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第55話 令嬢、神竜とご対面する


『おのれえっ! ちょこまかと!』


『エア、冷静になれっ!』


ドラゴン達の攻撃をレーナは難なく躱していた。思うように致命傷を与えることができない彼らは次第に

苛立ちを募らせていく。


『ぐあっ!』


「おいおい、隙がありすぎるぞ。これではウチの新兵にも劣るな」


完全に頭に血が上ったエアに、レーナが日本刀で一撃を加える。彼の足のウロコが斬り裂かれ鮮血が

飛び散った。


『よくもエアを! 真っ二つになりなさい!』


アクアの口から水流のブレスが放たれる。すかさず避けるレーナ、背後の小山が上下に分断される威力

の攻撃だ。それに気を取られた彼女の一瞬の隙をついて、アースが岩石のブレスを放とうとする。だが、


『がっ!』


『ぎいっ! てめえ、後ろにも目ついてんのかよ!』


レーナはアースだけではなく、背後から挟み撃ちにしようとしたフレイムに対しても、同時にファイヤランス

の一撃を放つ。


「ふーむ、、、それなりに考えているようだな。だが、そんな子供だましはこの私には通用せんぞ」


そう笑みを浮かべるレーナにドラゴン達は戦慄する。今、自分達が戦っている相手は人族のように見えて

人族ではない。これは、戦いの化身、否、死神のようなものなのだと・・・・


「すごいレーナ様、、、、あのドラゴン達を圧倒しているなんて、、、、」


「ああ、どうやら戦いにおいては(あるじ)の方が一枚上手のようだな」


ルーディの言葉通り、個々の力は凄まじいドラゴン達であったが、如何せん彼らは強すぎた。それが仇と

なり己と対等な存在との戦闘経験はほぼ皆無だった。逆にレーナは前世からたっぷりと戦闘経験を積んで

いる。それが一対四でもドラゴン達がレーナに苦戦している要因であった。


『どうして、どうしてあたしらの攻撃が当たらないのよおおおおっ!』


『くそっ! 一発でも当たれば人族なぞ消し炭にしてやれるのに』


悔しがるドラゴン達、それを見たレーナは最初の高揚がウソのように、不機嫌な顔つきになっている。


”こいつら、攻撃能力はすごいというのに、戦闘に関しては全くの素人だな。これまではそれで良かったの

だろうがこの世界にも火薬兵器は出現したのだ。今のままでは人族に敗れることもありうるぞ”


今はまだ火縄銃などの段階だが、いずれは地球同様のミサイルや戦車、戦闘機もツーロンに現れること

だろう。地球の悲惨な戦場を知っているレノンが、女神ルーシャスの神託を借りる形で兵器の発展を押えて

はいるものの、彼女たちがいなくなった未来、ツーロンの人族も”禁断の果実”に手を伸ばしてしまうことも

十分考えられるのだ。


”ドラゴンの寿命は永遠だ。未来に備えてこいつらも王国に連れていって、騎士団の鍛錬を受けてもらうと

するか”


ドラゴン達の知らないところで、彼らの地獄のトレーニングが決定した瞬間だった。


『くっ、はああ、、、、一体なんだこの人族は、、、』


『まさか、、、、まさか我らがここまで追い詰められるとは、、、、』


すでに四体のドラゴンはこれまでの戦闘で全身傷だらけ、息も絶え絶えの状況だ。それに対してレーナの

方は少し汗をかいただけで、まだ平然とした表情で彼らに日本刀を向けている。


「あー、、一つだけそなたらにアドバ、、いや、助言をしておこう。はっきりいって鍛錬不足だ。これでは私

どころか今の人族の軍隊相手でも苦戦するぞ」


だが、レーナの助言はドラゴン達のプライドを悪い方向に刺激してしまったのだ。


『なんですって! あたしらが人族より劣るっていうのかしら!』


『アクアの言う通りだ。我らが本気を出せば貴様なぞ一捻りだぞ!』


「おいおい・・・・」


この期に及んで未だチンケなプライドにしがみつき、現実に向き合おうとしないドラゴン達にレーナが不快感

を強めた時、更にフレイムが余計なひと言を口走ってしまう。


『てめえ本当は人族なんかじゃねえだろ! 人族の皮を被ったバケモンだろうがあっ!』


「おい、、、フレイムとやら、今なんつった」


ガラリと雰囲気の変わったレーナ、それにルーディやテスラ14世は恐れ慄いてしまう。


「お、おい、、、今、主の気配がもんのすごく獰猛になった気がするのだが、、、、」


「ルーディさん、あのドラゴンレーナ様に言ってはいけないことを口にしてしまいましたよ」


(フレイムの運命に)危機感を強めるルーディやテスラ14世、だが、悪手に悪手を重ねてしまうのは人族

だけでなく、ドラゴンも同様であった。


『はん、バケモンでなければなんだ、メスゴリラとでもいったところか』


「フレイムきさまあああああっ! こんなか弱い乙女に何ぬかしとんじゃああああああっ!」


怒りに震えるあまりレーナは、前世ある魔導師から教わった術式を発動させた。


『ぐあっ! な、なんだこれはあっ!』


『か、体が動けないわ!』


グラビティ・ビルドアップ、重力を強化させる術式にドラゴン達は地面に縫い付けられた状態になってしまった。


「神竜殿の眷属だからと命までは奪わないようにしていたが、フレイム、貴様だけは許せん、乙女を侮辱

した罪、その命で償ってもらおうか」


『人族からこんな侮辱を受けるくらいなら、、、くっ、殺せえ!』


「そうか、見苦しく命乞いをしないところは褒めてやろう。では冥府へ行け!」


『やめろおおおおおっ!』


『お願い、フレイムを殺さないでっ!』


他のドラゴン達の助命嘆願も聞き入れず、レーナがフレイムの首に日本刀を振り落そうとしたその瞬間、

上空からそれを止める大音声が響いてきた。


『人族の女よその剣を納めい! 眷属の無礼はこの神竜が詫びようぞ!』


フレイムやエア達よりも一回り巨大な白銀に輝くドラゴン、生ける伝説の神竜がとうとうその姿をレーナの

前に現したのであった。


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