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第45話 令嬢、魔王とカタをつける


「どうした魔王よ、姿を現せ!」


魔王の間に勇んで乗り込み口上を上げるも、魔王からは返事がない。レーナはややいらついた様子で

更に声を上げる。だが、煙が晴れた後にレーナ達が見たものは、無残に破壊された玉座と床にうずくまる

大男、その横であ然とした表情をしている執事の姿だった。


「あ、あれ、、、」


「レーナお姉さま、やりすぎですよ・・・・」


彼女のヘルファイア対戦車ミサイル並みの威力を誇るファイヤランスは、扉を突き抜けただけでなくその先

にある玉座をも破壊してしまったのだ。魔王バルダックはとっさに避けて難を逃れたらしい。危うく剣を交える

ことすらなく、ラスボス戦が終わるところだった。


「おい貴様、いきなり何ぶちかましてくるんだ! 危なかっただろうが!」


「い、いや、、、ずいぶん重そうな扉だったのでな。つい・・・・」


「ついじゃねえよ! その扉人間の手でも軽く開けられるようにできてるんだ!」


「うっ、、、それは知らぬこととはいえ、すまなかった」


レーナと魔王バルダックとの出会いは、いきなり彼のお説教とレーナの謝罪から始まった・・・・


「ゴホン、えーバルダック様、とりあえずこちらのイスにお座りください」


「お、おう、わかった、、、、」


セバスがどこからか折りたたみイスを取り出して、バルダックに座るように勧める。彼も粉々になった玉座

の後にイスを置いて、そこに腰掛けた。


「ふはははははっ! よくぞこの魔王バルダックの所までたどりつけたな。下等生物にしては上出来だ。

褒めてつかわそうぞ!」


そうテンプレなセリフを述べる魔王バルダック、とりあえず先ほどのことはなかったことにして、最初から

やり直すつもりのようだ。しかし、身の丈3mの大男が折りたたみイスにちんまりと座っている様は、何とも

威厳に欠ける光景であった。


「うーん、、、、」


だが、レーナはバルダックの口上にも何だか訝しげな表情だ。


「どうした小娘、我の力に臆したか」


「いやな、魔王とは貴殿のことなのか」


「どういう意味だ」


「うむ、私の相手はそなたの隣りにいる、セバスとかいう者かと思ったのでな」


最初ポカンとし、やがてレーナの言葉を理解したバルダックは、見る見る内に憤怒の形相に変わっていく。

セバスは諜報能力は抜きんでているものの、戦闘能力はテスラ14世にも劣るのだ。


「小娘が、、、我をなめるのもいい加減にしろ。地獄で後悔するがよいわ!」


バルダックが手をかざすと、青白い火球が出現する。彼の得意とする攻撃魔法、”冥府の炎”だ。それを

レーナに向けて撃ち放った。


「ふんっ!」


「な、なんだと!」


だが、その火球はレーナの正拳突きによって雲散霧消する。驚くバルダックとは対照的に、今度はレーナ

が呆れた顔をする番だ。


「バルダックとやら、貴様こそ私をなめているのか。こんな子供だましで魔王と名乗るとは、ふざけるのも

大概にしろ!」


「くっ、小娘が、、、、」


「なあ、レーナ嬢あんなに魔王を挑発して、大丈夫なのか」


「殿下、挑発ではありませんわ。レーナお姉さまは本気で魔王さんにガッカリしているのです」


エリスの言葉通り、レーナは前世、これよりもはるかに強力な攻撃魔法を有する魔導師や魔王と付き合って

いた。だから、バルダックの期待外れの攻撃に憤っていたのである。


「おい、私は魔王と闘うために、血の滲むような訓練を重ねてきたのだ。だというのにこれは一体どういう

ことだ。せっかくの楽しみを奪わないでくれよ」


「ふ、ふふふふ、、、、このバルダック様をそこまでコケにするとはいい度胸だ。よかろう、我の本気を見せて

やるぞ!」


バルダックはそう言うと自らの体を巨大化させる。ただでさえ3mほどある身長が、10mほどに達していた。


「ふははははっ! この体は魔法の威力も先ほどの比ではないぞ!」


