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補佐役として転生したら、ダメダメ美少女勇者さまのお世話をするはめに!?  作者: 有永 ナギサ
2章3部 魔法使いの少女

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レティシアの剣技

 シンヤたちはアルダの森で依頼をこなしながら、アドルフを捜索そうさくしていた。

 そして今、シンヤとレティシアは遭遇そうぐうした魔物たちと戦闘している真っ最中。相手はウルフと、グリズリーという魔物である。グリズリーは大きな熊のような姿で、凶悪な爪と豪腕ごうわんさを持つ中級レベルの魔物であった。


「そこね!」


 すでに戦闘も終盤。レティシアが間合いを詰め、カタナを一閃。グリズリーの胴体に一太刀ひとたち入れる。


「グガァァァ!」


 もろに入った一撃であったが、グリズリーはまだ倒れない。よろめきながらも鋭い爪で、レティシアへと反撃してきた。


「おっと」


 襲い掛かる豪腕に対し、彼女はかろやかな身のこなしで後方へ跳躍ちょうやくし回避を。


「なかなかタフな敵ね。でも次でしとめる!」 


 そしてすぐさまレティシアはさやにカタナをおさめ、再びグリズリーへと突撃。


「ガルルルルー!」


 そこへウルフ3匹がグリズリーを守ろうと、レテシィアへと飛びかかっていった。

 しかし彼女はウルフにかまわず、グリズリーへ渾身こんしんの一撃をたたき込もうと。

 このままではウルフの攻撃を受けるはめになってしまうが。


「シンヤ、周りのザコをお願い!」

「おう! つゆ払いは任せろ!」


 もちろんそんなことはさせない。心象武器のリボルバーをクルクル回転させながら、即座に銃口をウルフへと。そして引き金を引いていく。標的はレティシアへせまるウルフ3匹。見事な早撃ちで、敵の眉間みけんに次々と弾丸を撃ち込んでいった。


「ガルルルル!?」


 これによりレティシアの邪魔をするものはいなくなり、攻撃に集中できる状態に。


「グガァァァ!」


 グリズリーが迎え撃とうと腕を振るおうとするが、遅い。すでに彼女は敵のふところにもぐりこみ、カタナをさやから抜こうとしていたのだから。


「とどめよ!」


 レティシアが抜刀。精確無慈悲な銀閃が、グリズリーの首元へと襲い掛かる。

 そして彼女の渾身の居合斬りが炸裂。標的をまたたく間にち斬った。


「――ふう、これでおしまいっと」


 レティシアが華麗かれいにカタナをさやに納め、一息つく。

 敵は今倒したので最後。戦っていた魔物の集団を、無事全滅させることに成功した。


「ははは、見事なまでの剣さばきだな。身のこなしもすごくかろやかで、舞を見てるかのようだったぜ」


 レティシアの戦いぶりはまさに優雅の一言。しなやかな体さばきからくり出される、研ぎまされた剣技。一足一挙動にムダがなく非常にかろやかで、まるで舞を舞っているかのよう。しかも彼女自身が誰もが認めるほどの美少女ゆえ、さらに美しさが際立っていたといっていい。もはや戦闘中だというのに、気づけば彼女に目を奪われている瞬間が何度もあったという。


「なになに? もしかして見とれちゃってた?」


 するとレティシアがシンヤへと振り返り、かわいらしくウィンクを。


「ああ、あまりの剣技に、惚れ惚れしそうだったよ」

「ふふっ、ありがと! シンヤもさすがだったよ! 的確に援護してくれて、すごく戦いやすかった。その射撃のウデと視野の広さは、賞賛ものね! あれなら安心して背中を任せられる!」


 レティシアがシンヤの顔を下からのぞき込みながら、親しげに笑いかけてくる。


「ははは、援護なら任せてくれ。いくらでもぶっぱなすからさ!」


 リボルバーをクルクル回転させながら、自信満々に宣言を。


「ねー、ところで一つ気になってたんだけど、どうしてシンヤはその魔導銃をクルクル回してるの? なんか戦闘中も、合間に何度もやってた気がするけど」

「だってかっこいいだろ? こうしてるとリボルバーを使ってるって実感が、湧いてくるんだよな。ああ、それにしても心象武器の我が愛銃。ロマンと美しさをそなえたこのフォルム! まさにオレの理想とする形だ。しかもそれをまるで自分の手足のように扱えるんだから、もう最高すぎる! これをぶっぱなせるだけで、ほんとこの世界に来た甲斐かいがあったってもんだぜ!」


 クルクルと華麗にガンプレイして、不敵に笑う。そしてリボルバーにうっとりしながら、早口で熱弁した。


「シンヤ、少しテンションがおかしくない?」


 あまりの熱量にか、若干引き気味になるレティシア。


「ははは、このあこがれのリボルバーを前に、興奮せずにはいられないってな」

「――そ、そう。でも、まあ、かっこいいと思う気持ちはわかるかも」

「おぉ! レティシアもわかってくれるか! もっと見てくれていいぞ。射撃もたまらないが、リロードするときもまたこれがいいんだよな! こうやってさ!」


 レティシアに詰め寄り、目を輝かせながらリボルバーのいいところを熱くかたっていく。


「――あ、あはは……、これは深堀りしたら、ダメなやつだったかも……」

「シンヤー、レティシアさーん」


 しかしそこへトワがしげみの奥から現れて。


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