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第34話 令嬢、夢のためプロポーズをお断りする


「お、、、おいおい、ダミド陛下がレーナ嬢にプロポーズだと」


「まさか、本気なのでしょうか・・・・」


いきなりのプロポーズに驚いたのはレーナだけではない。カルスやブラッドも鳩が豆鉄砲喰らったような

表情になってしまっている。


「ふーん、、、でもダミドさんの顔見ると、あれは本気でレーナに惚れているようね」


レノンの言葉通り、ダミドは前日の魔人兵や真祖バンパイアを文字通り一蹴したレーナに、完全に心を

奪われていたのであった。


「騎士レーナ、もし身分が釣り合わないと思っているのなら、その心配はないよ。前にも話した通り我が国

は他の古臭い考え方の国々とは違う、完全な実力主義だ。魔王四天王の一角を退けた君なら正妃としても

誰も文句は言わないよ」


いつの間にか横に来ていたハレスもダミドの言葉に、ウンウンと頷いている。彼らの思考は現代地球人に

近い合理的なものだ。だからこそ他の国に先駆けて、火薬兵器を開発することも可能だったのだろう。

レーナもダミドのプロポーズが真剣なものであることは理解できた。それに対して真剣に答えることを決意

したのである。


「ダミド陛下、申し訳ございませんが私はその求婚に応えることはできません」


「ふむ、、、その訳を聞かせてもらうことはできるかね」


「はい、自分には今実現したい夢がございます。それには正妃という身分は残念ながら、枷になってしまう

からです」


レーナはダミドの目をしっかり見ながら断りを入れ、すっと一礼した。


「その夢とは、常々君が公言していた魔王の首を獲ることなのかな」


「いえ、それはあくまでも夢を実現する過程にすぎません。残念ながら、今ここでお話しできる内容では

ありませんので、詳細の説明はご容赦願います」


レーナの言葉を聞いていたダミドは、深いため息をつく。


「魔王の首が過程になるほどの夢か、相当なものだろうな、、、、」


彼は悟ってしまったのだ。目の前の女騎士が正妃の座など邪魔だと思うくらいの、途方もなく大きな夢を

追っているのだと・・・・


「自分はその夢を実現するために、人生を賭けております。ですので此度の求婚は真に失礼ながら、

お断りをさせていただきます」


そう再び一礼するレーナに、ダミドは質問する。


「もし、もしもだよ、、、私が国王の座を捨て、君の夢の実現のために手助けするというのなら、私の求婚を

受けてくれるかね」


「逆にお伺いいたします。陛下は私を妻にするために、国を、民を捨てることができますか」


「いや、、、それはできぬな。さすれば私は女のために王国を捨てた愚か者と、後世まで笑いものにされる

だろうよ」


レーナの逆質問にダミドは残念そうな表情で、首を横に振った。現在のラングレー王国は彼なくしては

立ち行かない。さすがに自分の色恋沙汰と国を天秤にかけるほど、彼は暗愚ではなかったのだ。


「残念だ騎士レーナ、ぜひ君とともに歩みたかったのだが、あまりしつこいと嫌われてしまうしなあ、、、」


そう苦笑するダミド、どこぞの殿下と違って引き際も心得ていた。そんな彼にレーナは


「ええ、そのお詫びといっては何ですが、もし夢が実現したあかつきには真っ先に、陛下のところにご挨拶

にお伺いいたしますよ」


輝く太陽のような笑顔を見せるのだった。それにダミドやハレスはもちろん、未だ彼女に敵意を持っている

クレイすら見とれてしまう。


「皆さん、今のレーナ様の笑顔、ご覧になりましたか」


「ええ、、、なんと尊い、、、」


当然、”レーナ様を讃える会”の面々は両手を祈るように握りしめながらひざまづき、滂沱の涙を流すので

あった・・・・


「ブルドー帝国ご一行様、出立いたします」


「リューム王国ご一行様、出立いたします」


翌日、会議を終えた各国の代表はプリエール王国を後にする。そして、ラングレー王国使節団の見送り

にはレーナが顔を見せていた。


「それでは騎士レーナ、クレイのことはよろしく頼むよ。クレイよわかっているな、彼女の言うことは全て

この私の言うことだと心得よ!」


「は、はいっ!」


「おまかせくださいダミド陛下、1か月後にはいっぱしの騎士に鍛え上げてみせましょう」


その日から、クレイの地獄の日々が幕を上げることとなった。


「ひ、ひい、、、もう腕が動かない、、、、」


「クレイ貴様、空身で何もう弱音を吐いておるのだ! そんなことで魔王軍と戦えるか!」


腕立て伏せで早速音を上げるクレイにレーナの叱責が飛ぶ。その彼女は背中に5枚の石板を乗せ、彼の

倍近いペースで腕立て伏せを行っているのだった。もちろん、ルミダスや彼女の舎弟たちも同様だ。


「この国は化け物揃いかあああああっ!」


「貴様、こんなか弱い乙女に化け物とはなんじゃゴラアアアアアっ! 罰としてランニング20km追加だ!」


「そ、そんな理不尽な!」


「返事は”はい”か”イエス”のみだ! 私の言葉はダミド陛下の言葉と知れ!」 


なお、地獄を味わっているのはクレイだけではなかった。


「ひい、、、はあ、、、もう腕が、、、、」


「言葉が出るうちは大丈夫だ。殿下、あと腕立て伏せ200回ですよ」


リシューも国王カルスの命により、王都直轄騎士団の訓練を受けるハメになってしまったのである。理由は


”リシューよ、そんなに聖女様のことが諦めきれないのならば、魔王からお守りできるくらい強くなれい!”


との(余計な)親心であった。


もちろん、一切の手加減は無用という国王のお墨付きである。


「ぐえっ!」  「ぶあっ!」


「おいおい、、、そんなふらついた剣で敵は倒せぬぞ。これは素振り千回だな」


模擬戦でクレイとリシューは同時にレーナを相手にしたのだが、一合も打ち合えず地面に叩きつけられて

しまう。舎弟たちですらある程度は打ち合えるようになっているのにもかかわらず・・・・


こうして、魔王討伐に向けて彼らのスパルタな日々は加速していくのであった。


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