表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/50

第21話 ゴーレム技師、鍛治師親子の絆の危機を救う

 ――ここは商店エリアの、とある武器屋。


 逞しい体つきの青年が、鍛冶場でハンマーを振るっている。


「おい、下手くそ。いつまでそんな下らないことしてるつもりだ」


 青年に後ろから声をかけたのは、逞しい体つきの中年男性。青年の父親だ。


「うるせぇ! 俺は親父の後を継いで、立派な鍛冶屋になるんだ!」


「馬鹿言え。そんな腕前で何ができるんだ」


「なんだと!」


 青年が父親に掴みかかる。


「親父も去年まで、俺の腕前を認めてくれてたじゃないか! 『お前なら俺よりずっと良い鍛冶屋になれる』って!」


「嘘に決まってるだろ馬鹿ガキ。いつまでもこんな仕事してると、”こう”なるぞ」


 父親は、右足のズボンのすそを引っ張り上げる。


 ズボンの中から、義足が現れた。


「鍛冶屋にとって必要不可欠なアダマンタイトだが、暑いわ毒ガスが出るわモンスターがいるわの火山には、冒険者だって行きたがらねぇ。仕方ないから俺たち鍛冶屋が自分で採掘しに行く。


 だが、その結果がこれだ。落石にやられて右足とはおさらば。 


 踏ん張りがきかねぇから、鍛冶職人も引退だ」


「それでも、俺は鍛冶職人を続け――」


「馬鹿野郎!」


 父親が、青年のほほを思い切りたたく。


「俺はまだ右足で済んで運がいいほうだ! アダマンタイトの採掘なんか行ったら、命の保証もねぇんだぞ」


「わかってんだよそんなことは!」


 今度は青年が父親の顔を殴る。


「それでも俺は、鍛冶屋で喰っていくんだ! そして、親父のこの店を……国一番のでけぇ店にするんだ!」


「甘ったれたこと言いやがって!」


 親子の間で、殴り合いが始まる。


「俺は絶対に火山で怪我なんかしないし死にもしねぇ! そんなやり方を考える!」


「何言ってやがるこの馬鹿息子! 『誰も怪我せず暑い思いもせず、家で待っているだけで安全にアダマンタイトを取って来てくれる人』でもいるっていうのか!?」


「あの、お取り込み中のところすみませーん」


 のんきな声とともに、少年が店に入ってくる。


 ナットだった。


「あの、誰も怪我せず暑い思いもせず、家で待っているだけで安全にアダマンタイトを取って来てくれるゴーレムを作ったんですが、よかったら使ってあげてくれませんか?」


 ナットの隣には、採掘用ゴーレムも立っている。


「「……は?」」


 硬直する親子。


「あと、ギルドに出していたアダマンタイト採掘クエストの納品です」


 店の前に、アルカが台車を引いてきた。そこには、山盛りのアダマンタイトが積まれている。


「「……はあああああああああああぁ!?」」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