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第25話 令嬢、再び姉妹の契を結ぶ


「う、うう~ん、、、まだ頭が痛いわあ、、、、」


「教皇猊下! 具合はいかがですか!」


「ん、、、ここ一体どこなの、、、」


お出迎えの場でいきなり倒れた教皇レノン、彼女は急ぎ運ばれた王城の一室にて、治癒術師の懸命な

治療の甲斐あって、ようやく目を覚ましたのだ。しかし、どうにも様子がおかしい。


「教皇猊下、ここはプリエール王国の王城です。聖女様に挨拶なされた後いきなり倒れられたので、皆

心配していたのですよ」


「え~と、あなたは確かゼノアさん、、、あれ、私なんでこんなところにいるんだろう、、、」


「げ、猊下、まさか記憶が、、、、」


「教皇猊下、もしかして”日本”という国名に覚えはありますか」


青ざめるゼノアを横に、レノンの目の前にいたレーナがそう質問する。


「ええ、私日本人だけど、あなたはだあれ?」


「それは後で、、、、東京都F市という地名に心当たりはございますか」


「うん、それ私の地元だよ。そこで育って、結婚して、、、、みんなに看取られて、、、あれ、私死んだはず

じゃあ、、、、」


レノンが訝しげに小首を傾げる。一方、レーナとエリスは目を見開いてしまっている。


「それでは、、、”スズキ・アヤカ”という名前はご存じですか」


「うん、私の名前だけど、、、なんで初対面のあなたが知っているの、、、、」


ますます訝しげなレノン、しかしレーナとエリスはすでに滂沱の涙を流していた。


「アヤお姉さま、、、まさか再び、お会いできるとは思いませんでしたわ、、、、」


「あの、、、その呼び方をするのは1人しかいなかったんだけど、あなたまさか、、、、」


「はい、日本ではラミリアという名でした。そしてこちらはベルお姉さまですわ」


エリスの言葉に、レノンもようやく事態が理解できてきたようだ。自分は一度死んで、そして生まれ変わった

のだと、、、、


「確かにここ、日本じゃないわね。それに私が教皇、、、まさか、異世界転生しちゃったの! 夢じゃない

わよね!」


「夢ではないぞ”綾香”、またこうして出会えるとは、、、光の神よ感謝いたします」


「その言葉づかい、、、あなた、イザベ、、、、」


レノンはその後の言葉を続けることができなかった。彼女も両目から滝のような涙を流していたからだ。


「うわああああんっ! アヤお姉さまあああああっ!」


エリスが号泣しながらレノンに抱きつき、そしてレーナも加わった。前世も数奇な運命をたどった3人が、

今こうして再開を果したのだった。


「いやー、二人とも前世とは全然違うルックスだからさあ、最初はわからなかったわよ」


「綾香、、、いや、今はレノンだったな。そなたは完全に同じ顔だったからな。さすがに初めは他人の空似

かと思ったぞ」


「事前に神秘的な美貌だとお聞きしていたので、どんな方かと思っていたら、あまりにもそっくりなお顔

でしたのでびっくりしましたわよ」


少しして落ち着いた彼女達は談笑している。話題はレノンの”神秘的な美貌”のことだ。確かに前世でも

かなりの美人の部類に入る彼女だったが、さすがにそこまで讃えられるほどではない。

どうも、黒目黒髪がいないこの世界において、レノンの日本人顔は地球で言う”東洋の神秘”的な捉え方

をされていたらしい。一方、彼女たち以外の面々は未だ事態が理解できず、フリーズした状態であった。


「騎士レーナ、それに聖女様、これは一体何事なのですかな、、、」


「教皇猊下、先ほどまでとはまるで別人のような態度、言葉づかいなのですが、何が起きたというので

しょうか、、、、」


「うーん、それはですね、、、、」


カルスやゼノアの疑問に、エリスが代表して前世の因縁をかくかくしかじかと説明した。前世云々を初めて

聞いたゼノアはもちろん、カルス達プリエール王国の面々もさすがにあ然とした表情だ。


「そ、それでは今の教皇猊下は、前世の人格になられたと、、、」


「うん、これまでの記憶もあるけどね。もうすっかり以前に戻ったわよ」


「そんな、、、おお、女神ルーシャス様、今後我ら御子はどうすればよろしいのでしょうか、、、、」


