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第60話 教皇、シャウトする


「あっはははは、レーナやっぱり神竜さんの自宅壊しちゃったの。まーそんなとこだろーと思っていたわ」


「レーナお姉さま、日本なら完全に刑務所行きでしてよ」


「うう、、、面目ない、、、」


ひとしきりシャイン達の紹介も終わり、お茶を飲みながら歓談する彼女たち。話題は先ごろ観測されたマナ

の異常な反応の原因であった。


『あの時はこの世に生を受けてから、初めてブチ切れるという体験をしたぞ、、、』


「シャインさんも災難だったわねえ、でも、レーナも罰を受けたんでしょ」


「ああ、、、魔王討伐の報奨金は没収の上、給金は当分の間7割減になってしまったぞ、、、」


それだけではとても足りないのだが、シャインに対しせめてのお詫びということで賠償金に当てられることに

なったのだ。ちなみにその時宰相のブラッドはレーナに対し、


”牢屋にぶち込まれないだけ、女神ルーシャス様に感謝しなさい”


と冷たく言い放ったそうな。さすがに英雄騎士が人様の自宅破壊したのは外聞が悪いので、この事は

関係者以外隠ぺいされることになったのである。


「レーナ、この女神神殿破壊するのはさすがにやめてよね、もしやったら、、、、」


「わかってる、良枝かー、、、いやルーシャス様に簀巻きにされて木に吊るされるな、、、」


こうして、レーナは教皇より直接しっかりと釘を刺されるのであった・・・・


「ま、今日はシャインさん達の歓迎会も準備しているからさ。少し休んだら会場に案内するわよ」


「うむ、わかった」


この時レーナ達は、てっきり枢機卿などお偉方が集まって晩さん会でも開くのかと思い込んでいた。だが、

それは大いなる勘違いであることに、間もなく気づかされるのだ。


「皆さま、会場の準備が整いましたのでご案内いたします」


迎えにやってきたシスターの案内で、レーナ達は大きな扉の前に到着した。魔狼ルーディも余裕で通れる

サイズである。


「教皇猊下、聖女様始め、枢機卿の方々も皆さまをお待ちしております」


そして、扉を開けて中に入ったレーナ達が目にしたのは、格式ばった晩さん会会場、ではなくて、、、、


「イエーイっ! 今日の主役、英雄騎士とドラゴンたちの登場だぜえぇぇぇぇぇっ!」


「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおうううううっ!」」」」」」」」」」


ステージでマイクスタンドを手に叫ぶレノンと、一斉に腕を振り上げる枢機卿始めルーシャス神聖教の神父、

シスターの方々であった、、、、


「なんだ、これは、、、、」


『レーナよ、人族の晩さん会とはこういうものなのか、、、、』


お口あんぐりのレーナ達にエリスが事の次第を説明する。


「実はレノンお姉さま、魔導技術を使ってカラオケを開発したのですわ。もう曲も洋楽やJ-POPの有名

どころを百曲以上再現してありますの」


「そ、そうなのか・・・・」


前世のレノンはアマチュアバンドをやっていたこともあり、その時の知識をフル活用してかなりの曲を再現

したらしい。最初はあ然としていた枢機卿たちも、レノンに勧められて歌い始めると、たちまちカラオケの

魅力に憑りつかれてしまったそうだ。


「じゃあ一曲めいっくよお! アナーキー、イン、ザ、UKええええええっ!」


「「「「「「「「「「イエエエエエエエエエイっ!」」」」」」」」」」


そうして、”アンチクライストおおおおおっ!”と飛び跳ねながらシャウトするレノンに、ヘッドバンキングや

ダイブしながら盛り上がる聴衆たち、一方、レーナやシャイン達はその盛り上がりから取り残された格好だ。


「エリスよ、教皇が”アンチクライスト”と叫んでいいのか。それで盛り上がっていいのか」


「まあ、別の宗教だからいいんじゃないですか。あははは・・・・」


レーナの疑問にエリスは乾いた笑いを漏らしながら、答えるのであった。


「はいレーナ、ちょっとノリが足んないわよ。次はあんた歌って!」


そうこうしている内に、2曲目の”リンダリンダ”を歌い終わったレノンが、未だ呆然としているレーナに

声をかけステージに上げた。


「ほら、レーナも歌える曲いっぱいあるわよ」


「よしわかった、じゃあこの曲にするぞ!」


腹をくくったレーナの選曲は”君の瞳に恋してる”、80年代ディスコの定番ナンバーである。彼女が歌い

出すと早速会場の枢機卿や神父、シスター達がステップを踏み始める。天井のミラーボールに光が反射

して、もう完全に(いにしえ)の日本のディスコそのものな光景だ。


「よし、じゃあ次は”宇宙のファンタジー”だな」


「レーナ、段々昔の勘取り戻してきたじゃないのー」


さすが、昔取った杵柄で一旦歌い始めたレーナもかつてのノリが戻ってきたようだ。その後もストーンズの

”夜をぶっとばせ”などを歌って大盛り上がりの聴衆にご満悦な表情である。


「今度はエリスの番だぞ」


「ええー、私も歌うんですかー」


渋々ステージに上がったエリスの選曲は”天国のキッス”、ゆるふわ系美少女がぶりっ子スタイルで歌う

姿に、”L・O・V・E エリスちゃ~ん!”と野太い野郎どもの声援が飛ぶ。まるで日本のアイドルコンサート

に迷い込んだようだ。


『神竜さま、、、なんなんですかこれは、、、、』


『何でも、異世界の娯楽だそうだが、、、』


未だ戸惑うシャイン達であったが、後にレーナの手ほどきを受け、カラオケに入りびたりになるのは言う

までもないことである。


「じゃあ、私はこの曲歌いまーす」


あるシスターの選曲は”恋におちて”、しっとりと歌い上げる彼女に会場はチークタイムに突入する。これ、

元々は不倫がテーマのドラマの主題歌だったと、知っている者はいるのだろうか・・・・


「みんなー、楽しい時間が過ぎるのは早いもんだねー」


「「「「「「「「「「ええーっ!」」」」」」」」」」


レノンの言葉に巻き起こるブーイング、しかし、それは次の彼女のMCで歓喜の声援に様変わりするのだ。


「よーしっ、みんなもうちょっと踊ろうか! シェイクヒップううううっ!」


「「「「「「「「「「イエエエエエエエエエイっ!」」」」」」」」」」


こうして、歓迎会という名のカラオケ大会は、大盛り上がりのうちに幕を閉じた。その後改良により小型化

された魔導カラオケはそれまで大した娯楽のなかったこの世界の各地に普及し、オリジナルの楽曲も誕生

してポピュラーな娯楽に成長していくのだが、JAS○ACに著作権料が支払われたどうかは定かではない。


今話で上げた曲は全て動画サイトで視聴できますので、興味のある方はどうぞです。

天国のキッスを歌う松田聖子さんは、まさに乙女ゲームのヒロインが現世に降臨したかの

ようですよ。

ちなみに「夜をぶっとばせ」のオフイシャル映像は2006年さいたまアリーナのライブ

ですが、その時筆者はスタンドで踊りまくっておりましたw


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