お荷物
「もういいのじゃアールア、
妾を先程のように軽々と持ち上げて早く立ち去るのじゃ
無能でお荷物の妾にはぴったりじゃろ…」
「しょんぼりとした魔王様幼稚で可愛い…虐待したい」
(そんな事ないですよ魔王様。貴方は魔族を引っ張る魔王なのですから!まぁ、難点があると言えば
角も胸もおつむも小さいところでしょうね)
「いや逆!と思ったけどどっちも酷いのじゃ…
実際に発言した方と頭の中の考えどちらかは
マトモであってほしかったのじゃ!」
「そう言われましても、どちらも本当の事ですので」
「い~やだとしてもなのじゃ!虐待したいってなんなのじゃ、自分で言ってて悲しいが角と胸とおつむが小さいのは事実じゃからわかるのじゃ!
でも可愛くて虐待したいってどういう意味なのじゃ」
「分からないのですか?それでは今すぐお城に帰って
魔王様の身体のサイズとは明らかに合わない大きなベッドの上で、じっくり、しっぽり痛気持ち良く教えてあげますよ。さぁ今すぐ帰りましょう」
「ちょ、ちょわっ!再度急に腕を引っ張るでない!」
「何ですか…ベッドの上で肌と肌を重ねるのが恥ずかしいんですか?フフ、可愛いですね」
あれ…?似たようなもんさっきも見たな
ある程度から観戦者になっていた女騎士は
そんなことを思いつつ、
体育座りの体勢から立ち上がった。
先ほどは考えもなしに引き止め険悪な雰囲気になってしまったが、今回は考えがある。
魔族の中には理性無きもの達もいる、
しかし目の前にいる彼女らは人と同じ言葉を
話すことが出来る。
彼女らにこれ以上罪を負わせず、
そして今後彼女らが起こす事件での被害者を増やさず
平和に解決するには言葉による説得しかない。
騎士になる前から養成学校では口酸っぱく
先生方は魔物の心に言葉は届かない遭遇次第
すぐに討伐を遂行しろと仰っていたが…
私のここでの成功は今この場だけの為ではない
今後の魔族との関係の発展にもなるはずだ。
幸いにも彼女らは冗談を言い合ったりもし敵対している私にもすぐに攻撃を仕掛けず、
謝罪を要求するようなもの達だ話せる余地はある筈だ。