奴隷
「古地ー!この娘なんてどう?」
私は一人の紫髪のエルフの娘に指を指し古地へ提案した
「えー二人で一匹なの?」
「そりゃそうだよ」
「一人一匹にしない?」
「いやいや私達ただでさえお金なんて無いんだよ?
餌代どうするのさ」
やたらとペットを飼いたがる子の母親の気持ちを
こんなところで理解することになるとは…
「はぁー…そっか…じゃあその娘見せて」
「ほらあそこに座ってる娘」
「どれどれ…おっ、良いんじゃない
私も気に入った!」
「じゃああの娘にしようか」
「オッケイ!…でもどうやって盗むのさ?」
「夜まで待ってこの檻の保有者が寝たらそいつから
鍵をくすねて開けるんだよ!」
「なるほどね…でも保有者って何処にいるん?」
「今は食事でも取ってるんじゃない?
ここに来る途中酒場的な所が繁盛してたし」
「じゃあ取り敢えず今は少し離れた所に隠れて
檻の監視だね」
「って!誰か来てる!隠れよ!」
「急げー」
取り敢えずの隠れ場所として
私達は近くにあったゴミ箱へと身を投じた
「うぇ…臭…」
「しー」
「あれ?
誰か奴隷達を見てたと思ってたけど居なくなってるな…
ま、こんなデカイ檻があれば誰でも気になるか…
あー…誰か買ってくれないかな、
売り上げ低いとまたボスに怒られるよ…はぁー」
~~~~~
「今日も誰も買ってくれなかったな…
やっぱり高いと思うんだけどな値段…」
「!檻が乗った馬車が移動しようとしてる、
…古地!荷台に乗るぞ!」
「え?…あぁ!おk」
~~~~~
馬車が止まった…
「古地」
「Zzz…」
心地良い揺れのせいか古地が眠っていた
「寝てんじゃねえよ!クソアマ!」
「…!クソアマ言った方がクソアマだろ!?」
「なんだと…って今は喧嘩してる暇じゃない
馬車が止まったみたい早く降りて何処かに身を隠そう」
「え?あぁそうだった忘れてた」
私達は急いで荷台から降りた
「どうやら森みたいだね」
「ラッキー!草が生い茂ってるから
簡単に身を隠せるじゃん!
取り敢えずあの茂みに隠れよう」
「はぁ…長距離疲れる…明日はまた離れた村に
売りにいかなきゃいけないのか…
早くアジトに帰りたい…でもこのまま帰れば
ノルマ未達成でボスに怒られる…明日も頑張るか…
おやすみ俺明日頑張ろう…Zzz」
男は馬車から降りると
枕と布団を地面へひきそのまま眠った
「よし今なら檻の鍵盗めるぞ」
「急ごう」
私達は抜き足差し足忍び足と
こっそりと男へと近付いて行った
「ポケットかな…おっ、あったあった」
「こいつポケットに貴重品入れれるタイプか…
私だったら落としそうで絶対いれないのに…」
「こいつが気にしないタイプで良かったね」
「だね間抜けで助かったよ」
「誰が間抜けだ」
「由良も入れるタイプだったか…」
~~~~~
ガチャン!
「うるせぇ!静かにしろ!」
私は大きな音をたてて開いた檻を
その音より大きな声で罵った
「…大丈夫、あいつ起きてないよ」
「ならいいや、さっさとくすねておさらばしちゃおう」
男が起きていないことを確認し檻の中へと入った
「失礼しまーす紫髪のエルフ居るかなー
……おっ、居た居た古地ー」
「あーい」
「じゃあ足お願い私は腕持つから3.2.1.はい!」
軽い…
私と古地は無抵抗のエルフを二人で持ち
檻の外へと運んだ、端から見れば森の中へ死体を
捨てに来たように見えるだろう
「一端降ろして鍵かけてと」
「鍵返してくるよ」
「了解、すぐにずらかる準備しとくよ」
「鍵ありがとうございましたー
そんじゃさいならー」
どうやら男は最後まで起きなかったようだ
古地が小走りで此方に向かってきた
「よしそれじゃあ目的も達成したし…」
「「逃げろー!!!」」