私は聖剣（９８歳独身女性）です！
勢い重視で書きました。
自身の古ーいコメディで「俺は妖刀」ってのがありまして、
それの別バージョンでございます。
私は聖剣・・・・です！ ９８歳 独身です！ 彼氏は居ません、いない歴イコール年齢です・・・・好きな人は・・勇者様です！
神様たちが来る決戦の日に備えて、作り上げられた祝福を受けた剣なのです！偉いんです！
なんで、私が生まれたかというと、神様の中にどうやら悪い神様が現れたらしくて、
天界から追い出されたらしいの、そこら辺はあまり詳しく知らないんだけどね。
で、その悪い神様は人間界に潜んでいたらしいんですが、
神様たちが退治しに行ったら、人間界めちゃくちゃになるから、
力だけ貸してあげよう！ってなって、私を創ったの、だから天界生まれね！どう？尊くない？。
でも勝手じゃない？神様たちって。自分たちで何とかすれば良いじゃない！？って思うけどー。
創った神様が私の親になるんだけど、我が子のように創り出したお陰で、私が生まれちゃったのよ。 奇跡？みたいな（笑）
両刃の長剣なんで、スラッとして、ホラ色白なんですよ・・・ふふ。 柄には天界の宝石があって・・・コレね、とっても綺麗でしょ？
この宝石は神の力と通じていて、雷を起こす事が可能なんです！凄くない？！ ビリビリでっす！
で神様達とはこの宝石で繋がっていて会話できます、エッヘン。
人間とは出来ません、残念。
でもね・・・人間界一高い山の神様の祭壇に刺さった状態で置いてけぼりよ？ポツーーンと７０年も！
だーーーれも来なかったの！暇よ暇！ たまに神様達に文句言ってただけよ！
ちょっと・・・神様！聞いてるの？！ 暇なんだけどーーー！って。
で、神様も神様でさ、聞いてるけどーーーって、それだけ？
私はサビないし、魔物じゃ祭壇から引き抜けないし、
もうココからの景色だって見飽きたわよね。 神様にも言ってやったわ、いっそ街中に放り投げてくれ！って。
そんでもって、私が７０歳ぐらいの頃だね、もう女盛り真っ只中だったんだけど、
神様の祭壇に勇者様が現れたの！ めっちゃイケメンの！ 金髪サラサラ、緑色の目！ 美少年オブ美少年！
２０年ぐらいハズレばっかし、ムキムキだけのおっさんや、白髪だらけの謎のおじいちゃんとか？ もう手汗だけでドン引きね。
酷い髭モジャの筋肉お化けジジイなんか、掴む前に自分の手にツバをペッペッペッ・・・って、もう最悪。
だから神様にも言ってやったのよ、祭壇の近くに手洗い場作ってくれって、・・・で！ でね！
神様もどんなのが良いのか解らなかったのか御水屋っていうの作っちゃって（笑） ああ、東洋の神式で柄杓使って手を洗うやつなんだけど。
作法がまったく分からない人ばっかりで、もう適当適当。 飲んだり、手を洗ったり、頭からカブったり（笑）
まぁ、衛生的には良くなったんだけど、肝心な人間がダメなのよ、ぜーんぜん。
若い逞しい騎士のお兄さんもちょいちょい来たけど、ダメだったね。 オーラとか、神に選ばれし力が足らないのよ！ぜーんぜんダメね、顔は好みだったけど。
でもね、勇者様はもう全然違うの！ 来た瞬間にもうギンギンね、ヤッバイのよ。 私も嬉しくてちょっと体光っちゃったぐらい。
でね？ たくましい鍛えられた腕を魅せて、私を力いっぱい握りしめて「聖剣よ！我に力を与えた・・たたまへぇ！」だって、カワイイ！！噛んじゃって、もう最高！
もう引き抜く力なんていらないよーーーってぐらい自分からスポーーーンって抜けてあげたわ！ 好きにしてーって（笑）
そっからピッカーーー！！って光って、もう求愛行動よ！ 私を抱いて！！って。
勇者様も流石に感動してたわね、それまで持ってた鉄の剣には悪いけど、その鞘だけ貸してもらったわ。
だってね、ほとんどの剣って裸が多いのよ、恥ずかしい話なんだけどコレ。
私の場合は祭壇が服みたいなもので、スポーンて脱がされる感じ？ まぁ自分から脱いだようなものだけど・・・・。
だからもう勇者様のお嫁さんになったような気分なの。わかる？
それから戦って戦って私ガンガン働いたからね、切るわ切るわ、もう血浴びても構わないし、雷落としまくるし、
相手の武器ぶった斬るわ、魔獣の口の中に突っ込まれるわ、もうヘトヘトよ？ たまに投げられて相手に突き刺さる時なんてもうドキドキだし！
