53話目 平民の私 右子side
3人で校長室へ案内され挨拶を済ませ職員室へ戻ると、根津生先生が待っていてくれた。
「クラスはシン•シウとリー•アインが同じAクラス。阿良々木 ミーシャはBクラスです」
シン•シウ とは敦人のコーリア国用の仮の名だ。
私は二人と違うクラスのようでがっかりしてしまう。
「クラスってどう分かれてるんですか?」
アイン王子が先生に聞く。
「どうって······Aクラスは帝族と高位貴族の子女のクラスになっています。後はまあ、適当みたいですね」
教師になりたての根津生先生なのでよく知らないようだ。
「なるほど」
がっかりしたけれど、納得する。
私は平民なのでそんなクラスには入れない。
「ええっ!?それって右子と同じクラスってことか?
俺もBクラスにしてくれ!」
「シウはアイン王子の側近扱いで入学しているから当然同じAクラスですよ?
Aクラスには特別に学校の用意した護衛もついているし、設備も何もかも整っています。王子はそこ以外のクラスは認められないですよ」
「〜っ、分かったよ!」
敦人はしぶしぶ納得した。
っていうか敦人も帝子だっていうのに、本人も忘れてない?
クラス分けを聞いて私は急に心配になってくる。
「知り合いもいないクラスで、一人で大丈夫かな···」
「Bクラスは私の担任なので安心して下さい」
「根津生先生!良かった~!」
私は心底ほっとする。
「私は家庭教師の時からあなたをずっと学校に通わせるよう宮内省に進言していたのです。でも阻止する勢力があり認められなかった。今回はたった3ヶ月ですが、あなたにとって貴重な時間となると思います。」
「せっ先生······」
本当に良い人だ。先生に報いる為にも卒業まで3ヶ月頑張らなくては。
「はあ?ミーシャの担任?あんた教師になりたての新米だよな?不安しかないぞ······
それにまたコネ使っただろう。·····あんたかなり腹黒いよな」
敦人ははじめから根津生先生が気に入らないようだ。
アイン王子も続ける。
「根津生先生よりこの国では姓呼びが多いので、金原宮先生の方が自然では?」
それについては私も先生も納得して、結局、金原宮先生呼びに戻すことになるのだった。
聞けば帝国学校の理事長は金原宮公爵家の傘下の金澤侯爵家が代々担っているとのことだ。まあ、多少コネがきくのかもしれない。
「新しく入学する平民の生徒が心配なので自分のクラスにしてくれと校長に言ったら快く了承してもらえましたよ?
そんなの不正でもなんでもないでしょう。」
教師の鏡すぎでしょう。私もウンウン頷く。
「「いや、あんた新任教師·······」」
敦人もアイン王子も黙ってしまった。
私の計画はこうだ。
私は豪商の娘という立場らしい。
この学校に通っているのは総じてお金持ちが多いだろう。それかとんでもなく優秀かのどちらかだ。
優秀であれば貴族平民関係なく奨学金制度を利用できるらしい。
平民も幾名は存在するので、彼らと連絡を取り知り合いたいと思う。
特に成金が、いい。
私は、この世界で前世の日本のように生活するのは難しいと気づいていた。
平民になって帝女より格段に自由な人生を歩んだところで、金銭的なゆとりが無ければ、働きづめて終わりだ。
街に出て見た光景は、貧しい平民たちの生活だった。
前世の日本なら、適正なお金で水道電気ガスのライフラインが使えたし。電車やバスなどの交通インフラなど、様々に生活を円滑にするサービスが利用できた。
それがこの国ではほとんど実現されていない。
私は前世の世界を不思議に思うけれど、この世界だってこれから実現不可能というわけではない。
今は明治大正時代かもしれないが、これから日本に近づいていくのだ。
私はここで出来ることが沢山あるような気がしていた。
何かこの国にできることをしたい。
それには、お金持ちの平民がいい。
伝統や既得権益を持つ貴族ではちょっと心配だ。
この学校で協力者を探したいと思っていた。
何のかんのいっても、
まずは、友達を、作りたい!
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