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おっぱいを好きなのは、男の子だけじゃありませんっ!  作者: 或木あんたす
第1章「おっぱい教徒の日常は、普通のラブコメじゃありませんっ」
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第8話 おっぱい様を、敬います


 ……ちょ、ちょっと待った!


 今、この目の前の、現実に存在するか疑うほどの金髪美少女、「おっぱい」とか言ってなかったですか? ……しかも、様づけで。頭まで下げて。




「何ですか、その驚き! あ、もしかして今の今まで忘れてたんですか!? 私があのあとどれだけ大変だったと思ってるんですか! 急いでデパートまで走って閉店間際のランジェリーショップに駆け込んで。店員さんの作り笑いの圧がすごい中で、空気読まずにサイズ計測頼んで、全ローテ分のブラを買い替えた私の苦労を、一体何だと思ってるんですか、あなたはッ!」


「なッ」


 彼女の言葉に、僕は目を見開く。


 言われてみれば、今日会った時はすでに宮歌Fではなく、最初から宮歌G92釣鐘のおっぱい様その人だった。間違いない。宮歌さんの言葉に嘘はない。……つまり。


 


 ……う、敬った、だと!?




 その瞬間、


 驚きと感動と尊敬と、様々なものが心にひしめいて。


思わずガシッと僕は。


「……ひぇ!?」




 ……宮歌まゆりの両手を握っていた。


「ちょ、あのッ!」


はっとすぐに我に返った僕は、


「……いやいや違う違う、何してんだ僕は!」と慌てて手を離し、


「そもそもおかしいですって! 常識的に考えて、あんなセクハラまがいの気持ち悪い戯言を、真に受けるなんて! 自分で言うのもなんだけど何してんすか! 大丈夫なんですか、そのセクハラ許容の大容量! 年頃の女子としてはこの先かなり心配な案件ですよッ!?」


 しかし、宮歌さんはまたしても「む」と表情を濁らせ、


「何ですかそれ。……人にあれだけ謝罪を要求しておきながら、いざ謝ったらダメ出しですか! ……その鮮やかすぎる手のひら返し、もしかして昨日の『忘れてください』っていうのも、本気だったんですか!? ……あれだけ赤裸々で非常識なプライバシーにかかわる事柄を、堂々と女の子に言っておきながらッ!」


 口調を強めて糾弾してくる。


 ……うぐ。


 確かに。宮歌さんの言う通り、今、僕の主張には全く一貫性がない。たとえ意に反して口走ったこととは言え、相手からしたらそんなこと知ったことじゃない。


(……かと言って、あの変態的な主張を全面肯定するのは……)


などと、煮え切らないでいると。




「あー、そーですかそーですか。よくわかりました」


 どこか呆れたような声で、宮歌さんは突き放すように言う。





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