異世界人、新学期ラッシュを捌く。
第7話
フェネク・フシトリ。炎の魔法が得意な奴。あいつは戦闘系の魔法は得意だったがそれ以外はさっぱりで、俺をここ川袋に連れてきた。
「ナロくん、顔が怖いよ?もうすぐたくさんお客さん来るのに、そんな顔じゃ困るよ?」
優理の言葉で俺は我に返る。どうやら深く考えすぎて、険しい顔になっていたらしい。
とはいえ、今日はこの世界の新学期なのだ。現在時間は7時。もうすぐ学生がたくさん来ると教えられた。
「優理は大丈夫なのか?」
「大学は今月一杯夏休み。だから、じゃんじゃん働くよ!」
そんな話をしていると、
「なあ、夏休みの宿題写させて!」
「やってないのかよ~」
「ヤバい、朝飯食ってねえ!買わねえと!」
などと、騒ぐ学生が大量に入ってくる。ある金髪の生徒はパン1つ。またある生徒はうどんとカップ麺。どれだけ麺を食うんだ。さらにとある生徒はミネラルウォーターのみ購入。
「これからもっと来るよ!」
優理が店に影響が出ないくらいの声で叫ぶ。
それにしても、今日はパン、おにぎり、麺類その他すべての売れ行きがものすごい。
途中から、仕事に行く前と思しき方々が入ってくる。こちらはコーヒーやお茶を買っていく。
優理が「ちょっと補充してくる!」といって補充に行く。俺のレジの前に行列が。とりあえず、頑張るか。
「ありがとうございました」
やっとこさ全てさばききった。何度補充に行っただろうか。そこへ、4人ほどの学生グループが入ってきて、
「マイルドセブン、4箱。」
「年齢を証明する物をお見せください。」
こいつらは学生、しかもこの近くのコウコウの制服だ。だとしたら、売るわけにはいかない。
「お前は黙って売ればいいんだよっ!」
殴られた。グループは騒ぎ、口の中に血の味が広がる。
「人を殴るのなら、それ相応の覚悟があるんだな?」
「は?」
「退場<アウト・フィールド>」
奴らを店の外へ飛ばし、
「結界<ゾーン>」
入れないようにする。ざまあみろ。
「やっぱり、すごいね、ナロくん・・・」
若干青ざめた優理から褒められた。