でも勇者様・・・ううん、アレン君はね。 いっつも夜寝る時も肌身離さず私のそばにいるの。
寝顔もすっごいカワイイし・・・でね、寝る前はね私をいっつも磨いて綺麗にしてくれるの。
嬉しくて嬉しくて、ピカピカ光っちゃうけど、アレン君たら「神よ、今日も感謝します」だって・・・私じゃないの？ってなるけど・・・。
で、そんな旅がもう８年・・・。
普通さ、聖剣とかってさ、最後の方・・・ほら、悪い神様倒すためのキーアイテムって感じじゃん？
世界一高い山の祭壇だから、中々手に入らないって思ってたみたいなんだけど。
結構旅の序盤だったみたいで、アレン君も２６歳だって。 良い大人になってきてるのよ。
私自身も、もう１００歳近いの！アラハンよアラハン！・・・ アラウンドハンドレッドね けっこう無駄な時間が長過ぎちゃって・・・。
人間界の力も技術も色々上がっちゃってるみたいなの！
でさ、時々私より強そうな剣をアレン君が手に取ったり、買うために品定めしてるの・・・もう浮気・・・だよね。
一番悲しかったのはね・・・武器屋さんでいくらで買い取ってくれるか聞いた事なの・・・。
で１Ｇ・・・って。 武器屋のオヤジも！！
もう私たち離婚するようなものじゃん・・・、そりゃ結婚してる訳じゃないけどさ・・・悲しくって。
ほかの剣に目移りするような勇者様って・・・聖剣として付いていけないかも・・・って最近思うようになったの。
夜とかピカピカ光るの・・・もうやめようかなって思う時もあるの。
ねぇ・・・聞いてる？天使さん？
天使「だから、剣としてではなく、新しい神の鎧として勇者を支えたいと？」
もう！判ってるんじゃない！ いじわるーーーっ！
ねぇ？どう？新しく鎧にしてくれない？ アレン君にビターってくっつくの！
天使「剣の役目は他の者に譲っても良いのかな？」
あ・・・・それは、ムリ！ ムリムリムリ！
それはムリだわ、アレン君が両手で他の剣をしっかり握りしめて戦ってる姿なんて、想像しただけで倒れちゃいそう。
あ！そうだ！セットにしてよ！ 神の装備セットで！ 全部私にするの！どう？いける？！
天使「セットにすると個々の能力は下がるし、勇者限定装備ではなくなり、時々他のメンバーに使われる可能性もありますが・・・」
あああぁ・・・ムリムリムリ、あのハゲ戦士にだけは使われたくないの！ アイツ、トイレいっても手を洗わないから！
天使「どうしましょう・・・」
剣としての力をパワーアップさせてよ！ もう他の剣よりウンと強くするの！
天使「無理です。 神の剣を遥かに上回る、伝説の金属と神の血を分けし伝説の名工が作り上げた剣が人間界にはもう出回っております」
そう、そうよね。 たまに見たわ。 見た目も強さもギラギラの・・・無理だなって思ってた、若いっていいなぁって・・・。
アレン君だって早く強くなりたいものね、いつまでも私・・・ううん神様の剣だからって束縛されたんじゃぁ・・ね？
・・・もういいわ、たまに雷だけ落す剣として生きる事にする・・・もう。 残酷よね、神様も・・・。
こんな日がいつか来るって判ってたの、ゴメンネ天使さん変な話に巻き込んじゃって・・・。
天使「心中お察しいたします・・・」
ありがと・・・天使さん。
こうして剣として生きる事を決めた聖剣でしたが、
道具袋の中に納められ、そしていつしか荷物預かり所に預けられる事となった。
勇者アレンはこの世の全てを切り伏せ、悪魔の心を浄化させる事ができ、所有者の力を増幅させ、
悪しき神の魔力を封じ込める事が可能で、なおかつ煉獄の炎を放ち続ける覇王の剣（２３歳 独身 女性）を身につけて、
悪しき神を討伐し世界に平和をもたらした。
アレンはそのまま国王となり、お姫様とめでたく結婚する事となった。 王家の宝として玉座の近くに聖剣は飾られる事となった。
文明が発展し、電気が使えるようになった世の中となったが、
聖剣の雷は非常用電源として重宝されるようになったとか・・・・。
聖剣１０８歳 未だ独身である。
彼女は国王と国を見守りつつ、新たなイケメン勇者の誕生を待ちわびている・・・。
ちょっと・・・神様！聞いてるの？！ また暇なんだけどーーー！
天〇の剣って最後まで使わないですよね。
なぜかちょっと弱い。
可哀そうだなーって思ったら、女性化してた。