ゼノアは前世の人格になってしまったレノンにはもう、教皇の役目は果たせないと絶望してしまったのだ。

しかし、そこにレーナから救いの手が差し伸べられる。


「あーゼノア枢機卿殿、何を心配されているのか想像はつきますが、綾香、、、いやレノンは前世日本国

の首相、まあこちらでいう宰相の座に女性として初めて就いたほど、政治力はありましたから、今世でも

教皇のお役目は十分果たせると思いますよ」


「そうですわ。ちなみに日本は人口1憶二千万、経済規模は世界第3位の地球世界でも有数の大国、

こちら風に言えば”列強国”だったのです。前世のアヤお姉さまはそこのトップを張られていたのですよ」


レーナやエリスの話にゼノアやカルスも目を丸くしてしまう。この世界の大国プリエール王国ですらその

人口は六百万人程度、億の人口を持つ国なぞ、彼らには想像もつかなかったのだ。


「まあゼノアさんの心配もわかるけど、うまくやるからさ。大丈夫よ」


「そうですか、、、、」


まだ心配気なゼノアをよそに、彼女たちは談笑を続ける。


「それにしてもイザ、、、今はレーナだっけ、あんたが”悪役令嬢”だったとは笑えるわー」


「そう言ってくれるなレノン、、、今でも記憶を取り戻す前のことを思うと本当に切腹したくなるのだ、、、」


「エリスは守ってあげたい系美少女、まるで乙女ゲームのヒロインよねえ。将来は次期王妃サマなの」


「いや、それだけは全力で遠慮いたします。魔王を討伐したら辺境にでも引っ込んで、一生コタツに入って

スローライフを過ごしますわ」


「いや、それスローライフというより、引きニートじゃないの・・・・」


ちなみに、”全力で遠慮”発言にリシューはますますへこむのであった・・・・


「失礼いたします。陛下に緊急のご報告がございます!」


「むっ、何事が起きたのだ」


「はい、実は、、、、」


伝令が国王カルスに何やら耳打ちをする。どうも教皇レノンが倒れたことを聞きつけた王都民が心配して、

王城前に多数駆けつけたとのことであった。


「う、う~む、、、しかし前世云々などと説明はできぬぞ。どうしたらよいものか、、、、」


「王様、それなら私が納めてくるから大丈夫よ」


そう軽く言うレノンに不安の募るカルスやゼノア達であったが、”まあ前世世界を牛耳ったレノンの手腕、

信じてくれ”とのレーナの言葉に、まずは彼女に任せてみることにしたのであった。


「見ろっ! 教皇猊下が見えられたぞ!」


「心配していましたが、ご無事でしたのね、、、、」


それまで衛兵の言葉も聞かず騒ぎ立てていた群衆は、レノンが王城のバルコニーに姿を現すとピタッと

静かになった。


「我が親愛なるルーシャス様の御子たちよ、心配をさせて申し訳ありません。実は、私レノンは先ほど

偉大なる創造の女神、ルーシャス様の神託を新たに受けたのです」


その言葉に群衆は跪き、天に祈りを捧げるかのように両手を握りしめる。


「それが偽りでない証拠に、私はルーシャス様よりある物を下賜されたのです。それがこの魔王を滅する

ことのできる聖剣です!」


レノンが高く掲げた右手が白銀に輝き、そこに顕現されたものは、、、、”金属バット”だった、、、、


「偉大なる女神ルーシャス様より賜ったこの聖剣”ミ○ノ”の力によって、この世に暗黒と絶望をもたらそうと

する魔王の試み、このレノンが粉砕することここに約束いたしましょう。さあ御子たちよ、ルーシャス様の

ご意志の元、共に魔王に立ち向かいましょう!」


「「「「「「「うおおおおおおおおおっ!」」」」」」」


レノンのアジ演説に、群衆は歓呼の声で応えた。カルスやリシュー、ゼノア達も群衆と同じく跪き、感涙

するのであった。


「おお、教皇猊下はご健在であられた、、、、偉大なる女神ルーシャス様に感謝を、、、」


「なんという神々しい聖剣だ、、、これで魔王も恐れることはないぞ!」


一方、レーナとエリスはその光景を、やや引き気味に眺めていた。


「”ミズ○”って、、、もろメーカー名ですわよね、、、、」


「さすがだレノン、、、魔王討伐後のこの世界は、もうあやつの支配下になるな、、、、」


ともあれ、レーナとエリス、レノンの3人は、今世においても姉妹の(ちぎり)を結んだのであった。


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