茶色いけど白の毛からいい匂いがしてずっと一緒にいるともだちです。
それに、まだねんれいがいくつかおぼえていない時からのともだちなので、いちばん仲のいいともだちです。
そんなベアーでこまったことがありました。
こんど行く小学校ではベアーをつれていけないというのです。
お母さんにいくら言っても、泣いてもダメでした。
いつもはゆるしてくれるのにぼくのことがきらいになったのだとおもいました。
こんな時はベアーにそうだんするしかありません。
ぼくはおかあさんにいってベアーと話ができるようになるへやをかりることにしました。
そのへやではベアーはしゃべる事ができるのです。
おかあさんがゆるしてくれる時しか使えませんがきょうは使えることができました。
「ベアー聞いてよ」
「どうしたんだい?」
「小学校でベアーを連れていけないんだ」
「そうなの?」
「おかあさんが言うこと聞いてからないんだ」
「それは困ったね」
ベアーはいつもこうやってはなしをきいてくれました。
「小学校にいきたくないよ」
「でも、ぼくも小学校でいっぱい友だちができてほしいな」
「ぼくもつくりたいよ」
「でも、毛ももう真っ白じゃないし気味わるがられるんじゃないかな」
「そんなことないよ」
「そうだ。この部屋にともだちをいっぱいよんできてよ」
「この部屋に?」
「うん。ぼくが喋れるクマだって知ったらみんなともだちになってくれると思うんだ」
たしかにベアーのしゃべることはおもしろいことばかりでいい考えだとおもいました。
でも心配なことがあります。
「でも、ともだちかいちども家にきたことないし」
「そうだね」
「ぼくなんかにできるのかな」
「できるよ!ぼくもがんばつておもしろい話をかんがえるから!」
「わかった!」
ベアーもがんばるならぼくもがんばれるきがしました。
げんきになってへやをでるとお母さんが話しかけてきました。
「相談できたの?」
「うん、小学校もがんばるよ!」
「そうなの、むりしちゃダメよ」
「うん!」
おかあさんはすこしのどをおさえながらうれしそうにほほえみました。
ベアーのへやにともだちがくるはなしはまたこんどのおはなしです。