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第26話 令嬢、仇敵と初顔合わせをする


前世譲りの弁舌とカリスマ性で、王城前の騒ぎを納めた教皇レノン。再び城内に戻りレーナやエリスと

まったりお茶会を楽しんでいた。


「それにしても教皇猊下、騒ぎを納められたあの手腕お見事でした」


「うふふ、リシュー殿下、前世ではあんなものではない修羅場を経験してましたから。まあ皆さんの士気も

上がったし、全て良しでしょう」


「修羅場ですか、、、、」


訝しげなリシューにレーナが補足説明する。


「殿下、レノンが首相の座に就いてから1年後に、動乱がありましてな、、、、」


それは”西日本動乱”と後世呼ばれることとなった事案だ。経済的ににっちもさっちも行かなくなった日本の

お隣にあった統一南北国家が、国民の目を逸らそうと西日本各地に無差別ミサイル攻撃を行ったのだ。

左派の妨害でミサイル防衛システムの整備が遅れていたことも災いし、民間人に数万とも言われる犠牲を

出してしまう。この時前世の彼女は苛烈な報復を行った。全自衛隊による全力反撃を指示し、すでに弱体化

していた南北軍を壊滅させた後、首都に人工衛星を落下させ大統領府を吹き飛ばした。戦後は南北国家

に通じていた左派を全て粛正したのであった。


「あの時は、私も大変だったぞ。あちこちでテロを起こしてくれたからな」


「動乱の後、ようやく戦略部隊が創設されたのでしたっけ」


さすがに目の覚めた日本人は、その後弾道ミサイルを含む抑止力の強化に遅まきながら取り組んだ。

ちなみに南北国家は世界中から総スカンを喰らい、更に悲惨な状況になったのだが、もはやどの国も

手を差し伸べようとはしなかった。無政府状態で戦国時代のような有様になったそうだ。


「教皇猊下、前世でそのような経験をされていたのですか、、、」


「ええ、ですから殿下、魔王だろうがなんだろうが、民の平穏を乱す者には容赦はしませんよ」


そう微笑むレノンに、カルスやブラッドも彼女が年齢通りではない老練で冷徹な政治家であると、認識を

新たにするのであった。


「ところで話は変わるんだけど、あの女神の肖像画、どこかで見たことがあるような・・・・」


「・・・・・・・・」


「・・・・・・・・」


レノンの言葉にレーナやエリスも無言になってしまった。彼女たちも前世の記憶を取り戻してから、どうも

よーく知ってる人物に似てると内心思っていたのだった。ただ、”触らぬ神に祟りなし”と見て見ぬフリを

決め込んだのである。


「どーみてもおかーさんにそっくりなのよねえ、、、まさか、この世界作ったのっておかーさん、、、、」


「ははは、それは多分偶然、他人の空似であろう」


「そうですわ。日本にもこんな言葉があるでしょう。”触らぬ神に祟りなし”と、、、」


「うん、きっとそうね、ほほほ、すごい偶然もあるものだわあ」


世の中知らない方がいいこともある、3人はこの事をさっさと脳内からデリートしたのであった・・・・


「リューム王国使節ご一行様、到着いたしました」


「ブラバス協商連合使節ご一行様、王都の城門を通過いたしました。間もなく到着です」


翌日、王都フラックには対魔王会議に参加する各国の使節が、続々と到着していた。リシューやエリスらと

一緒に教皇レノンも出迎えに加わり、各国の要人に如才なく笑顔を振りまいていた。教皇自らの歓迎に

要人たちも感激の面持ちだ。


「カノパス精霊王国使節ご一行様、到着です」


馬車から降りてきたのは、人間よりも耳が長い種族だった。この世界には人族だけでなく、エルフや獣人、

ドワーフという、ファンタジーものには欠かせない種族も存在している。彼らは教皇レノンが自分たちにも

笑顔を見せているのに驚いた様子だった。なぜなら、これまでルーシャス神聖法国は人族至上主義の

傾向があり、魔王の脅威の前に同盟を結んでいるものの、歴代の教皇は彼らを見下しがちだったのだ。


”ふおおおおおおっ! ファンタジーものの定番種族が現実に!”


前世の人格になったレノンは、そういう偏見は完全になくなっていた。彼女は創作物でしかお目にかかれ

なかったエルフらを見て、内心大興奮であったのだ。


”あの方たちとも、ぜひ友好関係を構築していかなくてはならないわね”


その後、レノンは人族至上主義を差別的で野蛮な考えだとお触れを出し、種族間の友好を進めた功労者

として後世尊敬を集めることとなる。


”ぐふふふふ、獣人の方々とも親睦を深めれば、あのもふもふやプニプニ肉球を堪能できるわね”


その裏側にそんなゲスい欲望があったことは、歴史に記されていない、、、、


「ラングレー王国使節ご一行様、到着です」


係の言葉にレーナ達にも緊張が走る。講和したとはいえいろいろ仕掛けられた相手がやってきたのだ。

使節を乗せた馬車の周りには20人ほどの騎士が護衛についていたが、全員火縄銃を装備していた。

それだけではなく、馬車の後ろについてきた荷車には、ロケット兵器まで乗せていたのだ。


「ふむ、、、典型的な砲艦外交だな」


「この世界では、かなり脅威になる兵器よね」


そんな話をしていたレーナやレノンだが、彼女たちもハレス軍務卿の後から馬車を降りてきた人物の正体

を知ると、その顔を強張らせてしまう。


「あれはダミド陛下、、、」


「こちらに来るなんて連絡はなかったはずなんですが、、、」


カルスやブラッドもレーナ達同様に引きつった表情だ。完全にサプライズの訪問らしい。


「あらら、、、ブクブク肥え太った悪徳貴族を想像してましたけど、意外にイケメンですわねえ、、、」


エリスの言う通り、ダミドの容姿は精悍でワイルドなイケメン風貌であった。その体つきから結構鍛えて

いるような感じである。まあ英雄というよりは梟雄という雰囲気だ。


「まさか、ダミド陛下自ら会議に参加されるとは、意外でしたのう」


「ははは、カルス陛下、魔王は世界の脅威ですからな。我が国も協力は惜しまないつもりですよ」


そう白々しい挨拶をするダミド、その横にいるハレスは”はあ、、、”という表情だ。どうも、彼は制止する

家臣たちをぶっちして、プリエール王国にやってきたらしい。


「これはこれは初めましてレノン教皇猊下、お噂通りの神秘的なご尊顔を拝見でき、このダミド女神

ルーシャス様に心より感謝いたしますぞ」


「あら、ダミド陛下結構お口もお上手でいらっしゃるのね。それなら、ルーシャス様への感謝の心、言葉

だけでなく行動でもお示し頂ければ幸いですわ」


”うふふ””ははは”と笑顔でジャブを交し合うレノンとダミド、彼らは一目で相手が同類だと見抜いたので

あった・・・・


「うわあ、、、、あのダミドという人、アヤ、いやレノンお姉さまと同等の腹黒ですわね」


「うむ、地球でもあやつと同等の腹黒なぞ、ほとんどいなかったからな、、、なんか張り合える相手が見つ

かって、ずいぶんうれしそうだな、お互いに、、、、」


レーナとエリスは今もなおお互いチクチクと言葉を交し合っているレノンとダミドのことを、若干引き気味に

見ているのだった。


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