異世界人、部屋と職を手に入れる。
第2話
ゴンダの宣言から15分後、俺たちはそこそこ大きな建物に来た。1階は赤と緑、そしてレンガのような物が壁になっていて、上の方は赤茶色。なんというか・・・不思議な感じだ。
「ついて来い。」
ゴンダに促されるまま、建物にはいる。入ろうとすると、勝手にドアが開く。幽霊でもいるのか?
「いらっしゃ・・おお!権田さんじゃないっすか!ちょっと待ってくださいね。おーい!てんちょー!権田さん来ましたよー!」
「どうも。気が利くな。」
「いやいや、それほどでも。」
ゴンダと金髪を逆立てた男が会話をしている。・・・金髪は高い魔力を持つ者に生えると聞く。よほど強い魔術師か?
「ごめん権田!遅くなった!」
「いや、無理を言ったのは俺だ。こちらこそすまない。」
「いいよ、そんな頭下げられたこっちが困るから。ところで、彼が件の?」
「ああ。おいナロク!」
呼ばれたら行く。手はず通り。
「ナロク・ローグだ」
ゴンダと話していた男は
「こんにちは。ここ『ナイントゥエルブ』川袋店の店長、紫店 長助(してん ちょうすけ)です。」
「よろしく」
「いや、そんな挨拶なんて。ああ、えっと、聞いてないかな?君、今日からここで働いてもらうんだけど・・・」
なるほど、ゴンダが言っていたのはこの事か。
「精一杯働かせてもらう。」
きちんとお辞儀。
「えっ、あ、いや、その・・・あ、ありがとう。あと話によると君、家も無いんだよね。うちの2階に部屋が開いてるから、そこを使ってね。203号室だよ。」
「部屋もくれるのか!」
「うん。そのかわり今日の午後7時、8時間後から働いてもらうから、それまで自由だから好きにしていてね。」
「ありがとうございます。」
「よかったな。じゃ、俺はこれで。」
そう言うと、ゴンダは帰っていった。本当に、ゴンダには世話になったな。
かくして部屋も職も手に入れた俺。しかしあんな事になろうとは知る由も無かったのだった・・
第3話に続く