表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/69

第44話 令嬢、魔王にカチコミをかける


「はあ、、、、」


石化の術をレーナやルミダスに破られたメデューサは、すっかり戦意をなくし地面にへたり込んでしまう。


「もう、何か疲れたわ、、、レーナ、私は首を斬り落とされたら死ぬから、ちゃっちゃとやってちょうだい」


「むう、貴様それでいいのか」


「ええ、、、石化の術が破られたら、もう私に勝ち目はないわ。リークを破ったあんたに剣でかなうはず

ないし、、、」


そしてメデューサは、シクシクと泣き始めた。


「うう、、、リークう、、、お願いよレーナ、早く私をリークの所へ送ってちょうだい」


「そなた、リーク殿を愛していたのか」


レーナの質問にメデューサはコクコクと頷く。


「そうよ、もしあんた達に勝利しても後を追うつもりだったのよ。敵であるあんたに頼める義理じゃないのは

分かってるけど、お願いレーナ、早く私の首を斬って、、、」


そうして、またグズグズと泣き始めるメデューサ、だが、レーナはもちろん他の者達も何だか微妙な表情だ。


「どうしたの、同情や憐みなら不要よ。私は早くリークの所に行きたいの、、、、」


「あー、それなんだがな、リーク殿は、、、」


「メデューサ様、ご心配をおかけして申し訳ございません」


「うにゃっ!」


レーナが話し終える前に、倒されて消えたはずのリークがひょっこり姿を現した。突然の事にメデューサは

裏返った妙な声を上げてしまう。


「り、り、り、リーク、生きていたの! 一体どうして、、、、」


「そなた、自分で蘇らせといて忘れたのか、リーク殿はデュラハン、つまりアンデッドだろう」


「あっ!」


アンデッドである彼は、テスラ14世と同じく再生能力があることに今さらのように気づくメデューサ、リーク

も何だか苦笑いの表情だ。


「そなた、本当に忘れていたのか・・・・」


「い、いやー、、、800年も前のことだしさ、すっかり、、、」


パープー騎士に呆れられるメデューサ、彼女も結構なパープーのようである。


(あるじ)の命を守れず人族の虜囚と成り果てたこと、深くお詫び申し上げます。この責我が命をもって、、、」


「あ、いやうんいいのよ別に、でも、なんで大人しく人族に囚われたのかしら」


「はあ、それが、、、、」


リークは蘇ってから虜囚となるまでの事を、かくかくしかじかと説明した。何でも蘇った直後、普通ならやっと

倒した強敵が蘇ったことで、


”な、何、ヤツは不死身か!”


などと言うところだが、レーナはあいにくそんなテンプレな反応をするタマではない。


「おおっ、リーク殿蘇ることができたのか! よし、早速続きをやろう!」


と、まだ傷が癒えていないにも関わらず喜色満面で剣を向けてきたそうだ。彼女だけではない。


「おいレーナ、ケガ人はすっこんでな! 次は”豪剣のルミダス”さまが相手をするぜ!」


「ルミダス隊長、自分にまだ一度も勝ててないのに、英雄騎士の相手をすると」


「この野郎、、、、真剣勝負ならそうはいかねえぞ」


鼻で笑うレーナに激怒するルミダス、二人はリークそっちのけで剣を向け合った。さすがにベッカーが止め

に入る。


「君達やめたまえ、ここは私がリーク殿の相手をすることとしよう。これは団長命令だ、いいな!」


「ええー、団長、それ職権乱用ですよ」


「うるさい! 私は幼い頃から英雄騎士に憧れてきたんだ。今こそその夢をかなえるぞ!」


そんなやり取りを見てたリークは、すっかり戦う気をなくし大人しく軍門に下ったのである。連合軍の中にも

”聖女様のお力で浄化しなければ危険では”、との異論もあったが、レノンの


「すでに戦意をなくした者を処刑することは、女神ルーシャス様のご意志にも反します」


との一言で、リークは助命されたのであった。


「まあ、彼らを見ていたら、800年前の恨みなどもう、どうでも良くなってしまいましてなあ、、、、」


「リーク、うん、、、わかるわその気持ち、、、、」


そういうメデューサからも、毒気のようなものがどんどん抜けているようだった。リークのとりなしもあり、

彼女も連合軍の捕虜として扱われることになった。今後のことは魔王戦の後に決めるそうだ。


「教皇猊下、魔族にもお情けをかけられるとは、さすがは女神ルーシャス様の御子でございますなあ」


「いえゼノアさん、これはね、私の贖罪なの。かつて大勢を犠牲にした私の自己満足に過ぎないのよ」


「猊下、それは一体・・・・」


ゼノアの疑問にレノンは答えることなく、哀しい表情で遠くを見つめるのであった・・・・


「魔王様は城の最奥にある広間にいらっしゃるわ、、、言っとくけど、魔王様の魔力は私の比じゃないわよ」


「ああ、それくらいでないと倒しがいがないからな。それからそなたらの今後の身の振り方はレノンがうまく

取り計らってくれるからな。心配はないぞ」


「はあ、、、あんたもう魔王様に勝つの前提で話してるわよね・・・・」


「がっはっはっ、まあそういうこった。お二人さんは心配せず、今後の結婚せ、、、」


ルミダスの言葉は最後まで続かなかった。なぜなら、メデューサの魔眼で彼の口は石化したから・・・・


「ぶっはあっ! おいいきなり何しやがるんだ! 死ぬかと思ったぞ!」


「いや、今のは隊長が悪いですよ」


「そうですわ、乙女心というものを理解していませんことよ」


「全くこの筋肉オヤジ、雷撃で黒コゲにしてやりましょうか」


何故か女性陣から非難轟々のルミダス、己の不利を悟ってその口を閉ざすのであった・・・・


「さあ、この扉を開ければ魔王がいるのか。なんかワクワクするな!」


魔王城内に突入したレーナ達、わずかに残存する魔人兵やリザードマン兵を一掃しつつ、ついに最奥部

にある魔王の間にたどり着いた。その扉はまるでギーガーの造形したような、おどろおどろしい装飾が施さ

れたいかにもなデザインだ。


「でもこれどうやって開けるのですか。すごい重そうですけど」


「問題ない、こうすれば良いのだ」


レーナは扉に向けて全力のファイヤランスを放つ。轟音とともに砕け散る扉、その中をレーナはズカズカと

踏み込んでゆく。


「頼もう! 我が名はプリエール王国王都直轄騎士団レーナ、魔王との勝負を望む者だ。いざ尋常に立ち

合えいっ!」


そう意気揚々と口上を述べるレーナ、だが周囲の反応は、


「なんか、道場破りみたいだわ・・・・」


「いえ、どちらかと言えばヤクザのカチコミみたいですわ・・・・」


”勇者vs魔王”のテンプレからは、ほど遠いものであった。ちなみに、当代の勇者であるリシューの存在は、

哀れにも完全に忘れ去られていたのである。


筆者も完全に忘れていた・・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