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第29話 令嬢、魔王の尖兵を一蹴する


「グゲエエエエエエっ!」


「甘いわっ!」


「グギエエエッ!」


レーナに襲いかかった魔人兵だが、彼女の剣の前に断末魔を上げて息絶えた。万が一のテロを予測して

十分警戒体勢を取っていた騎士団の面々も、慌てることなく次々と異形の者たちを屠っていく。


「おいてめえら! 賓客には一切傷一つつかせず守り通せ!」


「「「「「「おおっ!」」」」」」


ルミダスの指揮の元、彼らは各国のVIPたちの防壁となって活躍するのだった。


「グギャアっ!」


「なめるんじゃねえ! こちとらお前らなんかよりはるかに強いバケモノ相手にしてるんだからな!」


ルミダスの剛剣は今日も冴えわたる。彼に対峙した魔人兵はことごとく真っ二つにされた。しかし、そんな

彼の肩をトントンと叩く者がいたのだ。


「なんだあ、今取り込み中、、、」


振り向いたルミダスの言葉は途中でストップした。なぜなら、そこには全く笑ってない目をしているのに

笑顔のレーナがいたからだ。


「ルミダス隊長、今聞き捨てならない言葉を耳にしたのですが、、、”バケモノ”って誰のことですか」


「い、いや、、、あの、そのな、、、、あっ、レーナ! 聖女様のところに魔人兵が向かっているぞ!」


その言葉にレーナが気を取られた隙に、ルミダスはさっさと魔人兵の群れに飛び込んでいった。どうやら

魔人兵よりもレーナの方が怖いらしい。


「全くこんなか弱い乙女をバケモノ呼ばわりとは、、、後でセクハラの罪でお仕置きだな、、、」


レーナはそうぼそっと呟くと、エリスとレノンの元へ向かって行った。突然の襲撃ではあったが、騎士団と

衛兵の誘導により舞踏会の出席者たちは安全な場所へと避難していく。だが、あえて危険な会場に居残る

一団が存在していた。


「ポーラ様、私たちも早く逃げないと、、、」


「あら、あなたは何をおっしゃられているのかしら。これからレーナ様のご活躍を拝見できる絶好の機会

なのですよ。この歴史的瞬間を見逃せと言うのかしら」


「「「「「っ!、、、、」」」」」


「さすがは副会長ですわね。さあ皆さん、レーナお姉さまの超絶剣技がこれから見れますわよ。一瞬たり

とも目をそらさないようにしてくださいね」


「「「「「はい、会長!」」」」」


彼女達”レーナ様を讃える会”メンバーの崇拝振りにレノンは


「あの子も、その内どっかの教祖サマになりそうねえ、、、」


と呟くのであった・・・・


「グギャアアアアッ!」


”ふむ、、当座の相手は20体ほどか”


迫りくる魔人兵の集団を前にして、レーナは完全に落ち着き払っていた。まず1体目を横なぎに払い、返す

刀で2体目の首をはねる。その裏から襲いかかる3体目は肩から袈裟懸けに断ち切られた。その動きは

剣技とは思えぬほど優美、まるで次々とパートナーを変わりながらワルツを踊っているかのような戦い振り

である。そして、レーナのパートナーとなった魔人兵は例外なくその躯を晒すことになったのだ。


「皆さん、あれがレーナお姉さまの極意”死の舞踏”(デス・ワルツ)ですわよ。しっかりとその目に焼き付けて

くださいね」


エリスに言われるまでもなく、ポーラ達は感激の涙を流しながらレーナの雄姿を見つめていたのである。

そして、レーナに注目していたのは彼女たちだけではなかった。


「なんという剣技だ、、、ここが血生臭い戦場だとはとても思えんな」


「はい陛下、イレムが不覚をとったのも納得ですな」


レーナの評価を更に上げるダミドとハレス、一方、彼らを護衛するべきクレイは初めての実戦に完全に腰

が引けてしまっていた。


「グゲエエエッ!」


「う、うわあっ! くるなああああっ!」


「クレイ、うろたえるでない!」


魔人兵に対しやみくもに剣を振り回すクレイ、斬られそうになる彼をハレスの剣が防いだ。それを見ていた

レーナの顔が険しくなる。


「こらあっ! 貴様、守るべき者に逆に守られるとはそれでも護衛かっ! こっちにこい」


「え、えっ、、、」


怒鳴り付けられて戸惑うクレイの首根っこをレーナはひっつかんで、魔人兵の群れに向かっていった。


「ちょうどよい訓練だ。私がついててやるからあいつら相手に戦ってみよ!」


「そ、そんなあ!」


「四の五のぬかすな! ほら、敵は待っててくれぬぞ。まずは右に剣を出せ!」


「は、はいっ!」


レーナの指示通りにクレイは剣を振るい、魔人兵を相手にする。彼女の指示は的確で、2・3合打ち合って

彼は魔人兵を倒すことができたのである。


「1体倒したからといってほっとするな! 次は左からくるぞ!」


「は、はいっ!」


最初、敵意のこもった目でレーナを見ていたクレイは、完全に彼女の弟子と化していた。そんな様子を

ダミドは苦笑して見つめている。


「ははは、あの魔人兵相手に”よい訓練”か、本当に規格外だな彼女は」


そう言いながら彼は、他のプリエール王国の騎士や兵を観察する。場合によっては自分達の国にレーナ

同様引き抜きをかける気なのだ。


「騎士団長のベッカーは無理としても、魔導部隊長はどうかな」


「はい、かなり優秀な魔導師と暗部の報告にもありましたが、、、、」


そうしてダミドとハレスはスタックの方へと視線を向ける。そこには・・・・


「ああんっ、グレイスさますごい、素敵ですうっ! もうリネイいくっ、いくっ、いっちゃいますわあああっ!」


「・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・」


レーナに勝るとも劣らぬ華麗な剣技で、魔人兵を斬り伏せるベッカーに悶え狂う残念なアラサーの姿が

存在していた。さすがのダミド達も思わず無言になってしまう。


「ねえレーナ、あの魔導師さん何なの、私、誰かアダルトビデオでも流したんじゃないかと思ったわよ」


「レノン、あれが師匠の通常営業だ。まあ気にしないでくれ」


ともあれ、レーナ達は奇襲を行った魔王の尖兵を、駆逐しつつあるのであった。


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