第五幕。国立図書館にて。
「解読、三日もかかっちゃった」
「ねー」
いや、あの……たぶん普通の人だったらコレ数年がかりのやつですよ……。
現に僕まだ全然理解できてないし……。
「でも、これ良さげだよね。世界の理を無視する系のやつ」
「うん」
世界の理を無視する系!?!?!?!?
そんなことできるの!?!?
「この、対象を空間ごと消すやつにしてみよっか」
「ね」
対象を空間ごと消す!?!?!?!?
そんな恐ろしいこと書いてあるの!?!?
「これでリヴァーレ城だけ消そう」
「だね」
しかもそんなピンポイントにできるんだ!?!?
何なのその本!?!?
「早速やろっか」
「やろう」
……。
「あの……僕まだ理解できてないんですけど、それ本当にできそうなんですか……?」
「うん、できるのは確実。まあちょっと位置ずれちゃう可能性あるけど」
「うんうん」
位置ずれる可能性あんのかよ!!!!
危険過ぎるだろ!!!!
……。
「と、とりあえず一度ちょっとしたところで試してみたほうが良くないですか……?」
「え……」
「……」
エイミーお前そんな面倒くさそうな目で見るんじゃねーよ!!!!
無関係なところに被害及んだらどーすんだよ!!!!
あとクラリッサも黙って露骨に嫌そうな顔するんじゃねえ!!!!
……。
「いや、あの……ほら、変なとこにずれたら嫌じゃないですか? 下手すると自分が消えちゃったり……?」
「あっ、そっか、有り得る」
「たしかに」
有り得たーーーーーーーー!!!!
適当に言ってみたけどそれも有り得るんだ!?!?
ますますもって危険過ぎるよ!!!!
「じゃあ何で試そう」
「んー」
いやもうその辺の小石とか――。
「パライソ山とか?」
「ありだね」
無しだよ!!!!!!!!
自然文化遺産にして国内一の観光名所だよ!!!!
何を消そうとしてるんだよ!!!!
「じゃあ行こっか」
「行こ」
待て待て待て待て!!!!
「あの……パライソ山はやめませんか……? 消したら観光収入が減って国王きっと怒りますよ……」
「えっ、怒られたくない。じゃあその隣の山にしよ」
「そだね」
あっ、良かった……。
いや良くはないな!?
何でこの人たちお試しの規模が山ひとつなの……?
「あの名前長いやつ」
「うん、ルークソパースォリベレーソヴェーダルーテヴァルマレーンティアムカルニーゴラウロミリアードサーンクタパトリーノマーモヴェンキーントスターリミラークロモント山ね」
長っっっっ!!!!!!!!
名前長っ!!!!
あの山そんな名前だったんだ!?
クラリッサさんよく噛まずに言えたな!?
「じゃあ外出て試してみよっか」
「うん、試そ」
――とりあえず、間違って僕たちが消えませんように……。
アニメのギャグマンガ日和をご存知の方は、そのノリで脳内再生いただくのがオススメです。