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第33話 令嬢、プロポーズされる


「でさあ、、、あんたどうしてそんなに魔王の首に拘るの。前世から強い者に挑むのが好きなのは知って

いたけど、今度はまたずいぶんご執心じゃないの」


「いや、これには理由があってな、、、」


「理由?」


午後の会議を終えて控室で休憩中のレノンは、護衛として控えているレーナに質問した。今この場にいる

のは彼女とレーナ、エリスの3人だけなので、口調も完全に前世と同じになっている。


「うむ、前世私が竜騎士だったことは知っているだろう」


「うん、それで、、、」


「今世でも、ぜひ高位のドラゴンと”魂の盟約”を交わして、再び竜騎士となることを目指しておるのだ」


「でも、この世界のドラゴンって、ほとんど人族の前には姿現さないよね、、、」


レノンの言う通り、前世レーナが騎乗していたような高位のドラゴンは、ほんのごくわずかだ。しかも人族

には全くと言っていいほど関心を示さない。


「確か、水を司る水竜、空を支配す空竜、地上の王者地竜、火を操る火竜の4体でしたよね」


エリスの説明の通り、ツーロンにはこれらのドラゴンが存在している。いずれもこれから彼女たちが対決

する魔王よりも強大な力を持つとされ、昔ちょっかいをかけた国が半日で滅ぼされたこともあるのだ。


「なるほど、その内の誰かと盟約を結ぼうと考えているのね」


「いや、レノンよそれは違うぞ。その4体の上に、全ての竜の始祖と言われる神竜がいるだろう。そいつと

盟約を結ぼうと考えているのだ」


レーナの言葉にさすがのレノンとエリスも驚いてしまう。これまで存在は語り継がれてきたものの、人前に

姿を現したことはなく、伝説上の存在と見る向きもあるのだ。


「それ、ほとんど神に等しい存在よね、まああんたらしいけど、でも、それがどうして魔王の首につながるの

かしら」


「ああ、ただの人間の小娘がいきなり”魂の盟約”を結んでくれ、と頼んでも、まず相手にしてもらえない

だろう。だから、魔王の首くらいは手土産に持参せねば、と思っているのだ」


「なるほど、それもそうね」


「レーナお姉さまなら、きっと神竜との盟約も結べますよ」


この場に他の者がいれば、”神竜と盟約だって、世界を滅ぼす気かっ!”などと大騒ぎするところなのだが、

幸か不幸か今はレーナの前世を知る者しかいなかった。そのため、彼女の言はあっさり受け入れられて

しまったのであった・・・・


「しかし、魔王を倒したいから神竜の力を借りたいというのが普通なのに、逆ですか、さすがはレーナお姉さま

ですわ」


「うん、、、あんた前世と全然性格変わってないわ」


そーゆー二人も前世と全然性格は同じである。レノンなどは前世の経験を積んでより腹黒さを増していた。

こうして、ストッパーのいない場でレーナは神竜に騎乗し、大空を自在に飛び回る自分を想像してその表情

を緩めるのだった。


「昨夜は招いてもいない客のおかげで中断してしまった舞踏会だが、今宵は存分に楽しんでいただきたい。

そして1か月後にはこの世界を覆う暗雲を取り除き、再びこうして集うことを期待しよう!」


国王カルスの音頭取りで、昨夜魔人兵の襲来のため中止になった舞踏会が開かれる。中でも注目を集めた

のは法衣からドレスに着替えた教皇レノンの姿だった。


「マルチナ様、どうかわたくしと踊って頂けますか」


「えっ、教皇猊下、よろしいのですか、、、、」


困惑するマルチナだったが、レノンの差し出した手を取り踊り始める。そして彼女はドワーフや獣人の使節

とも同様にダンスをするのだった。


「まさか、教皇猊下がエルフらと踊るなんて、、、」


「これは、ツーロンの歴史に残る出来事だぞ」


これまで対魔王で同盟を組んでいたものの、こうした社交界では肩身の狭い思いをしてきた彼らだったが、

レノンの気配りによって一気に注目を集めたのである。そして、教皇の他種族融和の考えは本気であると、

他の人族の国々に知らしめる契機となった。


「陛下、ご覧になられましたか。これでエルフや獣人、ドワーフの地位向上も明らかに、、、あれ、陛下一体

どちらへ、、、」


その様子を見ていたハレスが傍らのダミドに話しかけるが、当の彼は忽然と消え失せていた。


「へ、陛下、一体どちらに、、、」


キョロキョロと会場を見渡すハレスは、ようやくダミドが聖女エリスの元に向かっているのを探し出して

ほっと息をついた。だが、彼の安堵はそれはダミドの行動によってたちまち消え失せてしまう。


「これはダミド陛下、私に何か御用ですか」


「いえ聖女様、今回はあなたの護衛である騎士レーナに用がありまして」


「ほう、わたくしの護衛に何の用でございましょう」


公的な場であるため、エリスはあくまでもレーナのことを護衛として話している。彼女は営業スマイルを

浮かべながらも内心で、


”レーナお姉さまに何の用かしら。先の争乱での恨み言でも言いにきたのなら、承知しませんですわよ”


などと思っていたのだが、次のダミドの言葉はエリスはもちろんレーナにとっても想定外であった。彼は

レーナの前で片膝をつき、右手を胸に当て左手を差し出すポーズをとると、


「騎士レーナ、どうかラングレー王国国王である私の正妃となっていただきたい」


「はにゃっ」


突然の公開プロポーズに、レーナは妙な声を上げてしまった。


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