63話目 ノスタルジック•クラスルーム 右子side
アップ後に幾つか書き足しました。すみません。こういう事が多くなっています。
読んだ方は、もし良かったら、もう一度読み直していただけると幸いですm(_ _)m
私、ミーシャは新しい制服に着替え、校舎に向かって歩いていた。
ドォン!
すると、目の前の校舎から爆発音が聞こえた。
爆発と言っても、爆発音と窓の中が光ったのがかろうじて見えた程度なので、科学実験が失敗したようなそんな感じだと思う。
でもあの辺りは·····二階、6年B組、私のクラスの辺りかもしれない。
私はもう疲れていた身体にムチ打って走った。
そうだ!もう昼食の時間過ぎてる!
いつもは敦人とアイン王子とお昼を一緒に食べてるから、遅いと敦人が教室に呼びに来てしまっているかもしれない。
爆発に巻き込まれていたら大変だ!
というか·········あの爆発って·······関係してないでしょうね·····ものすごく嫌な予感がする。
教室につくと、電気の点検で午前中は入れなかった教室のドアが全開だった。
「え········」
この教室、やけに広い。
あれ、これっていつもの倍ぐらいにはなってない?
隣のCクラスの部屋も一緒になった面積ではと思う。
机は一つ一つが離れて置かれている。それぞれ学校の教室の机とは思えないほど大きいし、上部には簡易的な棚まで備え付けられ、椅子と揃いの格調高いアンティーク調の勉強机だ。
床には赤いふかふかの絨毯が敷き詰められている。
「グレードアップ········」
単純に言えば、そういう印象だ。
さっき覗いたA組にも匹敵するかもしれない。
その広い教室の真ん中で爆発は起きたようだ。
そこにいたのは、土下座のような格好で床に伏してる麦本くんと、
········!敦人だった。
「敦人?ど、どうしたの!?」
さっき窓越しに見た爆発は思ったほどは大したことは無かったようだけれど、敦人の目の前の机と椅子が爆破されて黒焦げのぐちゃぐちゃになっていた。
私を見つけて、敦人は大袈裟に驚いて駆け寄ってくる。
「ミーシャが食事に来ないから······!」
来ないから何をしたというのだろうか。
まさか机と椅子を爆破してしまったのだろうか。
「俺がこのクラスまで呼びに来たら、こいつが、ミーシャの机を漁っていたんだ。俺が止めないと、中の物がどうかなっていたと思う」
いや、中の物以前に机がぐちゃぐちゃじゃない?
「この教室リフォームしたんだな?席の配置は前と同じみたいだぞ」
なるほど、そうなのか。正直、私は麦本くんよりこの部屋の変わりようのほうが気になる。
電気点検ってこんなことまで、する?
「麦本くん·······すごく悪い人に私を虐めろって言われてやったんですよね········?」
保くんの指示はまだ続いているんだろうか。
保くんは私を捕まえるためなんて言っていたけど、こういうのをみると、ただ私を虐めたいだけのように感じられる。なんてすごく悪い人なのだろう。
麦本くんは這いつくばるのを止め、私を見るなり真っ青になっていたけれど、
「おっお前あそこから出てきたのか······!?
······ちっ違う!!お前が平民のくせに生意気だからだよっ」
と吐き捨てた。
すると教室の隅で避難していたクラスメイト達の中から
「そうよ。平民のくせに」
「平民のくせに貴族と話すなんて」
「学校で学んでどうするのよ」
なんてヒソヒソ声がする。
「ミーシャ?」
心配そうに敦人が顔を覗き込んでくる。
平民のくせにって言われてこんな気分になるなんて
私も思ってもみなかったわよ。
私は悲しかった。
前世は平民だから?それに親すらいなかったもんね。
私は遠い昔の前世の、ほとんど忘れていた小学校の記憶を思い出していた。
敦人もそんな私の気持ちを感じとったのかもしれない。
二人とも昔、惨めな思いをしたことがあるから。
「ごはん食ってなかった!
ミーシャが全然見つからないからだぞ。
昼食、まだ間に合うから、ほら、行くぞ!」
私は敦人に手を繋いで引っ張られ、
私達はB組を後にした。
暫く歩いていると後ろから、今度はさっきよりも大きな爆発音がした。
私は敦人を睨む。
腹いせにもう一つ机を黒焦げにしたようだ。
立つ鳥跡を濁しまくるのは止めてほしい。
ふと、途中の廊下で敦人が立ち止まり、私にネックレスを掛けてくれる。
「あ!これ、良かった!」
これは例の不思議な破壊兵器の十端十字架だ。怖いから首には下げられないけれど、いつも持っていたくて机の中に入れていた。
「さっき、あいつがミーシャの机から出してて、だからすぐそこがミーシャの席だって分かったんだ。
これ、何でミーシャが持ってるんだ?俺は無くしたと思ってたんだ。
すごい、驚いた。」
「これ、渡してくれたよね?········クリスマスの夢で·····」
「あの時か!?すごいな········!」
敦人は本当に驚いていたけれど、私も驚いている。いや、敦人から貰ったとは信じていたけれど、夢を介して貰ったとようやく実感できた。
「良かった·······姉さんが貰ってくれて」
敦人は独り言のように呟き、そして続けた。
「そうだ!机と椅子、爆破しちゃってごめんな」
「ううん」
机の中身を守るどころかまとめて壊すなんて、流石だよね。
アイン王子は、もう食事を済ませたようで控室でゆったり読書をしていた。
王子ってインテリなのよね。
いつも難しい顔で読書をしている。
と、突如私達を見て騒ぎ出した。
「えっ?えっ!?えっ!」
「「?」」
私と敦人が怪訝な顔をすると、アイン王子は後ろを震えた指でさした。
私が振り返ると、そこには麻亜沙さんが立っていた。
「あら?私ずっとついてきていましてよ?」
本当に?私もびっくりしたわ。
ずっといたの!?
アイン王子は、真っ青になったと思ったのに今度は真っ赤になっていた。
「『滅亡帝女』のお助けヒロイン·····!!
ぼっ僕と、けっ結婚してください·······!!」
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