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第57話 令嬢、凱旋する


『・・・・それではレーナよ、私に名をつけたまえ。それで盟約は締結できるぞ』


「むっ、そういえば神竜殿には名はなかったのか」


なんだか疲れたような表情でレーナに話しかける神竜、彼がこの世界に誕生してから名をつけた者は

これまで存在しなかった。さすがのパープー娘も、妙な名前をつけないようしばし頭を使うのであった。


”さすがにポチとかタマとかつけたら、まずいだろうな、、、、”


一瞬、シャレでそう名付けてしまうおうかという誘惑にかられたレーナであったが、頭をブンブンと振りそれ

を振り払った。


『おいおい、、、なんか変なこと考えているんじゃないだろうな・・・・』


「は、ははは、何を言うのだ神竜殿、変なことなぞ一切考えてはおらぬぞ」


『・・・・なぜ、こちらを向いて答えぬのだ』


そう視線を泳がせながら話すレーナのことを、神竜はジト目で見つめるのであった・・・・


「ふむ、、、、そうだな、そなたの名は”シャイン”でどうだ」


レーナは白銀に輝く神竜を見て、英語で”輝く”という意味の名を打診する。


『ほう、異世界の言葉か、、、いいだろう、今日から私の名は”シャイン”だ』


神竜もその名を気に入り、了承する。そしてレーナとシャインの全身がまばゆいばかりの光に包まれた。


「我ら両名、死が二人を分かつまで」


『互いの信頼を裏切らぬ限り』


「魂の盟約を結んだ者として」


『一心同体となることをここに誓おう』


光が納まり、レーナと神竜はついに”魂の盟約”により結ばれたのだ。


「シャイン、数十年ほどの付き合いだが、飽きない生活を保証するぞ」


『いや、、、私は心静かに暮らしたいのだがな、、、』


なにやらブツブツと呟く神竜改めシャイン、その様子を見ていた四竜が一斉にレーナの前に(こうべ)を垂れる。


『レーナ様、我ら四竜も神竜シャイン様の眷属として、その命に従いまする』


「そうかわかった、、、おっと、休暇はもう少しで終わりだな。まずは王国に帰国するぞ」


レーナはシャインの背に乗り飛び立った。ルーディやテスラ14世もアースやエアの背に乗っている。渋る

ドラゴン達だったがレーナの


「ルーディやテスラはもはや私の家族も同然だ。貴様らもそう認識するがよい」


との言葉で、背に乗ることを認めたのである。もちろんルーディやテスラ14世がその言葉に、滝のように

感涙したのは言うまでもない。こうして、この世界最強の戦力を手にしたレーナは、プリエール王国に向け

飛び立ったのである。


「そうだシャインよ、プリエール王国に帰る前にちょっと寄り道したいところがあるのだ。すまぬが一旦西へ

向かってくれ」


『わかった』


神魔の森と国境を接する国の一つ、ラングレー王国、国境防衛の砦では夜間見張りの勤務についていた

兵があくびをかみ殺していた。


「ふあ~あ、、、やっと夜明けかあ、、、、」


「おいスリンよ、そんなとこ隊長に見られたら弛んでるとどやされるぞ」


「いやあ、、、連続夜勤だったからなあ、さすがに体がきついよ」


「まあ、中央王都の魔力観測所がなんかえらい巨大なマナエネルギー観測したらしいからな」


そんな会話を交わす兵たち、やがて、彼らは昇る朝日の中から、何かがこちらに向かってきていることに

気がついた。


「おいベッサよありゃ一体なんだ、鳥にしてはデカいような・・・・」


だが、望遠鏡を覗いていた相方は、ガタガタと震えだす。


「ド、ドラゴン、、、あれはドラゴンだっ! スリン、警報を鳴らすぞっ!」


そして、砦の守備隊は大慌てで火縄銃やバリスタでの迎撃体勢を整える。


『おいレーナ、砦の連中こっちが攻めてきたと思っているようだぞ』


「ふむ、私が話をしてみよう。他の者はここで待機してくれ」


レーナはシャインを射程距離ギリギリのところまで飛ばすと、砦の守備兵に向けて大声で名乗りを上げる。


「早朝から騒がしたこと申し訳ない。私はプリエール王国王都直轄騎士団所属、レーナと申す者だ。貴国

