看板2
しばらく歩いていると再び看板を見つけた
「またか…えーと…
『ここまでお疲れ様です、これが最後の看板です。
ずっと歩き続けたためお腹が減りましたでしょう、
この看板の隣にあるテーブル上のお料理は
食べてもらって構いません。
それらを食べ終わられたら最後の力を振り絞り
私の元へと来てください…』」
「これが最後…でもまだ歩くのか…はぁ……」
賀古がとんでもないため息をした
「看板には『疲れたでしょう』とか
書いてあるけどさ、私の勘違いかもしれないけど…
全く疲労なんて無くない?」
「そうだね…でもさ体に問題がなくても、
こ~んな代わり映えのしない
鳥居だらけの道歩き続けたらなんかさ、
心が疲れない?苦行だよこれは苦行」
「それはお前だけだよ」
「由良は疲れない?…
あ、そっか私ってか弱いし繊細だから…
図太い由良には一生分からないことかな…」
何言ってるんだこのクソアマ…
と言う言葉を私は心の中でだけに止めた。
何故普段なら何か言ってやるところを止めたかと言うと
一つ気になることがあるからだ、
それは…
「ねぇ…古地」
「何?」
「私達食べられたりしないよね?」
「…誰に?」
「神様とか言ってる奴に」
「何で?」
「いやなんかささっきから…
『注文の多い料理屋』みたいだなって…」
「…」
古地の顔からスッ…と表情が消え、
まるでバイブのように小刻みに震え始めた
そして…
「く…」
「く?」
「く…く!食われる!!!うわぁぁぁあ!!!」
と叫び、
まるで避難訓練の際
机の下に入り頭に頭巾を置き可愛く隠れる
幼稚園児のように頭に手をあててしゃがみこんだ
「食べないでくださーい!!!」
と古地が二度目の絶叫をあげたところで
料理の横に置いてあった看板に『食べないよ!?』と
文字が浮かびそれに続くように
『10秒ほど待って下さい』
と再び文字が浮かび上がった。
そして約10秒経つと…
「落ち着いてください…仲江古地さん」
何かが何もない所から降りてきた
あまりの神々しさに私達は思わず声を漏らした
「羽だ…これって」
「…光輝く…虫?」
「ち!違いますよぉ!神様ですー!」
泣きながらポカポカと古地が叩かれた