交渉
「すいませーん」
その張り紙を見て直ぐに私は
店の厨房へと声かけた
「はーい!今行くよ!」
返事を返しこちらへ
向かってきたのは女性だったおそらくこの酒場の
マスターだろうか
「実は、お願いがありまして
食材を買い取って欲しいのですが…」
「うーん…別に今メニューの食材が
何か欠けている訳でもないのよね…」
「いえ普通の食材ではなく…」
私の予想が正しければ食いつくはず…
「エルフの肉、腕一本分を定価の半分の値段で良いので
買って頂きたいのです」
どうだろうか…
「定価の半分でいいのかい!?」
よしっ
「はい、実は少し肉つきが悪いので
安くても良いので買ってほしいんです」
「勿論オッケイよ!
なんたってエルフの肉なんて滅多に
手に入らないんだから!腕一本分よね?それなら
20万コインだから半額の10万コインかしら…」
10万コイン!そんなに手に入れば
しばらく困らないのでは…でもこれは…
「何言ってるんですか…22万コインから
半分差し引いて11万コインですよ」
「あら…そうだったかしら久々に仕入れるから
いくら位だったか忘れてたわ…ごめんなさいね」
騙せた、
勿論エルフの肉の値段なんて知るわけもなく
デタラメだ
「いえ、大丈夫です
それともう一つお願いがありまして…」
「なにかしら?」
「実はまだ腕はエルフに繋がったままなのです
そこで11万コインから10万コインへと下げますので、
切断作業と切断後の止血等を、
そちらにお任せしてもいいですかね…」
「何だか訳ありみたいね…
でも、エルフの肉なんて
次いつ手に入るか分からないからその条件を飲むわ」
やった!どうやらエルフの肉はそれほど貴重なのだろう
「それじゃあ、
今店の前に居るので連れてきますね」
「分かったわそこのドアを開けたら
地下の肉を貯蔵してる場所があるから
そこに連れてきてちょうだい」
「了解です」
~~~~~
「古地ー」
私は少しスキップ気味で店の前へと戻った
「聞いてたよ、ナイス!」
パシン!
二人でハイタッチをした
「エルフちゃんも!
今からその右手無くなるんだから
最後にハイタッチしようよ」
私はエルフへと手を出した、だが
「…」
黙りこんだままだった
「気分じゃないか…
それじゃ、行こうか」
エルフにも会話が聞こえていたのだろう
貯蔵室へと向かってる途中声を殺して泣いていた