の王、ダミド陛下との約定を果すために訪れた。どうか陛下へのお目通り、許可していただきたい」


「レーナって、あの魔王を倒した英雄騎士・・・・」


「どうしてドラゴンの背中に乗っているんだ」


訝しむ守備兵たちだったが、この事は即座に魔信で王都のダミドに伝えられた。


「ぶわあっはははははっ! あの騎士レーナがドラゴンに乗ってやってきただと」


「陛下、笑いごとではございませんぞ! 一体でも国を滅ぼせるドラゴンが五体も、、、どうなさるおつもり

ですか!」


「まあ、彼女なら我々に害を成すことなぞ考えてもおらぬだろうからな。よし、砦に了承の旨返信しろ」


ダミドの言葉は即刻魔信でレーナ達に伝えられた。ほどなくしてラングレー王国王都上空にドラゴンの編隊

がその姿を現した。王都民には事前にドラゴンの訪問が知らされていたので、パニックにはなっていない。

しかし、誰もが上空を威風堂々と飛行するドラゴンを目にして、畏怖の念を抱くのであった。


「さすが高位のドラゴンだ。ジェット戦闘機並みの飛行速度だな」


『その”じぇっとなんとか”とはそなたの前世の知識なのか』


「そうだ、ちなみに人族が生み出した兵器だぞ」


『人族が、我らドラゴンと同等の速度で飛べるだと、俄かには信じられぬな、、、』


「まあ、落ち着いたらおいおい”向こう”のことも話してやろう」


そんなことを話している内に、レーナ一行は王城上空に到着した。王城前の広場にはすでに国王ダミド始め

重臣たちと、警備の近衛騎士団が彼女たちを出迎える。レーナはシャインを低空飛行させると、彼の背から

静かに舞い降りる。マナの光に包まれたその姿は、彼らの目にまるで女神の降臨のように映るのであった。


「ダミド陛下、此度は突然のご訪問になったこと、まずはお詫び申し上げます」


「ふむ、騎士レーナよ、なぜドラゴンの背に乗っていたのかその理由を尋ねてもよいか」


「はい、この度神竜シャイン殿と”魂の盟約”を結びました故、その背に騎乗すること叶った次第にてござい

ます」


レーナの言葉に周囲からどよめきが起きる。伝説の存在と言われている神竜、それと人族が盟約を結ぶ

など、これまでの常識では有り得ないことだったからだ。


「そうか、、、、騎士レーナよ、ならばなぜ我が国に飛んできたのだ」


ダミドはレーナが自身の戦力を誇示するため、真っ先にラングレー王国に飛んできたのかと考えたのだ。


「まずは陛下との約定を果すためでございます」


「約定、、、?」


「ええ、以前、夢が実現したあかつきには、陛下にお知らせするとお約束したではありませぬか。今、高位

のドラゴンと盟約を結び”竜騎士”になるという夢が現実のものになりましたので、貴国へ訪問した次第で

ございます」


レーナの言葉を聞いたダミドは一瞬目を見開き、そして破顔一笑する。


「ふ、ふふふ、わははははっ! 確かにそういう約束を交わしたな。しかしまさか”竜騎士”になるのが夢

だったとは、さすがの私も想像もつかなかったぞ」


「はい、本当は魔王の首を手土産にする予定でしたが、あまりにも弱すぎたので手ぶらで盟約を頼むハメ

になってしまいましたが」


その言葉にダミドはますます笑みを深める。あの魔王の首が手土産とは、本当に規格外な娘だと。


「おっと、、、明日には休暇も終わってしまいますので、まずはこれにて失礼させていただきます」


再びシャインに飛び乗り去っていくレーナ、ダミドは傍らにいたハレス軍務卿に指示を出す。


「さて、プリエール王国にも魔信を送ってやれ。騎士レーナがドラゴンに乗って帰国するとな」


「はい、しかし、本気にはされないでしょうなあ」


「だろうなあ、、、あいつらの驚く顔が目に浮かぶぞ」


ダミドはとーっても悪い笑顔になっている。ハレスや他の重臣たちもプリエール王国が右往左往する様を

思い浮かべて、そっと涙をぬぐうのであった。


そして、レーナは今世の故国であるプリエール王国に、ドラゴンと共に凱旋帰国を果たすこととなった。


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