バルダックは再び”冥府の炎”をレーナに放つ。火球のサイズも前の3倍以上だ。しかし、レーナは日本刀

を顕現させ、それをあっさりと斬り払う。


「なっ、あの火球を斬っただとうっ!」


「ふむ、、、この私に日本刀を抜かせるとは大したものだ。やればできるではないか」


「おのれえっ! その余裕の顔、ぐちゃぐちゃに切り刻んでやるわあっ!」


またも激高したバルダックは、闇の瘴気に包まれた禍々しい大剣を顕現させる。


「これぞ闇の魔剣グラムート、斬られた者は魂まで闇に囚われるのだ!」


そして、バルダックはレーナに向かってグラムートを一閃させる。だが、彼女は即座に一撃を避けた。床に

魔剣が轟音を立てて食い込んでいく。


「なんて怪力だ、、、レーナ嬢、本当に大丈夫なのか」


「はい殿下、お姉さまは完全に見切っておりますわ。あんなに大振りでは、かすり傷一つ付けることは

できないでしょう」


バルダックの力に顔を青ざめさせるリシューとは対照的に、エリスはリークとの戦いの時よりも余裕の

表情だ。もちろん、ポーラ達”レーナ様を讃える会”の面々やダミド、そして教皇レノンも同様である。


「ほう、、、完全に魔王の攻撃は空振りだな。これは先ほどのリークの方が強かったのではないかな」


「そうねえ、、、、怪力だけじゃあの子には勝てないわよねえ」


一方、ちょこまかと攻撃を避けるレーナに、バルダックは完全に苛立っていた。


「小娘えっ! ネズミみたいに逃げ回りおってからにっ!」


「ふむ、、、ではそろそろこちらからもいくか」


初めてレーナが攻め手に回る。バルダックの斬撃を掻い潜り、その脚にまず日本刀の一撃を叩きこむ。

だが、”キンっ”という音と共に、その攻撃ははじかれたのであった。


「ぐははははっ! そんな細い剣で我の体が斬れるものか!」


「なるほど、魔王を名乗るのも伊達ではないようだな」


だが、自分の攻撃が通用しなかったにもかかわらず、レーナは冷静に間合いをとってバルダックに向かい

合う。浮足立っているのはリシュー一人だった。


「お、おい、、、全然効いてないじゃないか。本当に大丈夫なのか!」


「殿下、少しうるさいですわよ。静かにしてください!」


「そうですわよ。せっかくレーナ様の御姿を堪能しているというのに、ギャラリーは静かになさいませ!」


エリスやポーラ達の抗議を受け、リシューは”ぼくだって勇者なのに・・・”といじけ虫と化してしまうので

あった・・・・


「叩き潰してやるわっ! くらえっ!」


バルダックは剣を構えるレーナに全力の一撃を叩きこんだ。レーナは素早く彼の横に回り込み、日本刀を

一閃させる。


「だからそんな細い剣で、、、えっ!」


バルダックの目が驚愕に見開かられる。”ひゅん”という風切り音とともに、彼の両手がゴトリと音を立てて

床に転がったからだ。


「ぐ、ぐああああああっ!」


苦しむバルダックに、更に激痛が襲う。今度はレーナの剣が彼の右足を切断したのだ。轟音を立てて

巨体が崩れ落ちる。


「なぜ、なぜだああああっ! あんな剣で我の体がああああっ!」


巨大化の術が解け、バルダックの体は元通りの大きさとなってしまう。そんな彼にレーナが止めを刺す

べく近づいていく。


「どんなに強固な物体にも、必ず脆い所があるのだ。それを見極められれば造作もないことよ」


「き、きさま、、、、どこのバケモノ、、、」


バルダックの言葉は最後まで続かなかった。レーナの剣が彼の首をはね飛ばしたからだ。


「全くどいつもこいつも人のことをバケモノ呼ばわりしおってからに、、、こんなか弱い乙女にセクハラだぞ!」


そう言ってルミダスに視線を向けるレーナ、


「う、うんそうだな、、、、レーナはか弱い乙女だ、うん」


ルミダスは全身から脂汗をダラダラと流し、真っ青な表情でコクコクとうなづくのであった・・・・


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